【Part 1】ネビウス・グループ（NBIS：Nebius Group）とは？将来性と今後の株価見通しを徹底分析！

ネビウス・グループ（NBIS：Nebius Group）とは？

ネビウス・グループ（NBIS：Nebius Group）は単なるAI関連銘柄ではありません。同社は、高成長を遂げるスピンアウト後の企業であり、優れたAIエンジニアリングチームを擁し、ヨーロッパ市場で先行者優位を持つ存在です。AWS、Google Cloud、Microsoft Azureといったハイパースケーラーに挑む明確な戦略を持っています。

さらに、エヌビディア（NVDA）が出資しており、「Yiazou Alpha Score」は74%、時価総額はまだ70億ドル未満。この企業は、現在市場でほとんど注目されていないAIクラウド関連銘柄の一つと言えるでしょう。

しかし、誤解してはいけません。これはハイリスク・ハイリターンの投資です。もし事業が順調に進めば、株価は2〜3倍以上の上昇も見込める可能性もあります。一方で、失敗すれば資金消費のスピードが速く、リスクも高いのが実情です。そのため、本稿では、ビジネスモデル、財務状況、リスク、バリュエーション、競争環境まで徹底的に分析し、私の見解を共有していきます。

（出所：TradingView）

本稿読む前に押さえておくべきネビウス・グループ（NBIS）に関するポイント

1️⃣ ビジネスの理解：ネビウス・グループの4つの柱

・フルスタックAI戦略 – （Nebius.AI + Toloka + TripleTen + Avride）＝ 統合型AIエコシステム。

・AIクラウドの強豪 – AWS、Azure、Google Cloudとの競争。

2️⃣ネットワーク効果、参入障壁、プラットフォーム支配の可能性

・AIフライホイール効果 – クラウド、AIデータ、開発ツールの相乗効果で高い定着率を実現。

・T2Tモデル – AIスタートアップがネビウス・グループ内で採用、データラベル付け、トレーニング、デプロイまで完結可能。

・ヨーロッパのAIクラウドリーダー？ – 米国のハイパースケーラーに対する先行者優位。

3️⃣競争環境：AIクラウド競争でハイパースケーラーに挑戦

・AI計算資源の不足 = チャンス – マイクロソフトは需要に応えきれず、ネビウス・グループがそのギャップを埋める可能性。

・CoreWeaveは230億ドル、ネビウス・グループは60億ドル？ – AIクラウドのバリュエーションから見ても大きな成長余地あり。

・2025年までに22,000基のNVIDIA GPU – 多くの競合を上回る計算能力の拡大を計画。

4️⃣ 財務状況：成長 vs. 持続可能性

・AIクラウド成長率602% – ただし、11億3000万ドルのキャッシュ消費は持続可能性に課題。

・現金準備25億ドル – 損益分岐点に到達するまでの2～3年分の資金は確保。

・売上対比7倍の設備投資 – 現在の大規模投資が将来の高い利益率につながる可能性。

5️⃣ リスク評価：ネビウス・グループが克服すべき最大の課題

・クラウド大手による価格競争 – AWSやAzureが価格を引き下げ、ネビウス・グループを市場から排除する可能性。

・キャッシュ消費 = 将来的な希薄化リスク？ – 年間10億ドルのARRを早急に達成しなければ、追加資金調達が必要。

・グローバルな信頼性の問題 – ロシアとの関係を断ち切りつつあるが、米国やEUでの信用獲得が不可欠。

6️⃣ バリュエーション分析：Nebiusの成長ポテンシャルはどこまでか？

・売上高倍率36倍 – 高すぎる？もしネビウス・グループが2025年に10億ドルの売上を達成すれば、現在の評価は割安に見える。

・リスクとリターンのバランス – 非対称な投資機会

• 下値の限定性 – 1株あたり15～18ドルの下限は、現金準備（1株あたり10ドル）で支えられています。
• 強気シナリオ：時価総額150億ドル以上？ - 事業が成功すれば、株価は2～3倍の上昇余地あり？
  

7️⃣ Yiazou Alpha Score：74%のマルチバガー？

・9/10 – リーダーシップ

• アルカディ・ヴォロジュの指揮 + エヌビディアの支援 = 強力な実行力。

・8/10 – AI技術の優位性

• エヌビディアの独占的アクセス + AIクラウドの専門性。

・7.3/10 – 総合評価

• ハイリスク・ハイリターン – 2～3倍の上昇ポテンシャルを持つ可能性。

ネビウス・グループ（NBIS）は、実質的に「新しいテクノロジー企業」ですが、そのルーツは数十年にわたります。もともとはロシア最大のテクノロジー企業を運営する持株会社「Yandex N.V.」でした。しかし、ウクライナ戦争に伴う国際制裁により、Yandexは分割を余儀なくされました。

2024年7月、Yandex N.V.はロシアおよびCIS（独立国家共同体）での全事業を地元のコンソーシアムに約54億ドルで売却しました。そして、ロシア国外にあった4つのAI関連事業が残り、これらを統合して「ネビウス・グループ」として再編成されました。

残存事業は以下の4つです。

• クラウドコンピューティング事業
• AIデータのクラウドソーシングプラットフォーム
• 自動運転技術チーム
• オンライン教育サービス

これに伴い、Yandexの共同創業者であるアルカディ・ヴォロジュ氏が、EU制裁の解除後にCEOとして復帰しました。また、Yandexのブランドは完全に廃止され、「ロシアとのすべての関係が断たれた」と発表されています。

ネビウス・グループは現在、オランダ・アムステルダムに本社を置き、2024年10月にNasdaqへ上場。18か月間の取引停止期間を経て、株式の売買が再開されました。

では、早速、「1️⃣ビジネスの理解」の詳細に入っていきましょう！

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1️⃣ ビジネスの理解：ネビウス・グループ（NBIS）4つの柱

現在、ネビウス・グループ（NBIS）は自らを「AIインフラのリーディングカンパニー」と位置づけています。その中核を担うのがNebius.AIであり、AIワークロードに最適化されたフルスタックのクラウドプラットフォームを構築しています。これは、機械学習モデルのトレーニングやデプロイメントに適したGPUを豊富に備えたクラウドサービスです。

この中核事業を支えるのが、以下の3つの子会社です。

✅ Toloka：AIデータのラベリングおよびクラウドソーシングプラットフォーム。

✅ TripleTen：テクノロジー分野へのリスキリングを支援する教育テクノロジー（ブートキャンプ）事業。

✅ Avride：自動運転技術の研究開発部門。

このポートフォリオ戦略により、同社はAIバリューチェーン全体に関与しています。計算能力やツールの提供、トレーニングデータの供給、AI人材の育成、さらには自動運転アルゴリズムの開発まで、幅広い領域をカバーしています。

経営陣はこのモデルについて、「AIの根本的なボトルネックを解決する独自の専門知識の組み合わせ」であり、AI開発者をターゲットとする“Tech-to-Tech (T2T) モデル”であると説明しています。

（出所：Felicis）

特筆すべき点として、同社はYandexから優れた人材基盤を継承しています。AI分野の博士号を持つ者を含む1,000人以上の高度なスキルを持つエンジニアが同社へ移籍し、大規模な検索、クラウド、AIシステムの構築に関する豊富な経験を持ち込んでいます。この継続性により、同社はスピンオフの完了前からすでにグローバル展開を進めており、2024年半ばの時点で世界中のクライアントにサービスを提供していました。

同社は、ヨーロッパ、米国、イスラエルに研究開発および商業拠点を設立し、優秀な人材の確保と主要市場へのアクセスを強化しています。さらに、業界のリーダーとの提携も進めており、エヌビディアは最先端のGPUを供給するだけでなく、同社の株式を約0.5%保有する出資者としても関与しています。これは、世界最高峰のAIチップメーカーとの戦略的な連携を示すものです。

このように、経験豊富なチーム、グローバルな事業展開、戦略的パートナーシップという強固な基盤を持つことが、同社の高成長戦略を支える大きな要素となっています。

（出所：エヌビディアの13F）

ネビウス・グループ（NBIS）の4+1のコアセグメント：次世代テクノロジーを支えるAI＆クラウドの中核企業

ネビウス・グルー（NBIS）は、クラウドコンピューティングおよびAIインフラを提供する企業として、アマゾン（AMZN）のWeb Services（AWS）、マイクロソフト（MSFT）のAzure、Google（GOOG）のCloudといった業界の巨頭と競争しています。同社は、エンタープライズ企業、スタートアップ、政府機関向けにクラウドソリューションを提供し、高度なAI技術を活用してパフォーマンスと効率の最適化を図っています。

同社の中核事業はInfrastructure-as-a-Service（IaaS）およびPlatform-as-a-Service（PaaS）の提供であり、企業がクラウド上で安全にアプリケーションを運用し、データを保存できる環境を構築しています。特に、高性能コンピューティング（HPC）とAI主導の自動化を組み合わせることで、スケーラビリティを向上させ、コストを削減できる点が独自の強みです。

同社の大きな差別化要因の一つが独自のAI駆動型リソース割り当てシステムです。このシステムはリアルタイムのワークロードに応じて動的にコンピューティングパワーを調整し、リソースの無駄を最小限に抑えながら運用コストを削減します。たとえば、ホリデーシーズン中にアクセスが急増するEC企業であれば、クラウドインフラを適切にスケールアップしながら過剰なリソース確保を防ぎ、コストを抑えつつスムーズな顧客体験を実現できます。

同社は、AIインフラおよびクラウドコンピューティングのエコシステムを支える5つの主要事業セグメントを展開しています。

1️⃣ Nebius.AI

2️⃣ Toloka

3️⃣ TripleTen

4️⃣ Avride

5️⃣ ClickHouse

これらのセグメントは相互に連携し、同社の技術力を活かして多様な業界にサービスを提供しています。加えて、同社はClickHouseの28%の戦略的持分を保有していますが、ClickHouseは同社の完全統合事業には含まれていません。

（出所：ネビウス・グループの2024年10月の投資家向け資料）

1️⃣ Nebius.AI：AI・機械学習向けクラウドインフラの中核

ネビウス・グループの事業の中心にあるのがNebius.AIです。これは、AIおよび機械学習向けに最適化されたクラウドインフラであり、同社の主力事業となっています。従来のクラウドプロバイダーとは異なり、Nebius.AIは高性能コンピューティング（HPC）に特化し、GPUアクセラレーションを活用したクラウドサービスを提供しています。これにより、AIのトレーニングや推論に最適な環境を構築できます。

たとえば、不正検知アルゴリズムを運用する金融機関や、チャットボットを開発するAIスタートアップなど、AIモデルを開発する企業は、AWSのようなハイパースケーラーよりもコストを抑えながら、計算能力を効率的にスケールアップすることが可能です。

「要するに？」

Nebius.AIはAIのためのジムのようなものです。

ボディビルダーが筋肉を鍛えるためにダンベルやトレーニングマシンを使うように、AIモデルもデータを処理し、学習するために強力なコンピューターを必要とします。

Nebius.AIは、この「トレーニングマシン」にあたるクラウドベースの高性能コンピューティング環境を提供し、AI開発者がより効率的に学習を進められるようにします。たとえば、企業がChatGPTのようなAIアシスタントを開発したい場合、Nebius.AIのクラウドプラットフォームを利用すれば、大量のデータを処理しながらモデルを効果的にトレーニングできます。

2️⃣ Toloka：ネビウス・グループのAIデータラベリング＆クラウドソーシングプラットフォーム

Tolokaは、ネビウス・グループのコアインフラを支えるAIデータのラベリングおよびクラウドソーシングプラットフォームです。AIモデルの学習には膨大な量のラベル付きデータが必要ですが、Tolokaは世界中の作業者とAI支援型のアノテーションツールを組み合わせることで、このデータを提供します。

自動運転システムや生成AIアプリケーションを開発する企業は、Tolokaのサービスを活用して高品質なトレーニングデータセットを作成できます。従来の競合であるAppenのように、生成AIのブームへの適応に苦戦する企業とは異なり、Tolokaは主要なAI開発企業との契約を迅速に獲得し、急成長を遂げています。このため、同社のエコシステムにおいて極めて重要な役割を担っています。

「要するに？」

AIモデルが正しく機能するには、良いトレーニングデータが必要です。そこで活躍するのがTolokaです。

Tolokaを宿題を採点する先生だと考えてみてください。

AIモデルは生徒のようなものですが、正しい答えを学べるように誰かが確認しなければなりません。Tolokaは、画像、音声、テキストなどのラベル付きデータを提供し、AIが正しくパターンを認識できるようにサポートします。

たとえば、自動運転車の開発企業は、AIに停止標識や歩行者、信号機を識別する能力を教える必要があります。Tolokaのチームは、数千枚の画像にラベルを付けることで、AIが何を見ているのかを正確に理解できるようにします。

3️⃣ TripleTen：AI・ソフトウェアエンジニア向けのEdTech事業

TripleTen（旧Yandex Practicum）は、ネビウス・グループの教育テクノロジー（EdTech）部門として、AI、ソフトウェアエンジニアリング、データサイエンス分野でのキャリア形成を支援するプログラムを提供しています。

UdacityやCourseraのような学習プラットフォームと差別化される点は、実践的なプロジェクトに重点を置いていることです。これにより、AI主導の職種に求められるスキルを備えたプロフェッショナルを育成し、即戦力となる人材を輩出しています。

また、TripleTenで学んだ人材は、将来的にAIやクラウド技術と関わる職に就く可能性が高く、これが結果的に同社のAIエコシステムの強化につながるという長期的なメリットがあります。

「要するに？」

TripleTenはAIエンジニアのための学校のようなものです。

AIを作れる人は限られていますが、TripleTenではプログラミングやデータサイエンス、AI開発のオンラインコースを提供し、多くの人にそのスキルを学ぶ機会を与えています。

例えば、マーケティングの仕事をしている人がテクノロジー業界に転職したいと思っても、どこから始めればいいかわからないことがあります。TripleTenでは、AI関連のスキルを学び、成長著しいテクノロジー業界でのキャリアを築くサポートをしています。

4️⃣ Avride：AI技術を活用した自動運転システムの研究開発

AIアプリケーションの最前線で活躍するAvrideは、ネビウス・グループの自動運転技術の研究開発部門として、自律走行システムや配送ロボットの開発を行っています。

WaymoやCruiseなどの競合がロボタクシーサービスに特化しているのに対し、Avrideは物流の自動化や産業向けAIアプリケーションなど、より幅広い分野を視野に入れています。

現在はまだ開発初期の段階ですが、Avrideは同社のクラウドインフラを活用し、AIモデルのトレーニングを効率的に行えるという強みを持っています。そのため、将来的なモビリティ分野の成長を見据えた長期的な投資として位置づけられています。

「要するに？」

Avrideは、自動運転のピザ配達サービスのようなものです。

AIを活用した自動運転車やロボットを開発し、人間の運転手なしで車を走らせたり、荷物を届けたりする技術に取り組んでいます。

例えば、大学のキャンパスで小さなロボットが食べ物を配達しているのを見たことがあるかもしれません。Avrideは、それと同じ技術をもっと大規模に展開することを目指しています。

5️⃣ ネビウス・グループのAIエコシステムを支えるClickHouseの戦略的役割

これらの事業セグメントに加えて、ネビウス・グループはClickHouseの28%の株式を保有しています。ClickHouseはオープンソースの高性能データベース管理システムであり、AIやビッグデータの分野で広く活用されています。

ClickHouseはNebiusのアクティブな事業セグメントではありませんが、データ処理能力を強化することでNebiusのAIクラウド戦略を補完しています。これにより、NebiusはAIインフラ市場における存在感をさらに高めています。

これらの事業セグメントを組み合わせることで、Nebiusは垂直統合型のAIエコシステムを構築し、次世代のクラウドおよびAIソリューションプロバイダーとして独自の地位を確立しています。

「要するに？」

もしNebius.AIがジムだとしたら、ClickHouseはプロテインシェイクのようなものです。

AIモデルが大量の情報を素早く保存・取得できるようにすることで、すべてをスムーズに機能させる役割を果たします。

こうした要素が組み合わさることで、同社はAI開発のためのオールインワンプラットフォームとなり、企業がAIを構築・トレーニング・デプロイするための理想的な環境を提供しています。

加えて、ネビウス・グループは、AIを活用した脅威検知や暗号化技術など、高度なサイバーセキュリティ機能を提供しており、機密データをサイバー攻撃から保護します。このため、金融機関や政府機関など、機密情報を扱う企業にとって魅力的な選択肢となっています。

また、同社はクラウドコンピューティングの中核事業にとどまらず、エッジコンピューティング市場にも進出しています。エッジコンピューティングは、データ処理をエンドユーザーの近くで行うことで低遅延でのリアルタイム処理を可能にする技術です。特に、自動運転システム、リアルタイム分析、産業向けIoTなど、高速な応答性が求められる分野において大きな価値を提供します。

以上より、同社は、AIを活用した最適化技術、強固なセキュリティ対策、スケーラブルなインフラを組み合わせることで、クラウドコンピューティング業界で際立った存在となっています。

特に、自動化と効率化を重視する戦略により、変化し続けるクラウド市場の中で強力な競争力を持ち、従来の大手クラウドプロバイダーに対するコスト効率の高い、強力な代替ソリューションを提供しています。

ネビウス・グループは2030年までに2,600億ドル規模の市場を狙う

ネビウス・グループは、急成長を続けるAIクラウドコンピューティングおよびインフラ市場で事業を展開し、複数の高成長市場に参入しています。

同社の試算によると、AI技術全体の総市場規模（TAM）は2030年までに8,000億ドルに達し、2023年から2030年の年平均成長率（CAGR）は29%と予測されています。

この広範なAI市場の中で、同社はGPU-as-a-ServiceおよびAIクラウドセクターに特化しており、こちらの市場規模は2030年までに2,600億ドルに成長し、CAGRはさらに高い35%に達すると見込まれています。

つまり、同社はAI市場の中でも最も成長スピードの速いセグメントで事業を展開しており、高性能コンピューティング、機械学習ワークロード、大規模データ処理への需要拡大が、同社の成長を後押しすると考えられます。

（出所：ネビウス・グループの2024年10月の投資家向け資料）

Part 1は以上となります。Part 2では、同社を取り巻く競合環境を詳しく解説していきますのでお見逃しなく！

※続きは「【Part 2】ネビウス・グループ（NBIS：Nebius Group）の競争優位性とは？競合環境とテクノロジー上の強みを徹底分析！」をご覧ください。

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