10/07/2024

強気
ナイキ
強気
ナイキ(NKE)の現在の株価は82.25ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である121.19ドルよりも低い水準にあり、安全余裕率(マージン)が32.13%とプラスとなっていることから、割安である可能性が示唆されています。
ナイキ(NKE)今後の株価見通し:最新決算は苦戦も、配当金は0.37ドル、予想配当利回りは1.8%と安定の配当株!

white and black concrete buildingイアニス・ ゾルンパノスイアニス・ ゾルンパノス
  • 本稿では、ナイキ(NKE:予想配当利回り1.8%・配当性向40%・1株当たり配当金0.37ドル)の2024年10月1日に発表された最新の2025年度第1四半期決算発表と配当推移に関するトレンド、さらに、同社の財務パフォーマンスを詳細に分析していきます。 
  • そして、それらの分析を通じて、同社の目標株価、並びに、今後の株価見通しと将来性を詳細に解説していきます。
  • ナイキは、割安なバリュエーションで評価されている注目のスポーツシューズ・アパレルブランドであり、売上の3分の2を占めるフットウェアを中心に強力な地位を築いています。
  • 財務面では、高い収益性に加えて、安定した配当成長、さらに、自社株買いを継続して実行していることからも株主還元にも積極的であることが分かります。
  • 直近の業績は厳しいものの、デジタル分野の強化や積極的な買収を通じて長期的には成長が期待されていることからも、足元の株価水準は、特に配当収入を求めるインカム投資家にとって配当株として魅力的に映るかもしれません。

ナイキ(NKE)の概要


レーティング:強気

バリュエーション:割安

リスクレベル:低リスク


セクター:アパレル&アクセサリー

現在の株価:82ドル

時価総額:1,233.2億ドル

弊社算出の一株当たり本質的価値:121.19ドル

安全余裕率(マージン):32.13%

過去5年間の配当成長率:11.20%

前回配当落ち日:2024年9月3日

前回配当支払い日:2024年10月1日

予想配当利回り:1.80%

過去5年間の売上高成長率:7.90%

過去10年間の売上高成長率:8.00%


関連用語

安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。

売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。


足元の株価推移

(出所:筆者作成)

ナイキ(NKE予想配当利回り1.8%・配当性向40%・1株当たり配当金0.37ドル)は世界最大のスポーツシューズおよびアパレルブランドで、バスケットボール、ランニング、サッカーなどの分野で強力な地位を築いています。売上の約3分の2を占めるフットウェアは、ナイキの中核事業であり、ジョーダンブランドやコンバースも含めて幅広い顧客層に訴求しています。ナイキは自社店舗、フランチャイズ、第三者小売店を通じて世界中で製品を販売し、40か国以上でeコマースを展開している点がユニークです。また、生産のほぼすべてを30か国以上の契約製造業者に委託することで、効率的なサプライチェーンを構築しています。

財務面では、高い収益性と安定した成長が特徴で、直近のROIC(投下資本利益率)は25.15%と、資本効率の良さが際立っています。粗利益率は44.84%と安定しており、株主価値の向上に貢献しています。ナイキは株主への還元にも積極的で、年平均1.40%の自社株買いを実施しており、EPS(1株当たり利益)の向上に寄与しています。予想配当利回りは1.80%で、さらに、足元では過去20年以上にわたり連続して増配を継続していることからも、配当収入を求めるインカム投資家にとって魅力的な配当株となっています。

最近の買収については、デジタル分野の強化を目的とした企業買収を進めており、オンラインとオフラインの融合を目指す戦略の一環として、新しい技術やサービスを取り入れています。このように、ナイキは効率的なビジネス運営と積極的な成長戦略で、長期的に高い投資価値を提供しています。

そして、同社は2024年10月1日に2025年第1四半期決算を発表しています。


ナイキ(NKE)の最新の2024年度第2四半期決算発表に関して

ナイキ(NKE)の2024年10月1日に発表された、最新の2025年度第1四半期決算では、非経常損益項目を除くベースでのEPSが2024年第2四半期の1.01ドル、2023年第3四半期の0.94ドルから0.70ドルに減少しました。

希薄化後のEPSも前回の0.99ドルから0.70ドルに落ち込み、厳しい四半期であったことがうかがえます。

また、1株当たり売上高も前四半期の8.311ドルから7.716ドルに減少し、下落傾向が続いています。

一方で、長期的なパフォーマンスを見ると、下記のチャートからも分かる通り、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は13.60%で、過去10年間の年平均成長率は9.30%となっており、足元で成長が加速していることが分かります。

さらに、粗利益率は44.84%で、過去5年間の中央値である44.56%とほぼ同水準で安定しています。

加えて、ナイキは戦略的に自社株買いを続けており、過去1年間で発行済み株式の1.90%を買い戻しており、また、過去10年間の平均自社株買い比率は1.40%で、株主への安定した資本還元が行われていることがわかります。

このような戦略的な財務施策により、株式数を減らすことで1株当たり指標を改善し、利益への圧力を軽減することが期待されます。

今後のナイキの株価見通しについては、市場のアナリストは同社の売上高が今後数年間で大幅に成長し、2027年には5,306億5,450万ドルに達すると予測しており、今後10年間で年間約5%の成長が見込まれています。

また、2025年度のEPSは2.889ドル、2026年度は3.399ドルと予想されており、力強い回復と成長が期待されています。

次回の決算発表は2024年12月20日に予定されており、ナイキの今後の業績と市場動向についてさらに詳しい情報が得られるでしょう。

非経常損益項目を除くベースでのEPS

(年間ベース:直近4四半期の合計値

(出所:筆者作成)


関連用語

EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。

非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。

希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。

1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。

粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。

自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

関連コラム

配当株投資関連の専門用語と重要指標一覧


ナイキ(NKE)の財務パフォーマンスに関して

ナイキ(NKE)の財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)、加重平均資本コスト(WACC)、自己資本利益率(ROE)の観点から分析していきます。

まず、同社の財務パフォーマンスは、過去10年間にわたり継続して経済的な価値を創造していることを示しています。

なぜなら、同社のROICは常にWACCを上回っており、資本を効率的に活用していることが確認できるためです。

過去5年間のROICの中央値は27.72%で、現在の水準は25.15%と、過去5年のWACCの中央値である7.99%や、現在の水準である10.01%を大きく上回っています。

この差は、同社が資本コストを超える経済的価値を安定して生み出していることを示しています。

また、過去5年間のROEの中央値は40.09%、現在の水準は37.48%と高水準であることから、株主の資本から効率よく利益を上げていることがわかります。

これらの指標から、ナイキは資本配分を効果的に行い、株主価値を高めながら市場の変動にも対応していることがうかがえます。

以上より、ナイキのROICが長年にわたりWACCを上回っていることは、その優れた同社の財務戦略を裏付けており、業界内で価値を生み出すリーダーとしての地位を確立していると言えるでしょう。

投下資本利益率(ROIC)加重平均資本コスト(WACC)の比較

(出所:筆者作成)


関連用語

総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。

自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。

投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。

ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。

加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

関連コラム

配当株投資関連の専門用語と重要指標一覧


ナイキ(NKE)の配当に関して

ナイキ(NKE)の最近の配当支払いは安定した成長を続けています。

最新の四半期における1株あたり配当金は0.37ドルで、前年の0.34ドルから増加しています。

また、過去5年間の配当成長率は11.20%で、過去3年間の配当成長率も10.70%と高水準を維持しており、足元では20年以上にわたり連続して増配を継続しています。

さらに、足元の予想配当利回りは1.80%で、過去10年間の中央値である1.04%と比べても高く、業界内でも競争力のある水準と言えます。

また、EBITDA有利子負債倍率は1.99倍で、財務リスクが低く、債務返済能力が高いことを示しており、配当の維持や成長を支える要因となっています。

基本的には、EBITDA有利子負債倍率は2倍以下であれば財務リスクが低く、4倍以上であれば財務リスクが高いことを示すとされています。

ただし、今後3〜5年間の配当成長率は4.64%と控えめな水準となっており、これは経済全体の不透明感を反映した保守的な見通しによるものかもしれません。

配当金は年4回支払われており、次回の権利落ち日は2024年12月2日となる予定です。

全体として、ナイキの配当推移は過去の配当支払いの実績と安定した財務状況からも堅実であり、配当収入を求めるインカム投資家には魅力的に映るかもしれません。

予想配当利回り1.80%

配当性向40%

配当カバレッジ・レシオ2.36

過去5年間の配当成長率11.20%

EBITDA有利子負債倍率1.99

DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金

(出所:筆者作成)

Dividend Yield:予想配当利回り

(出所:筆者作成)

Dividend Payout:配当性向

(出所:筆者作成)


関連用語

1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。

配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。

予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。

配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。

EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。

配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。

配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。

配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

関連コラム

配当金とは?配当金の詳細と仕組みを徹底解説!

配当株投資のメリットとリスクとは?

インカム・高配当株投資家として成功するためには?米国株高配当銘柄から成るポートフォリオのメリットと作り方を徹底解説!

50年以上連続して増配する米国株配当王の一覧・ランキングと投資を検討する際に考慮すべきポイントを徹底解説!

最新のバフェット銘柄:ウォーレン・バフェット氏がポートフォリオに保有する株式一覧と投資哲学、最新の注目銘柄を徹底分析!

配当株投資関連の専門用語と重要指標一覧


ナイキ(NKE)のバリュエーションに関して

ナイキ(NKEの現在の株価は82.25ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である121.19ドルよりも低い水準にあり、安全余裕率(マージン)が32.13%とプラスとなっていることから、割安である可能性が示唆されています。

また、足元の予想PERは28.86倍で、直近過去12カ月間の実績ベースのPERである23.57倍より高いものの、過去10年間の中央値である31.68倍を下回っており、歴史的な水準から見ても割安といえます。

加えて、直近のPBRは8.84倍で、過去10年間の中央値である11.45倍より低く、簿価ベースでも割安の可能性があります。

さらに、直近のEV/EBITDA倍率は20.52倍で、過去10年間の中央値である22.98倍よりやや低いものの、依然として合理的な範囲内であり、市場がナイキの利益に対してやや保守的に評価していることを示しています。

直近の株価フリー・キャッシュフロー倍率は18.95倍で、過去10年間の中央値である35.87倍を大きく下回っており、フリーキャッシュフローベースでも割安と考えられ、安全域があることを裏付けています。

そして、市場のアナリストの評価も概ね好意的で、目標株価の平均値は91.89ドルと現在の株価を上回っていますが、弊社算出の一株当たり本質的価値よりは低い水準となっています。

これは市場全体の状況や会社特有のリスクを考慮しつつも、成長の可能性に対する慎重な期待を示しています。

全体として、ナイキのバリュエーション指標は過去の平均と比較して割安であり、特にフリーキャッシュフロー面での強さが目立っていることからも、現在の株価水準は割安である可能性があります。

(出所:筆者作成)


上記グラフにおける関連用語

Price:現在の株価

Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値

DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価

DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価

Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価

Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価

赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値


関連用語

実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。

株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。

株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。

EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。

PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

関連コラム

PER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)とは?PERとPBRの詳細と目安を徹底解説!

PERはマイナスになることがあるのか?PERの詳細と目安を徹底解説!

PER(株価収益率)100倍の銘柄は買うべき?PERの考え方を徹底解説!

株価売上高倍率(PSR)とは?株価売上高倍率の詳細と目安を徹底解説!

配当株投資関連の専門用語と重要指標一覧


ナイキ(NKE)のリスクとリターンに関して

ナイキ(NKEのリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います

まずマイナス面では、直近3ヶ月間でインサイダーによる同社株式の売却が16万7,897株に達し、買い付けは一切行われていないことから、インサイダーが同社の今後の株価見通しに自信を持っていない可能性が考えられます。

さらに、売上の伸びが鈍化し、利益も減少傾向にあることから、予想PERが過去の実績ベースのPERを上回っており、市場が短期的な利益の減少を見込んでいることが示唆されています。

しかし、このようなリスクを和らげる要素もいくつかあります。

同社はピオトロスキーのFスコアが8と高水準にあり、財務の健全性が非常に強いことを示しています。

また、ベニッシュのMスコアは-2.61となっており、利益操作を行っている可能性が低いことから、同社の財務諸表への信頼が高いと言えます。

さらに、営業利益率の拡大は効率性とコスト管理の改善を示しており、収益性の向上が期待できます。

アルトマンのZスコアも5.55と高水準にあり、財務的な安定性があり、破産リスクが低いことを示しています。

全体として、ナイキには売上成長の鈍化やインサイダー売却といった懸念はあるものの、強固な財務基盤と運営効率の向上により、有望な投資先であるように見えます。


関連用語

財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。

アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。

ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。

ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。

インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、2倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の2倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。

ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

関連コラム

配当株投資関連の専門用語と重要指標一覧


ナイキ(NKE)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して

過去1年間のナイキ(NKE)のインサイダー取引を振り返ると、取締役や経営陣による売却が目立つことが分かります。

直近過去3ヶ月ではインサイダーによる同社株式の買い付けはなかった一方で、売却が3件ありました。

これを過去6ヶ月間に広げても、買い付けは1件のみで売却は7件となっています。

過去12ヶ月間でも、買い付けは1件に対して売却が9件と、一貫して売りが優勢であることが分かります。

この動きは、市場環境や内部の戦略的な方向性などの影響で、インサイダーが短期的な同社株式の見通しに自信を持っていないことを示している可能性があります。

ただし、インサイダーによる売却は必ずしも同社の業績に関連するものではなく、インサイダー個人の財務上の理由等で行われることもあります。

一方で、現在、インサイダーによる同社株式の保有比率は1.07%と低めとなっておりますが、プロの機関投資家による保有比率は64.96%と高水準となっており、大手投資ファームの同社への関心の高さがうかがえます。

このため、インサイダーによる売却が続いてたとしても、プロの機関投資家の存在がナイキの株式の安定性を支えていると考えられます。

インサイダー(内部関係者)による売買

(出所:筆者作成)


関連用語

インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。

機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。


ナイキ(NKE)の流動性に関して

ナイキ(NKEは、豊富な流動性と取引の活発さを示しており、その証拠として日々、大きな出来高を伴っています。

過去2ヶ月間の平均日次出来高は約1,291万株に達しており、同社の取引が非常に活発であることがわかります。

また、直近の営業日における出来高も1,027万株を記録しています。

この高い流動性により、同社株式を売買するための市場は効率的に機能し、投資家の取引コストが抑えられるため、同社株式の魅力が高まっていると言えます。

また、同社のダークプール指数(DPI)は53.96%であり、取引の大半が伝統的な取引所ではなく、代替的な取引システムで行われていることを示しています。

さらに、DPIが50%を超えるということは、プロの機関投資家の関心が高いことを示し、その理由としては、彼らが大口取引を市場価格に影響を与えずに実行するためにダークプールを利用していることが多いためです。

総じて、ナイキの流動性と高いDPIは、同社株式が公的取引所とダークプールの間でバランスよく活発に取引されていることを示しています。

この高い流動性と大きな機関投資家の関与は、同社株式が安定性と取引効率を求める投資家にとって魅力的な選択肢であることを示しています


関連用語

ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。

ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。


アナリスト紹介:イアニス・ゾルンパノス氏

イアニス・ゾルンパノス氏は、詳細なビジネス分析を通じてデューデリジェンス・プロセスを向上させることを目的とした株式市場調査プラットフォーム、「イアゾウ・キャピタル・リサーチ」の創設者です。

以前はデロイトとKPMGで外部監査と内部監査、並びに、コンサルティング業務に従事しておりました。ゾルンパノス氏は、公認会計士資格を保有し、ACCAグローバルのフェロー・メンバーでもあります。更に、英国の一流ビジネススクールで学士号と修士号を取得しております。

ゾルンパノス氏のその他の配当関連のレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、ゾルンパノス氏のプロフィールページにアクセスしていただければと思います。

その他のナイキ(NKEはに関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、ナイキのページにアクセスしていただければと思います。

インベストリンゴでは、弊社のアナリストが、高配当関連銘柄からAIや半導体関連のテクノロジー銘柄まで、米国株個別企業に関する動向を日々日本語でアップデートしております。そして、インベストリンゴのレポート上でカバーされている米国、及び、外国企業数は250銘柄以上となっております。米国株式市場に関心のある方は、是非、弊社プラットフォームよりレポートをご覧いただければと思います。

弊社がカバーしている企業・銘柄の一覧ページはこちら

Yiazou.com

※インベストリンゴ上のいかなるレポートは、投資や税務、法律のアドバイスを提供するものではなく、情報提供を目的としています。本資料の内容について、当社は一切の責任を負いませんので、あらかじめご了承ください。具体的な投資や税務、法律に関するご相談は、専門のアドバイザーにお問い合わせください。