エヌビディア(NVDA)株価の今後の予想とは?最新の2025年第3四半期決算分析を通じて今後の株価見通しに迫る!
ウィリアム・ キーティング- 本稿では、注目の米国半導体銘柄であるエヌビディア(NVDA)の11月20日に発表された最新の2025年第3四半期(暦年:2024年度第3四半期)決算分析を通じて、同社の今後の株価見通しを詳しく解説していきます。
- エヌビディアの2025年第3四半期決算では売上高が前年同期比94%増の350.82億ドルに達し、特にデータセンター事業が好調で、収益は112%増加しました。
- 次世代アーキテクチャ「Blackwell」の導入に向けた工程が進められており、生産歩留まりの向上や供給制約への対応が課題となっています。
- データセンター事業の拡大と生成AI関連需要の高まりを背景に、エヌビディアは引き続き成長を見込んでおり、次四半期の売上高は375億ドルを予想しています。
エヌビディア(NVDA)の最新の2025年第3四半期決算発表に関して
エヌビディア(NVDA)は11月20日に最新の2025年第3四半期(暦年:2024年度第3四半期)の決算を発表しました。
この発表は現在、決算カレンダーの中でも特に注目されるイベントとなっています。
同社の売上高は350.82億ドルに達し、前四半期比17%増、前年同期比94%増と大幅な成長を遂げました。
さらに、ガイダンスの中間値を25億ドルも上回る結果となりました。
GAAPベースの粗利益率は74.6%で、ガイダンス通りの水準を維持し、前四半期および前年同期とほぼ変わりませんでした。
エヌビディアの四半期毎売上高(セグメント別・単位:10億ドル)
(出所:筆者作成)
次の四半期については、同社は売上高を375億ドル(前四半期比約7%増)と見込んでいます。
ただし、粗利益率はわずかに低下し、73%になると予想しています。
今回の決算説明では、CFOのコレット・クレス氏が主に発表を担当し、その多くの時間がデータセンター事業に関する内容に費やされました。
それも当然と言えるでしょう。
データセンター事業の収益規模は、他の事業セグメントを圧倒的に上回っているからです。
では、最新の決算説明会での遣り取りの一部を見ていきましょう。
(原文)Data Center revenue was a record, up 112% from a year ago and up 17% sequentially. The strong year-on-year and sequential growth was driven by demand for our Hopper computing platform for training and inferencing of large language models, recommendation engines, and generative AI applications.
(日本語訳)データセンター事業の売上高は過去最高を記録し、前年同期比で112%増、前四半期比でも17%増となりました。この成長を支えたのは、大規模言語モデルの学習や推論、レコメンデーションエンジン、生成AIアプリケーション向けに提供している「Hopper」コンピューティングプラットフォームへの高い需要です。
そして、データセンター事業を計算処理とネットワークの各セグメントに分けてみると、以下のような詳細が明らかになりました。
(原文)Data Center compute revenue was $27.6 billion, up 132% from a year ago and up 22% sequentially. Networking revenue was $3.1 billion, up 20% from a year ago driven by Ethernet for AI, which includes SpectrumX end-to-end ethernet platform.
(日本語訳)データセンターの計算処理セグメントの売上高は276億ドルに達し、前年同期比で132%増、前四半期比でも22%増加しました。一方、ネットワークセグメントの売上高は31億ドルで、前年同期比で20%増となりました。この成長は、AI向けEthernet需要の拡大に支えられたもので、SpectrumXを含むエンドツーエンドのEthernetプラットフォームが大きく貢献しています。
また、Blackwell問題には簡単に触れられただけでしたが、Q&Aセッションで再び話題となりました。
この件については後ほど詳しくお伝えします。
(原文)We completed a successful mask change for Blackwell, our next Data Center architecture, that improved production yields.
(日本語訳)次世代データセンターアーキテクチャ「Blackwell」のマスク変更を無事に完了し、生産歩留まりを向上させることに成功しました。
最後に、HopperとBlackwellの両方で供給制約が存在していること、特にBlackwellでは来年以降も需要が供給を大幅に上回る状況が続く見通しであることが分かりました。
(原文)Both Hopper and Blackwell systems have certain supply constraints, and the demand for Blackwell is expected to exceed supply for several quarters in fiscal 2026.
(日本語訳)HopperとBlackwellの両システムには供給制約があり、特にBlackwellは2026会計年度の数四半期にわたり、需要が供給を大幅に上回る見込みです。
CEOのジェンセン・フアン氏は、いつものようにQ&Aセッションで熱のこもった長いスピーチを披露しました。
彼はBlackwellの過熱問題に関する噂や、生成AIの未来、そしてそれが現在のコンピューティングの在り方をどのように変えるのかについて語りました。
そのビジョンは非常に興味深いものの、一部に大きな課題があるようです。それでは詳細を見ていきましょう。
エヌビディア(NVDA)のBlackwellの過熱問題
一部のBlackwellプロセッサに過熱問題があるという噂が広まっており、現在出荷されているプロセッサにその懸念があるとされています。
この件については、エヌビディア(NVDA)はQ&Aセッションで直接言及され、以下のように説明がありました。
(原文)There were some reports over the weekend about some heating issues. On the back of this, we've had investors ask about your ability to execute the road map you presented at GTC this year
(日本語訳)週末に一部で過熱問題に関する報道がありました。この件を受けて、今年のGTCで発表されたロードマップを実行する能力について、投資家から質問が寄せられています。
GTCとは、エヌビディアが主催する「GPU Technology Conference(GPUテクノロジーカンファレンス)」の略称です。
このイベントは、GPUやAI、ディープラーニング、データサイエンス、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)、ビジュアルコンピューティングなど、幅広い分野における最新技術や応用を紹介する場として、世界中から注目を集めています。
そして、CEOのジェンセン・フアン氏の回答はというと、非常に長くてここで全文を紹介するのは難しいうえに、実は質問に直接答えているわけでもありません。
ただ、いくつかの発言から、実際の状況をうかがい知るヒントが得られるかもしれません。
(原文)And there's obviously a lot of engineering that we're doing across the world.
(日本語訳)世界中で多くのエンジニアリング作業を行っているのは言うまでもありません。
(原文)The engineering that we do with them is, as you know, rather complicated.
(日本語訳)私たちが彼らと協力して取り組んでいるエンジニアリングは、ご存じの通り非常に複雑です。
(原文)That integration process, it's something we've done for several generations now. We're very good at it but still there's still a lot of engineering that happens at this point.
(日本語訳)統合プロセスはこれまで数世代にわたって実施してきたもので、私たちはその点において高い技術を持っています。しかし、それでも現時点では多くのエンジニアリング作業が必要とされています。
(原文)The integration of all of those systems into the world's data centers is nothing short of a miracle.
(日本語訳)これらのシステムを世界中のデータセンターに統合する作業は、まさに奇跡といえるレベルです。
(原文)The Blackwell systems go in air-cooled or liquid-cooled, NVLink 8, NVLink 36, NVLink 72. We have x86 or Grace.
(日本語訳)Blackwellシステムは空冷と液冷の両方に対応しており、NVLink 8、NVLink 36、NVLink 72に対応しています。また、x86やGraceにも対応しています。
これらの発言から、Blackwellプロセッサを顧客のデータセンターに統合するプロセスが非常に複雑であることがよく伝わってきます。
さらに、顧客がシステムの構成、接続方法、冷却方式を自分たちで選択できる点も、この複雑さに拍車をかけています。
要するに、Blackwellが世界中の顧客のデータセンターに導入される中で、さまざまな課題や問題が発生し、それに対応する必要が出てくることは避けられないでしょう。
ただし、この状況を特に深刻な問題と捉える必要はないと私は考えています。
一方で、今回の決算説明会におけるジェンセンCEOのビジョンには幾つかの課題があったように感じました。
そこで、次章では、ジェンセンCEOのビジョンとその課題について詳しく解説していきたいと思います。
※続きは「エヌビディア(NVDA)の株価は5年後も堅調?決算説明会におけるジェンセンCEOのビジョンの分析を通じて将来性に迫る!」をご覧いただければと思います。
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