エヌビディア(NVDA)の株価急落の理由とは?ジェンスン・ファンCEOのCESでの基調講演の詳細を徹底解説!
ウィリアム・ キーティング- 本稿では、注目の半導体銘柄であるエヌビディア(NVDA)の「株価急落の理由とは?」という疑問に答えるべく、ジェンスン・ファンCEOの最新のCESでの基調講演に関して詳しく解説していきます。
- ジェンスン・ファンCEOは基調講演で、新しいゲーミングGPU「GeForce RTX 50シリーズ」、オープンソース基盤モデル「Cosmos」、自動運転向けチップ「Thor」、およびデスクトップ用スーパーコンピュータ「Project Digits」など、革新的な技術を発表しました。
- 「Cosmos」では、物理AIシステム開発を支援するための生成型基盤モデルを提供し、膨大な動画データを活用してリアルな合成データを生成可能とし、開発効率を向上させる点が注目されています。
- エヌビディアの発表は技術的な注目を集めたものの、株価は過去最高値から約10%下落しており、同社の製品性能や市場反応については慎重な評価が求められています。
エヌビディア(NVDA)のジェンスン・ファンCEOのCESでの基調講演に関して
エヌビディア(NVDA)のCEO、ジェンスン・ファン氏は、今週のCESで基調講演を行い、テクノロジー業界で最も魅力的なスピーカーの一人としての評価をさらに高めました。個人的には、あの光沢のある(ワニ革でしょうか?)レザージャケットは選ばなかったと思いますが、まあ、私はテック界のロックスターではないので、偉そうなことは言えませんね。
約90分にわたるこのイベントは、盛りだくさんの内容でした。まず、次世代のゲーミングGPUシリーズ「GeForce RTX 50シリーズ」の待望の発表でスタート。続いて、オープンソースの基盤モデル「Cosmos」が発表されました。このモデルは2,000万時間分の動画データでトレーニングされ、「物理的で動的な現象」に特化しているとのことです。その後、自動運転向けの新チップ「Thor」が紹介され、前世代の「Orin」と比べて「20倍の処理能力」を持つとされています。そして最後には、「Project Digits」という名のデスクトップ用スーパーコンピューターが発表されました。価格は約3,000ドルで、最大2,000億パラメータのAIモデルをローカルで実行可能とのことです。詳細はこちらで確認できます。
(日本語訳)NVIDIA プロジェクト DIGITS
(日本語訳)Grace Blackwell AI スーパーコンピュータがあなたのデスクに。
(日本語訳)エヌビディアの「GB10 Grace Blackwell Superchip」を搭載したプロジェクト DIGITSは、1ペタフロップのAI性能を、コンパクトで省電力なフォームファクターで提供します。NVIDIA AIソフトウェアスタックがあらかじめインストールされており、128GBのメモリを備えています。これにより、開発者は最大2000億パラメータの大規模AIモデルをローカル環境でプロトタイプ作成、微調整、推論が可能で、データセンターやクラウドへのシームレスな展開も実現できます。
(出所:エヌビディアのHP)
AI搭載PCなんて話は吹き飛ぶほど、これはまさにスーパーコンピュータPCです! しかし、大きな話題と驚きの発表にもかかわらず、エヌビディアの株価はCES直前の過去最高値から約10%も下落してしまいました。
(出所:Yahoo Finance)
なぜこのようなネガティブな反応が起きたのでしょうか? この理由を探るとともに、各発表の内容を詳しく掘り下げていきます。特にデスクトップスーパーコンピュータに焦点を当てて解説していきます。それでは、早速見ていきましょう…。
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先ほども触れましたが、エヌビディア(NVDA)の基調講演は90分とかなり長めです。また、内容は複雑で未来的な要素が多く、これぞジェンスン氏のスタイルといったところです。すべて視聴するのは大変かもしれませんが、こちらから視聴できる講演の中で、特に最初の8分間は必見です。この部分では、GPUの歴史と進化について簡潔にまとめられており、ゲーミングの世界から加速計算やAIの分野へと広がった軌跡が非常にわかりやすく解説されています。
エヌビディア(NVDA)のGeForce RTX 50シリーズ
RTX 50シリーズの詳細に入る前に、ジェンスン氏のプレゼンで言及された2つの企業名のうち1つ、マイクロン・テクノロジー(MU)について触れておきたいと思います。GPUの構築に使用されるコンポーネントを紹介する際、彼は「マイクロン・テクノロジーのG7メモリ」をさらりと挙げました。この発表を受けて、マイクロン・テクノロジーの株価は急上昇。その後数日間で若干の調整がありましたが、それでもCES 2025以前と比較して約10%高い水準を維持しています。
(出所:Yahoo Finance)
RTX 50シリーズのゲーミングGPUの主な狙いは、データセンター向けのAI加速で知られるBlackwellアーキテクチャをゲーミング分野に導入することです。それに加え、ジェンスン氏によると、エヌビディア(NVDA)はBlackwellが可能にしたAI技術を活用し、この最新世代のゲーミングGPUによる視覚体験を大幅に強化したとのことです。
(日本語訳)NVIDIA Blackwell GeForce RTX 50シリーズがAIコンピュータグラフィックスの新時代を切り開く
(日本語訳)次世代GeForce RTX GPUは、AI、ニューラルシェーダー、DLSS 4の力を活用し、驚異的なビジュアルリアリズムと2倍の性能向上を実現します。
ここでエヌビディアが伝えたかった重要なポイントの一つは、現在のトップクラスのゲーミングGPUである「RTX 4090」の推奨小売価格が1,599ドルであるという点ですが…。
RTX 50シリーズのエントリーモデルである「RTX 5070」は、今月末に発売予定で、推奨小売価格はわずか549ドル。それにもかかわらず、「RTX 4090と同等の性能」を実現しているとされています。
RTX 50シリーズの全ラインナップは次の通りです。
では、エヌビディアの最新グラフィックスカードをどう評価すれば良いのでしょうか?私はゲーマーではないので、この問いに対しては明確な答えを出せませんが、YouTuberの「Moore’s Law Is Dead」が自身の見解を語っています。彼の主張を要約すると、「エヌビディアの性能向上の主張は、独立したレビューが多数出そろうまで慎重に捉えるべきだ」というものです。前世代のグラフィックスカードが発売された際、エヌビディアは性能に関して大きな期待を煽りましたが、結果的にはその期待を裏切る形になったことが多かったと指摘されています。今回も同じようなことが起こる可能性はあるかもしれませんが、現時点ではまだ判断するには早すぎるようです。
エヌビディア(NVDA)のオープンソース基盤モデル「Cosmos」
以下は関連プレスリリースの冒頭部分です。詳細はこちらをご覧ください:
(原文)NVIDIA today announced NVIDIA Cosmos™, a platform comprising state-of-the-art generative world foundation models, advanced tokenizers, guardrails and an accelerated video processing pipeline built to advance the development of physical AI systems such as autonomous vehicles (AVs) and robots.
(日本語訳)エヌビディアは本日、「NVIDIA Cosmos™」を発表しました。このプラットフォームは、最新の生成型基盤モデル、高度なトークナイザー、安全管理機能、そして自動運転車やロボットといった物理AIシステムの開発を加速させるための高速動画処理パイプラインを備えています。
(出所:エヌビディアのHP)
基本的なアイデアは、物理AIモデルの開発には多大なコストと時間がかかるため、エヌビディア(NVDA)が「World Foundation Models(WFM)」と呼ばれるモデルを提供することで、この負担を軽減するというものです。WFMには、動きの物理法則や手で物を操作する仕草など、実世界のユースケースに関する膨大な情報が含まれています。これらのモデルは、2,000万時間分の動画を活用して作られたとのことですが、そのデータがどこから集められたのか、少し気になりますね。ともあれ、このプレスリリースの重要なポイントは次の通りです:
(原文)WFMs offer developers an easy way to generate massive amounts of photoreal, physics-based synthetic data to train and evaluate their existing models.
(日本語訳)WFMは、開発者が物理法則に基づいたフォトリアルな大量の合成データを簡単に生成できる手段を提供し、既存モデルのトレーニングや評価を効率化します。
エヌビディアの狙いは一目瞭然です。同社はすでにCUDAという大きな競争優位性を持っていますが、今回の取り組みで、さまざまなユースケースに対応した合成データを提供することで、ハードウェアの魅力をさらに高めようとしています。そして予想通り、これらのWFMはGitHubでオープンライセンスとして公開されています。ジェンスン氏、さすがの一手ですね!
次章では、エヌビディアの自動車用プロセッサ「Thor」とAIスーパーコンピュータの「Project Digits」、そして、最後に当CESでのジェンスン・ファンCEOの基調講演に関する私の見解を開設していきたいと思います。
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※続きは「エヌビディア(NVDA)AIスーパーコンピュータ「Project Digits」とは?株価急落の理由と併せて徹底解説!」をご覧ください。
アナリスト紹介:ウィリアム・キーティング
📍半導体&テクノロジー担当
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