【テクノロジー】AIの今後の展望とは?ビッグテックによる27兆円のAI投資の真相とAI市場の将来性を徹底解説!
イアニス・ ゾルンパノス- 本稿では、「AIの今後の展望とは?」という疑問に答えるべく、AI市場の現状と将来性、並びに、将来の投資チャンスに関して詳しく解説していきます。
- AI市場はハードウェアやデータセンター、ソフトウェアの進化とAI推論システムへの需要拡大により急速に成長しており、投資家にとって新たな分野での優位性を得るチャンスが広がっています。
- アップルやエヌビディアなど「マグニフィセント7」がAI分野に巨額の設備投資を行い、2024年のAI関連CapExは前年比56%増が予測されるなど、生成AIやデータセンターへの重点投資が進んでいます。
- AIモデルのトレーニングや推論を支えるデータセンターの進化が進む一方、エッジデータセンターの役割が拡大し、自動運転やIoTなどのリアルタイムAIアプリケーションへの対応が加速しています。
AI市場の現状と将来の投資チャンス
AI市場は今、ハードウェアやデータセンター、ソフトウェアの急速な進化、そしてスケーラブルなAI推論システムへの需要拡大によって、大きな変革を遂げつつあります。
エヌビディア(NVDA)のGPUが注目を集めていますが、その裏にはまだ多くの可能性が隠されています。
現在、インフラへの投資がAIアプリケーションからの収益を上回っていますが、このバランスの偏りは、クラウドコンピューティングやインターネットの黎明期でも見られた歴史的なサイクルに似ています。
計算能力やネットワーク、ストレージ、そして新たに注目されるエッジ推論の分野を深掘りすることで、投資家はまだ見過ごされている領域を見つけ出し、一歩先を行く有利なポジションを築くことができるでしょう。
(出所:Visual Capitalist)
ビッグテックの27兆円のAI投資:次なるデジタル革命を巡る競争
テクノロジー大手「マグニフィセント7」である、アップル(AAPL)、マイクロソフト(MSFT)、アマゾン(AMZN)、アルファベット(GOOG)、テスラ(TSLA)、エヌビディア、メタ・プラットフォームズ(META)による設備投資(CapEx)の急増は、AI分野でのフルスタック機能の開発や推進が加速していることを強く示しています。
2024年にはAI関連の設備投資額が前年比56%増の約2400億ドル(約36兆円)に達すると予測され、2025年には2750億ドル(約41兆円)を超える見込みです。
そして、投資の重点は以下の3つの分野に置かれています。
第一に、計算負荷の大きいAIワークロードを支えるための新たなデータセンターの建設。
第二に、エヌビディアのH100 GPUをはじめとするGPUの調達や、グーグルのTPUやメタ・プラットフォームズのMTIAチップといった独自のアクセラレーターの開発。
そして第三に、生成AIをクラウドプラットフォーム、生産性向上ツール、消費者向けアプリケーションに統合するAIの研究開発(R&D)およびソフトウェアの強化です。
この積極的な投資は、AIの持つ変革力に対するビッグテックの期待を反映しており、IDCはAIが2030年までに世界経済に20兆ドル(約3000兆円)のインパクトをもたらすと予測しています。
すでに投資効果は現れ始めており、マイクロソフトはAI分野で年間100億ドル規模の収益を実現し、アマゾンのAWS AI事業も三桁成長を記録しています。
投資家にとっての重要なポイントは、AI製品やサービスが拡大する中で、具体的なリターンを追跡することです。
短期的な投資回収(ROI)の指標には、マイクロソフトのCopilotスイートやAzure AI APIなどのAIを活用した収益の拡大、企業による生成AIの採用の増加、ビッグテック全体での運用効率の向上などが含まれます。
エヌビディアが依然としてGPU市場をリードしている一方で、データセンターの冷却技術(例:バーティブ・ホールディングス(VRT)、Schneider Electric(SBGSF))、ネットワークインフラ(例:アリスタ・ネットワークス(ANET))、モジュール型データセンター(例:エクイニクス(EQIX))などの分野も、ハイパースケール事業者がインフラ最適化を進める中で利益を得るポテンシャルがあります。
AI関連の設備投資(CapEx)の持続性に懐疑的な意見もありますが、特にGPUやカスタムアクセラレーターに対する需要が供給を上回っている現状を受け、企業幹部たちは引き続き投資の必要性を強調しています。
投資家は、ビッグテックのAI投資が、長期的かつ数兆ドル規模の成長機会の基盤を築いていることを認識し、競争力の高い強固な事業基盤を持ち、スケーラブルなビジネスモデルと多様な収益源を備えた企業に注目するべきでしょう。
AIバリューチェーンにおける以下のテーマは、特に大きな成長の可能性を秘めています。
(出所:Felicis)
投資家の期待とリターンの見通し
一方で、投資家たちはこれらの設備投資が具体的な利益を生み出すタイミングを注視しています。
このような大規模な投資の場合、リターンが本格化するまでの期間は通常数年に及ぶ可能性があります。
AI対応製品やサービスが市場に投入され、収益が生まれ始める2~3年後が、最初のリターンの兆候が見られる時期と考えられます。
これらの投資の成果を見極めるため、以下の点に注目することが重要であると考えています:
1. AIサービスの収益成長
AI対応製品やサービスが生み出す収益の増加は、AIの商業化が成功していることを示す指標となります。
2. 市場での採用率
消費者や企業による採用率が高いほど、AIソリューションが広く受け入れられ、スケールアップしていることを意味します。
3. 運用効率の改善
AI統合によるコスト削減や業務効率の向上は、内部的な利益を測る重要な指標です。
4. 戦略的パートナーシップと顧客獲得
新しいパートナーシップやAIサービスの顧客獲得は、市場からの信頼や商業的成功の兆候といえます。
現在の設備投資の急増は、AIの進化に向けた強いコミットメントを示していますが、大きなリターンを得るまでの期間には幅があります。
長期的な視点を持つ投資家は、大局的な観点でAIの潜在的な変革力を評価するべきでしょう。
これまでの技術革命と同様、AIによる利益が本格化するには時間がかかることを認識する必要があります。
データセンター市場の基盤とAIの役割
生成AIや大規模な機械学習モデルの普及に伴い、データセンターへの需要が飛躍的に増加し、AI革命の中核を支える重要な存在となっています。
現在のデータセンター市場は、「計算能力(コンピュート)」「ネットワーク」「ストレージ」という3つの主要分野に分類され、これらを支える要素として電力インフラや冷却システムが不可欠です。
アマゾン(AWS)、マイクロソフト(Azure)、グーグル(Google Cloud)といったハイパースケーラーは、AI向けに最適化されたデータセンターを構築するため、巨額の設備投資を進めています。
エヌビディアのジェンセン・フアン氏によれば、現代のデータセンターにかかるコストの約半分は、土地、電力、冷却などのインフラに費やされ、残りの半分はサーバーやネットワークスイッチ、GPUといった中核技術に充てられています。
AIはモデルのトレーニングや推論に膨大な計算リソースを必要としますが、課題はそれだけにとどまりません。
AIアプリケーションが拡大するにつれて、GPUの性能を超えたデータフローの最適化(ネットワーク)や電力効率(冷却)の向上といった分野でもボトルネックが発生しています。
そして、これらのデータセンターの規模は圧倒的です。
エヌビディアのDGXを基盤としたシステムは、大規模AIモデルのトレーニングにおいて業界標準となり、GPU、ネットワーク、ソフトウェアを統合した強力なソリューションを提供しています。
一方で、エクイニクスやデジタル・リアルティ・トラスト(DLR)といったデータセンター運営企業は、コロケーションサービスや物理インフラの提供を通じて、AIインフラの重要な担い手として台頭しています。
今後注目されるのは、エッジデータセンターがハイパースケールデータセンターをどのように補完しながら成長していくかです。
エンドユーザーに近い場所に設置されるエッジデータセンターは、遅延を大幅に削減し、自動運転車、AR/VR、IoTデバイスといったアプリケーションにおけるリアルタイムのAI推論を可能にします。
エッジ向けの冷却技術やネットワーク、マイクロデータセンターに特化した企業は、この新たな市場で大きな成長を期待できるでしょう。
データセンターの電力、セキュリティ、冷却ソリューション
Quartr Proの高度な検索機能を活用し、それぞれの分野に特化した企業をできる限り特定しました
(出所:Quartr)
次章では、大きな成長の可能性を秘める、AI市場の今後の注目分野である「AI推論」と「エッジコンピューティング」に関して詳しく解説していきます。
※続きは「【テクノロジー】AIの今後の発展:AI推論とエッジコンピューティングが次なる大きな成長の可能性!」をご覧ください。
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