01/09/2025

【半導体:Part 6】2025年度の注目の半導体銘柄とは?

A black table topped with black plates covered in confettiダグラス・ オローリンダグラス・ オローリン
  • 本編は、注目の半導体セクターの2024年度の振り返りと今後の見通しに関する詳細な長編レポートであり、6の章で構成されています。 
  • 本稿Part 6では、2025年度に私が注目する半導体銘柄の今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
  • 2025年の半導体銘柄については、「攻め」よりも「守り」を重視し、適正価格で買える成長銘柄や防御的な投資先を見極めるべきタイミングであると考えています。
  • エヌビディア(NVDA)、ケイデンス(CDNS)、シノプシス(SNPS)、およびHBM関連銘柄(SKハイニックス、マイクロン)など、特定の分野や銘柄に注目しています。
  • メモリ分野やFPGA市場の成長を背景に、オン・セミコンダクター(ON)、サイタイム(SITM)、ラティス・セミコンダクター(LSCC)なども注目銘柄として挙げられ、特定の市場動向や経営陣の戦略を評価しています。

※「【半導体:Part 5】PC&ロジック市場、ファウンドリ&成熟プロセス、光学分野、IoT・電力・通信関連半導体市場の今後の見通しを徹底解説!」の続き

前章では、PCとロジック市場、ファウンドリと成熟プロセス、光学分野、そして、IoT、電力、通信関連半導体市場の現状と今後の見通しに関して詳しく解説しております。

本稿の内容への理解をより深めるために、是非、インベストリンゴのプラットフォーム上にて、前章も併せてご覧ください。

2025年度の注目の半導体銘柄

少し平凡かもしれませんが、久しぶりに「攻め」よりも「守り」を重視したいと思っています。今の市場全体にはあまり魅力を感じていませんし、2023年や2024年の驚異的なリターンを振り返ると、そろそろ守りを考えるタイミングだと思います。「他人が貪欲なときには恐れるべきだ」という格言があるように、今はあちこちで過剰な欲が目に付きます。

ただ、それが「株を売ったり空売りしたりするべきだ」という意味ではありません。リスク許容度に応じた選択をするべきであると考えています。不確実な状況では、適正価格で買える成長銘柄や防御的な投資先をしっかりと見極めるべきであるということです。それでは、具体的に私が注目している半導体関連銘柄を見ていきましょう。

エヌビディア(NVDA)に関して

まず、エヌビディア(NVDA)は今でも非常に魅力的な価格にあると思います。カスタムシリコンに関する懸念はありますが、同社は依然としてAI分野で最大かつ最強のプレイヤーです。そして、皮肉なことにブロードコム(AVGO)よりも割安で取引されています。ただし、2024年のような3桁のリターンを期待するのは現実的ではないでしょう。GB200の立ち上げが後半にかけて株価を押し上げる可能性はありますが、年末には来期の業績比較に課題が出てくると思います。世界がこれ以上どれだけGPUを購入できるのかを考えると、2026年に営業キャッシュフローの75%を超えるのは物理的に難しい限界に達するでしょう。

この問題はマーベル・テクノロジー(MRVL)やブロードコムにも当てはまりますが、両社のバリュエーションはエヌビディアよりさらに厳しいと感じます。

また、エヌビディアに関して、最新の決算直後に下記のレポートを執筆しておりますので、こちらも併せてご覧いただければと思います。

EDAとIPに関して

次に注目しているのは、ケイデンス・デザイン・システムズ(CDNS)とシノプシスSNPS)です。「市場が低迷しているときにEDA関連銘柄を買うべきだ」という言葉がありますが、今がまさに守りを固めるタイミングだと思います。

EDA(Electronic Design Automation:電子設計自動化)とは、電子回路や半導体チップを設計するためのソフトウェアツールや技術を指します。このツールを使うことで、設計者は非常に複雑な回路やシステムを効率的に設計・シミュレーションし、製造可能な状態まで仕上げることができます。

2024年度は特にシノプシスのパフォーマンスが芳しくなく、それが逆に投資の好機をもたらしていると感じます。また、相対的なPER(株価収益率)は2021年以来の低水準にあり、ここ4年間で初めてこれらの企業を買う本格的なチャンスが訪れたのではないかと見ています。

(出所:Bloomberg)

メモリ分野に関して

メモリ市場では、少しユニークなアイデアに注目しています。まず最初に、メモリは非常に変動が激しい分野なので、自分の意見をすぐに変える可能性があることをご了承ください。そのうえで、私はHBM(高帯域幅メモリ)の可能性に期待しています。そして、SKハイニックス(000660.KS)やマイクロン・テクノロジー(MU)が、HBMにおいて市場予測を上回る収益成長を達成する可能性が高いと考えています。市場全体では縮小が予想されていますが、HBMの需要は予想以上に長期的に拡大するのではないかと思います。HBMはo3型アーキテクチャの最大の恩恵を受ける存在であり、ビット成長が爆発的に進むと期待しています。

メモリ市場とマイクロン・テクノロジーに関しては、インベストリンゴの半導体セクター担当アナリストであるウィリアム・ キーティング氏が直近の決算後に下記の詳細な分析レポートを執筆しておりますので、併せてご覧いただければと思います。

メモリ市場に関して

マイクロン・テクノロジー(MU)

ラムバス(RMBS)について

しばらく触れていませんでしたが、ラムバス(RMBS)は2022年に私が注目銘柄として挙げたときに非常に魅力的でした。この銘柄は少し変わった性質を持ち、財務データだけでは理解しにくい部分がありますが、MRDIMMやDDR5への移行が進む中で、今がまさに注目の時期だと考えています。MRDIMMはデータセンター向けDRAMの出荷の主流になる可能性が高く、関連する市場機会は非常に大きいと見ています。

因みに、MRDIMMとは、Multi-Rank DIMM(マルチランクDIMM)の略で、主にデータセンターや高性能コンピューティング(HPC)向けに設計された次世代のDRAMモジュールの一種です。従来のDIMM(Dual Inline Memory Module)と比較して、より高い帯域幅(データ転送速度)と低いレイテンシ(遅延)を実現することを目的としています。

また、DDR5は、Double Data Rate 5(ダブルデータレート5)の略で、次世代のDRAMメモリ規格です。これはDDR4の後継であり、主にコンピュータやサーバー向けに設計されています。DDR5は、メモリ帯域幅(データ転送速度)、容量、消費電力効率の向上を実現し、最新の高性能コンピューティング要求に応えます。

また、同社に関しては、最新の決算直後に下記のレポートを執筆しておりますので、こちらも併せてご覧いただければと思います。

そして、オントゥー・イノベーションONTO)、キャムテック(CAMT)、そして韓国のHanmiは、HBM関連テーマの恩恵を受ける企業であると見ています。これらはすべて装置メーカーであり、HBMの成長に直接的に利益を得るポジションにあり、引き続き注目しています。

最後に

自動車分野ではオン・セミコンダクターON)が気になっています。同社はデータセンター向け電力関連の市場機会も抱えており、株価も割安です。ただ正直に言うと、この銘柄が今年うまくいくか、それとも来年になるかは分かりません。それでも、私は底値狙いの業界に惹かれる傾向があります。

また、サイタイムSITM)についても、ついに期待通りの動きを見せ始めたと感じています。確かに割高ではありますが、投資先として悪くない選択肢だと思っています。

また、ラティス・セミコンダクター(LSCC)を見逃すことはできません。私はCEOのFord氏を非常に評価しており、彼がAlteraを買収することに強く期待しています。彼が以前所属していたSan Francisco(会社名)も入札プロセスに参加していることから、買収に向けたコンソーシアムが形成される可能性が高いと考えています。

前四半期は「問題をすべて洗い出した」決算だったようですが、FPGA市場は引き続き回復基調にあります。

FPGA市場とは、FPGA(Field-Programmable Gate Array)と呼ばれる集積回路の設計・製造・販売、そしてそれに関連する製品やサービスを扱う市場を指します。FPGAは柔軟性の高いハードウェア設計が可能なため、多様な産業で使用されており、特定の用途に応じた市場が形成されています。

同社は、戦略的な立ち位置と在庫管理の面で際立っており、私が自信を持って注目している数少ない銘柄です。株価のバリュエーションは上昇していますが、それでも安心して保有できる銘柄の一つであるため、この評価は妥当であるように思えます。

また、同社への理解を一層深めるために下記の同社に関するレポートも併せてご覧いただければと思います。

加えて、FPGA市場に関する分析レポートも執筆しておりますので、こちらも併せてご覧いただければと思います。

本編はこちらで以上となります。質問やコメントがあれば、ぜひコメント欄でお知らせください!

また、その他のエヌビディア(NVDA)に関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、エヌビディアのページにてご覧いただければと思います。

加えて、半導体&テクノロジー銘柄に関するレポートを「毎月約10件、年間で約100件程度執筆しており、私のプロフィール上にてフォローをしていただくと、最新のレポートがリリースされる度にリアルタイムでメール経由でお知らせを受け取ることができます。

さらに、その他のアナリストも詳細な分析レポートを日々執筆しており、インベストリンゴのプラットフォーム上では「毎月約100件、年間で1000件以上」のレポートを提供しております。

私の半導体&テクノロジー銘柄に関する最新レポートを見逃さないために、是非、フォローしていただければと思います!


アナリスト紹介:ダグラス・ オローリン / CFA

📍半導体&テクノロジー担当

オローリン氏のその他の半導体&テクノロジー銘柄のレポートに関心がございましたら、こちらのリンクより、オローリン氏のプロフィールページにてご覧いただければと思います。


インベストリンゴでは、弊社のアナリストが「高配当銘柄」から「AIや半導体関連のテクノロジー銘柄」まで、米国株個別企業に関する分析を日々日本語でアップデートしております。さらに、インベストリンゴのレポート上でカバーされている米国、及び、外国企業数は「250銘柄以上」(対象銘柄リストはこちら)となっております。米国株式市場に関心のある方は、是非、弊社プラットフォームより詳細な分析レポートをご覧いただければと思います。