【配当王】ノースウエスト・ナチュラル・ホールディング(NWN)とは?配当利回り4.58%と配当金0.49ドルは魅力的?
- 本稿では、注目の米国高配当株であるノースウエスト・ナチュラル・ホールディング(NWN:配当王・予想配当利回り4.58%・配当性向84%・1株当たり配当金0.49ドル)の2025年2月28日に発表された最新の2024年度第4四半期決算と配当推移の分析を通じて、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- 同社は、オレゴン州ポートランドに本社を置く公益事業会社で、69年連続増配を誇る「配当王」として知られ、予想配当利回りは4.58%と高水準です。
- 最新の決算では調整後EPSが前年同期比で増加し、粗利益率は安定していますが、ROICがWACCを下回るなど資本効率に課題があり、自社株買いもマイナス傾向が続いています。
- 財務レバレッジやインサイダーの売却傾向、Zスコアの低さなどから、財務リスクには注意が必要であり、配当水準には魅力がある一方で、慎重な投資判断が求められるでしょう。
ノースウエスト・ナチュラル・ホールディング(NWN)の概要
セクター:公益事業
現在の株価:43ドル
時価総額:17億3,000万ドル
過去5年間の配当成長率:0.50%
前回配当落ち日:2025年1月31日
前回配当支払い日:2025年2月14日
予想配当利回り:4.58%
過去5年間の売上高成長率:5.10%
過去10年間の売上高成長率:1.90%
関連用語
売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。
足元の株価推移
(出所:筆者作成)
ノースウエスト・ナチュラル・ホールディング(NWN:配当王・予想配当利回り4.58%・配当性向84%・1株当たり配当金0.49ドル)は、オレゴン州ポートランドに本社を置き、165年以上の歴史を持つ持株会社です。同社は子会社を通じて、米国太平洋岸北西部およびテキサス州において天然ガスの供給・配給事業を展開しています。主要な子会社であるNWナチュラル・ガス・カンパニー(NW Natural Gas Company)は、オレゴン州およびワシントン州南西部の住宅、商業、工業の顧客にサービスを提供しており、約80万件のメーターを通じて200万人以上の人々に天然ガスを供給しています。
配当面では、直近の1株当たり四半期配当金が0.49ドルに増加し、予想配当利回りは4.58%と、投資家にとって魅力的な水準となっています。ただし、配当性向は84%と高く、持続可能性には注意が必要です。同社は69年間連続して増配をしており、米国株配当王の一角を担っています。
そして、同社は2025年2月28日に2024年第4四半期決算を発表しており、本稿では同社の最新の決算と財務パフォーマンス、並びに配当推移を詳しく分析していきます。
🚀お気に入りのアナリストをフォローして最新レポートをリアルタイムでGET🚀
イアニス・ ゾルンパノス氏はバリュー・インカム関連、並びに、テクノロジー銘柄に関するレポートを毎週複数執筆しており、プロフィール上にてフォローをしていただくと、最新のレポートがリリースされる度にリアルタイムでメール経由でお知らせを受け取ることができます。
さらに、その他のアナリストも詳細な分析レポートを日々執筆しており、インベストリンゴのプラットフォーム上では「毎月約100件、年間で1000件以上」のレポートを提供しております。
そのため、ゾルンパノス氏の最新レポートに関心がございましたら、是非、フォローしていただければと思います!
ノースウエスト・ナチュラル・ホールディング(NWN)の最新の2024年度第4四半期決算発表に関して
ノースウエスト・ナチュラル・ホールディング(NWN)は、2025年2月28日に発表された最新の2024年度第4四半期決算において、一時的な要因を除いた調整後EPSを1.41ドルと報告しました。これは、前四半期の-0.71ドルという損失から大きく改善しており、前年同期の1.186ドルからも増加しています。この回復は、四半期ベースでの好転および年次成長を反映しています。なお、調整後EPSの年平均成長率(CAGR)は、過去5年間で1.90%、過去10年間では1.30%となっています。
1株あたり売上高も前四半期の3.567ドルから9.217ドルへと増加しましたが、前年同期の9.583ドルからはやや減少しており、売上高に関してはまちまちな結果となっています。今期の粗利益率は34.49%で、過去5年間の中央値と同水準でしたが、過去10年間の中央値である37.08%を下回っています。この安定した粗利益率は、売上が変動する中でもコスト管理が一貫していることを示唆しています。
同社の自社株買い戦略にはマイナス傾向が見られ、過去10年間の自社株買い比率は-3.80%となっており、この期間においては買い戻した株式よりも発行した株式の方が多かったことを意味しています。特に直近1年間では自社株買い比率が-6.90%と、さらに発行超過の傾向が強まっています。この結果、発行済株式数は希薄化したことが分かります。
同社の次回の決算発表は2025年5月6日に予定されており、市場のアナリストはFY1(2025年度)のEPSを2.850ドル、FY2(2026年度)のEPSを2.975ドルと予想しています。業界の見通しとしては、今後10年間にわたって安定した成長が予測されており、売上は2027年までに15億7,105万ドルに達する見込みです。これらの予測は、同社の戦略的施策および市場拡大に支えられたポジティブな展望を示しており、同社が持続的な成長を遂げる可能性を示唆しているように見えます。
非経常損益項目を除くベースでのEPS
(年間ベース:直近4四半期の合計値)
(出所:筆者作成)
関連用語
EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。
非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。
希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。
1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。
粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。
自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
関連コラム
ノースウエスト・ナチュラル・ホールディング(NWN)ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)の財務パフォーマンスに関して
ノースウエスト・ナチュラル・ホールディング(NWN)の財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。
同社の財務実績はROICとWACCの比較によって示されるとおり、現在のところ経済的付加価値を生み出していないことがうかがえます。過去5年間の中央値におけるROICは2.90%であり、同期間のWACCの中央値である5.26%を下回っています。これは、同社が資本コストを上回る利益を生み出せておらず、長期的には株主価値を毀損していることを意味します。
さらに、直近のROICは2.83%で、現在のWACCである5.62%を依然として下回っており、投資による収益が資本コストを超える水準に達していないという結論を裏付けています。こうしたROICとWACCの比較における一貫した劣後傾向は、資本配分および業務執行における非効率性の可能性を浮き彫りにしています。
株主資本利益率(ROE)に目を向けると、過去5年間の中央値は8.18%であり、一定の収益性は見られるものの、資本コストを上回るリターンを創出できていないという事実によって、経済的付加価値の創出は制限されている状況です。
投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の比較
(出所:筆者作成)
関連用語
総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。
自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。
投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。
ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。
加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
関連コラム
ノースウエスト・ナチュラル・ホールディング(NWN)の配当に関して
ノースウエスト・ナチュラル・ホールディング(NWN)は、69年間連続して増配を継続する米国株配当王です。過去5年間および3年間の配当成長率がともに0.50%と、緩やかな配当成長を示しています。このような低成長は、一般的により堅調な配当増加が見られる公益事業セクターの傾向とは対照的です。直近では、1株当たりの配当が前四半期の0.4875ドルから0.49ドルへとわずかに増加しており、緩やかな成長が続いています。
同社の予想配当利回りは4.58%であり、過去10年間の中央値である3.64%と比較すると相対的に魅力的な水準にあります。ただし、配当性向は依然として高く、84%となっています。とはいえ、これは過去10年間で最大100%前後に達していた水準からは低下しており、配当の持続可能性に改善の兆しが見られます。
同社の負債比率を見ると、EBITDA有利子負債倍率は5.63倍と、業界で警戒水準とされる4倍を大きく上回っています。このような高いレバレッジは、財務リスクの増加を意味し、将来的な配当の増加を制限する可能性があります。一般的には、EBITDA有利子負債倍率は2倍以下であれば財務リスクが低く、4倍以上であれば財務リスクが高いことを示すとされています。
それにもかかわらず、今後の配当成長率は0.66%と予想されており、限定的ではあるものの、引き続き増配を計画していることが示唆されています。次回の権利落ち日は、四半期ごとの配当スケジュールを踏まえると2025年4月30日になると予想されます。
予想配当利回り:4.58%
配当性向:84%
配当カバレッジ・レシオ:1.04倍
過去5年間の配当成長率: 0.50%
EBITDA有利子負債倍率:5.63倍
DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金
(出所:筆者作成)
Dividend Yield:予想配当利回り
(出所:筆者作成)
Dividend Payout:配当性向
(出所:筆者作成)
関連用語
1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。
配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。
予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。
配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。
EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。
配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。
配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。
配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
関連コラム
・インカム・高配当株投資家として成功するためには?米国株高配当銘柄から成るポートフォリオのメリットと作り方を徹底解説!
・50年以上連続して増配する米国株配当王の一覧・ランキングと投資を検討する際に考慮すべきポイントを徹底解説!
・最新のバフェット銘柄:ウォーレン・バフェット氏がポートフォリオに保有する株式一覧と投資哲学、最新の注目銘柄を徹底分析!
ノースウエスト・ナチュラル・ホールディング(NWN)のバリュエーションに関して
ノースウエスト・ナチュラル・ホールディング(NWN)の現在の株価は43.01ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である40.08ドルよりも高い水準にあり、安全余裕率(マージン)が-7.31%となっていることから、やや割高である可能性が示唆されています。
一方で、予想PERは15.08で、過去10年間の中央値である23.06と比較すると低水準にあり、市場が今後の成長鈍化を織り込んでいる可能性があります。一方で、直近12か月(TTM)の実績PERは21.2で、10年間の最高値である36.50を下回っているものの、中央値は上回っており、比較的穏やかなバリュエーションであることを示しています。
また、TTMの実績EV/EBITDA倍率は10.45で、10年間の中央値である11.03をやや下回っており、過去の基準と比べると公正な評価水準と考えられます。
さらに、TTMの実績PBRは1.25で、10年間の中央値である1.76を下回っており、資産面では割安と評価される可能性があります。
市場のアナリストによる評価では、ここ数か月間にわたり46.80ドルという目標株価の平均値が一貫して提示されており、これは現在の株価をわずかに上回る水準です。このことから、上昇余地は限定的であると見られます。
このような状況、およびマイナスの安全余裕率を踏まえると、慎重な姿勢が求められるようにも見えます。過去の水準やセクター全体との比較においても、同社の株式は強い割安感を示してはおらず、主要な財務指標がまちまちな結果を示しているため、投資を検討する際には注意が必要でしょう。
(出所:筆者作成)
上記グラフにおける関連用語
Price:現在の株価
Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値
DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価
DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価
Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価
Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価
赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値
関連用語
安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。
実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。
予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。
PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。
株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。
株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。
EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。
PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
関連コラム
・PER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)とは?PERとPBRの詳細と目安を徹底解説!
・PERはマイナスになることがあるのか?PERの詳細と目安を徹底解説!
・PER(株価収益率)100倍の銘柄は買うべき?PERの考え方を徹底解説!
・株価売上高倍率(PSR)とは?株価売上高倍率の詳細と目安を徹底解説!
ノースウエスト・ナチュラル・ホールディング(NWN)のリスクとリターンに関して
ノースウエスト・ナチュラル・ホールディング(NWN)のリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。
同社には、潜在的な投資家にとって懸念されるいくつかの財務リスクが存在します。まず、同社の在庫回転日数は、商品を販売するのに時間がかかっていることを示しており、これは非効率性や需要の低下を示唆している可能性があります。
また、過去3年間で合計4億4,549万ドルの長期債務を繰り返し発行していることから、事業運営や成長のための資金調達を借入に依存している疑いがあります。加えて、営業利益率および粗利益率が、それぞれ年率-4.3%、-3.6%のペースで継続的に低下していることは、収益性の悪化を示しています。
さらに、アルトマンのZスコアは0.69であり、財務的苦境にある「ディストレスゾーン」に分類されています。配当性向も84%と高く、配当の持続可能性に対する懸念が生じる可能性があります。
また、最近インサイダーが42,500株を売却している一方で、買い付けの動きが一切見られなかったことは、同社の将来の見通しに対する信頼の欠如を示している可能性があります。
これらのリスクが存在する一方で、ベニッシュのMスコアによると、同社が財務諸表を操作している可能性は低いとされており、慎重な投資家にとってはわずかではありますが安心材料となるでしょう。
とはいえ、全体的な財務状況を見ると、同社株式に投資する前には継続的な監視と十分なデューデリジェンスが必要であることを強く示しています。
関連用語
財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。
アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。
ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。
ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。
インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、3倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の3倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。
ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
関連コラム
ノースウエスト・ナチュラル・ホールディング(NWN)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して
過去1年間におけるノースウエスト・ナチュラル・ホールディング(NWN)のインサイダー取引の動向を見ると、社内関係者による一貫した売却傾向が確認されています。直近3か月間では、インサイダーによる売却が6件あり、購入は一件もありませんでした。この傾向は6か月および12か月の期間においても継続しており、合計で7件の売却があった一方、購入は依然として確認されていません。
このことから、取締役や経営陣などの主要な社内関係者が、自社株を新たに取得するのではなく売却している実態が明らかになっています。ただし、インサイダーによる株式保有比率は1.34%と控えめであり、経営陣などによる個人的な財務的関与は限定的であることがうかがえます。
一方で、プロの機関投資家による保有比率は76.71%と非常に高く、大手金融機関などが同社株式の大部分を保有している状況です。
このように、インサイダーが一貫して売却を続け、購入が一切ない状況は、投資家にとってこれらの取引の動機を精査し、同社の株価パフォーマンスに与える潜在的な影響を慎重に見極める必要があることを示しているように見えます。
インサイダー(内部関係者)による売買
(出所:筆者作成)
関連用語
インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。
機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。
ノースウエスト・ナチュラル・ホールディング(NWN)の流動性に関して
ノースウエスト・ナチュラル・ホールディング(NWN)の流動性および取引状況を見ると、直近営業日の取引量は286,069株となっており、直近2か月の平均取引量である221,532株を上回っています。これは、最近の取引において投資家の関心が高まっているか、取引活動が活発化していることを示しています。
また、同社のダークプール指数(DPI)は36.12%であり、取引のかなりの割合がダークプール(非公開取引市場)で行われていることを示しています。DPIが36.12%ということは、全体の取引量の3分の1以上が公開市場外で実行されていることを意味しており、これは機関投資家の関与が高い銘柄や、投資家が匿名性を求める場合によく見られる傾向です。
全体として、同社の流動性は安定しており、現在の取引量は最近の平均を十分に上回っていることから、大きな価格変動を伴わずに売買が可能な状態であると考えられます。ただし、DPIが高い水準にあることは、価格形成や市場の厚みに影響を与える可能性があるため、注視が必要でしょう。
特に、市場が不安定な状況下では、こうした要因を踏まえたうえでエントリーまたはエグジット戦略を検討することが、投資家にとって重要となるでしょう。
関連用語
※ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。
※ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。
🚀お気に入りのアナリストをフォローして最新レポートをリアルタイムでGET🚀
イアニス・ ゾルンパノス氏はバリュー・インカム関連、並びに、テクノロジー銘柄に関するレポートを毎週複数執筆しており、プロフィール上にてフォローをしていただくと、最新のレポートがリリースされる度にリアルタイムでメール経由でお知らせを受け取ることができます。
さらに、その他のアナリストも詳細な分析レポートを日々執筆しており、インベストリンゴのプラットフォーム上では「毎月約100件、年間で1000件以上」のレポートを提供しております。
そのため、ゾルンパノス氏の最新レポートに関心がございましたら、是非、フォローしていただければと思います!
📢 知識は共有することでさらに価値を増します!
✨ この情報が役立つと感じたら、ぜひ周囲の方とシェアをお願いいたします✨
アナリスト紹介:イアニス・ゾルンパノス氏
📍バリュー&インカム・テクノロジー担当
ゾルンパノス氏のその他の配当関連のレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、ゾルンパノス氏のプロフィールページにアクセスしていただければと思います。
インベストリンゴでは、弊社のアナリストが「高配当銘柄」から「AIや半導体関連のテクノロジー銘柄」まで、米国株個別企業に関する分析を日々日本語でアップデートしております。さらに、インベストリンゴのレポート上でカバーされている米国、及び、外国企業数は「250銘柄以上」(対象銘柄リストはこちら)となっております。米国株式市場に関心のある方は、是非、弊社プラットフォームより詳細な分析レポートをご覧いただければと思います。