04/09/2024

やや強気
パロ アルト ネットワークス
やや強気
彼らのコアビジネスの衰退があるとしても、それは非常に長期的かつ緩やかに進行するでしょう。一方で、クラウドセキュリティやSecOpsにおける成長機会は非常に大きく、また、魅力的な財務状況、手頃なバリュエーション、最近の株価下落を踏まえ、私たちは依然としてPANWを保有し、長期的な投資家であり続けるつもりです。大きな調整があれば、さらに買い増す準備もしています。
パロアルトネットワークス(PANW)の将来性とは?最新決算とバリュエーション分析を通じて今後の株価見通しに迫る!

person holding black tablet computerコンヴェクィティ  コンヴェクィティ
  • 本稿では、パロアルトネットワークス(PANW)の最新決算とバリュエーション分析を通じて、同社の今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
  • Xの法則は、40%ルールをアップデートしたもので、企業の業績を評価する際に成長をより重視し、投資家のリターンに対する重要性を強調するために倍率を使用しています。
  • パロアルトネットワークス(PANW)は、最近の市場の疑心暗鬼や進行中の戦略調整にもかかわらず、その力強い成長と財務指標により、魅力的な投資先であるように見えます。
  • 一方で同社に対するリスクには、厳しい競争や地理的な多様性の低さなどがありますが、堅実な財務内容と業界におけるリーダーシップにより、長期的な投資先として魅力的に映ります。

※「パロアルトネットワークス(PANW)の強みとは?テクノロジー上の競争優位性と競合他社分析を通じて将来性に迫る!」の続き

パロアルトネットワークス(PANW)の財務パフォーマンスとバリュエーション

最近、私たちは「40%ルール(Rule of 40」の分析を「Xの法則(Rule of X)」に置き換えた。

Bessemer Venturesは2023年後半にこの指標を導入しており、統計的にみて、FCF(フリー・キャッシュフロー)マージンよりも成長率の方が投資家のリターンと大きな相関関係があることを観察したためである。

Bessemer Venturesは、成長率がリターンに大きな影響を与えるという概念を取り入れるため、40%ルールの一部であるNTM(Next Twelve Months:今後12カ月間)成長率に乗数を適用することを推奨している。

彼らによれば、上場企業の倍率は2倍から3倍が多く、中央値は2.3倍である。

我々は、SBC(Stock Based Compensation:株式ベースの報酬)パーセンテージを組み込むために、下記の通りXの法則を適応させた。

Xの法則(SBCを含む)=NTM成長率 * 2.3+(FCFマージン - SBC%)

下表は、サイバーセキュリティ、データ、生産性、観測可能性といった当社のカバレッジ範囲に含まれる41銘柄のリストを、Xの法則(SBCを含む)でランク付けしたものである。

当社の分析は、「Xの法則」と相対バリュエーション、DCFバリュエーション・ディスカウント、価格変動の相互参照にまで及んでいる。

ご推察の通り、これはやや逆張り的な分析であり、「Xの法則」が示すように、人気はないが優れた財務実績を持つ銘柄を特定しようとするものである。

要するに、下記のグラフの中で、Xの法則(Rule of X(inc SBC))の列において、濃い緑色、中程度の緑色、薄い緑色となっている銘柄を見つけることができれば、その銘柄は魅力的に見えるということである。

また、さらにPrice Changes(価格の変化率)の列も合わせて緑色となっていれば、ボーナスと呼べるだろうが、足元の市場の高揚感を考えるとその可能性は低い。

※Price Changesにおける緑色は、足元株価が10%以上下落していることを示している

したがって、黄色で示されているPrice Changes(比較的小さな変動を意味する)は、足元の環境を踏まえると最良の価格変動と言えるだろう。

※Price Changesにおける黄色は、足元株価が10%以下の下落、或いは、10%以下の上昇をしていることを示している

上記のグラフからも、このような分析に基づくと、パロアルトネットワークス(PANW)は、特にプラットフォーム化戦略に対する疑念を受けた最近の価格後退以降も、保有する価値がある銘柄であると考える。

同社は、10%台半ばのNTM成長率予想、30%台後半の非常に高いTTM(Trailing Twelve Months:直近過去12カ月間)FCFマージン、14%のTTM SBCパーセンテージ(最近の四半期は急速に低下している)などにより、優れたXの法則を示している。

また、相対的な観点からのバリュエーションは、どのような投資スタイルを適用するかにもよるが、まだ極端ではない。

最新のDCFバリュエーション(DCF Val. Discount)では、最近の下落のおかげで〜30%のアップサイドを示唆している。

アローラ氏は、プラットフォーム化戦略により今後12ヶ月間、売上高が一時的に減少するものの、事業運営費(OPEX)の削減余地があるため、30%台半ばのFCFマージンを維持できると確信している。

また、プラットフォーム化戦略の最初の12~18ヵ月間は、パロアルトネットワークスは基本的にすべての顧客に自社のプラットフォームのかなりの部分を無料で利用させることになるため、その後成長が再び加速するとアローラ氏は予想している。

プラットフォーム化戦略の利点と潜在的な欠点については、続報で簡単に説明する予定だが、アローラ氏の成長予測は妥当であり、FCFマージンの持続性も高い。

そして、パロアルトネットワークのDCFにおけるバリュエーションは以下の通りである。

主なパラメータ

・長期/最終FCFマージン

・SBC組入オプション

・長期SBC %

・FY25-FY29 CAGR(25年度から29年度までの年平均成長率)

・本質的価値に達するまでの年数

パロアルトネットワークス(PANW)を取り巻くリスク

パロアルトネットワークス(PANW)の事業リスク

本稿Part 1とPart 2で説明した内容やプラットフォーム化戦略を踏まえると、パロアルトネットワークス(PANW)の事業リスクは大きいと言える。

投資家としては、パロアルトネットワークスがフォーティネット(FTNT)のようにネットワークとネットワーク・セキュリティの進化にフォーカスしていないことを懸念している。

パロアルトネットワークスはすでにアプライアンスの売上が減少している(注:パロアルトネットワークスはプロダクトの成長を報告しているが、これにはアプライアンスだけでなく、ソフトウェアベースのファイアウォールと関連するサブスクリプションも含まれており、それらはどちらもセグメントとしては順調に成長しているセグメントである点にはご留意いただきたい)のに対し、フォーティネットのアプライアンスの売上は、購買をめぐるサプライチェーンの混乱の余波による最近の減少を除けば、依然として成長軌道にある。

これは、フォーティネットがハイブリッド環境により適していることを強く示しており、フォーティネットのハイブリッドにおける強さは、SASEからSASO、そしてより広範な展望へと注目度が広がるにつれて、さらに強くなっていくだろう。

要するに、パロアルトネットワークスのネットワーキングとセキュリティの焦点はソフトウェア・ベースであり、優れた柔軟性を提供するが、パフォーマンスに関しては、カスタムASICを搭載した統合ハードウェア/ソフトウェア・アプライアンスには太刀打ちできない。

そして最終的には、ファーストマイル、ミドルマイル、ラストマイルの収束と統合に注目が集まるにつれて、パフォーマンスが最重要視されるようになる。

プラットフォーム化については、続報でさらに詳しく紹介する予定だが、重要なリスクは、12~18ヶ月の無料サービス期間を経て、パロアルトネットワークスへの移行を見送る顧客が少なからず出てくることである。

その理由として最も考えられるのは、既存事業者から断り切れないほどの大幅な値引きを提示されたことだろう。

これに対してパロアルトネットワークスは、すでに12~18ヶ月の無料サービスを提供した後に、大幅な割引を提供する必要があるかもしれない。

そして、これは同社のトップ・ボトムライン(売上高と純利益)に大きな打撃を与え、投資家にとっては非常に残念なことであると言える。

パロアルトネットワークス(PANW)を取り巻くマクロ環境

パロアルトネットワークスの製品の多様性は、景気悪化とさらなる予算引き締めを緩和するのに役立つだろう。

しかし、フォーティネットに比べ、パロアルトネットワークスは地理的分散が少ないため、主要市場である北米の落ち込みを相殺する材料が少ないというマクロリスクもある。

しかし、同社のFCFマージンが非常に高いことは大きなプラス材料であり、厳しい景気後退に見舞われた場合、投資家にとって非常に魅力的なものとなるだろう。

パロアルトネットワークス(PANW)に対する結論

パロアルトネットワークス(PANW)は、非常に競争が厳しいサイバーセキュリティ業界の中で株主価値を生み出し続けるために、大胆だが必要な賭けに出ている優れたリーダーを擁する優れたサイバーセキュリティ企業である。

投資家としては、パロアルトネットワークスがネットワーキングとセキュリティの分野でより焦点を絞った先見性のある企業でないことにやや失望している。

過去の観察によると、ガートナーの市場イデオロギーやテクノロジー・イデオロギーにただ盲目的に従うことは、長期的な差別化や競争力強化にはつながらない。

通常、同社は、特にクラウドセキュリティとセキュリティ・オペレーション、そして2010年代のNGFWでは、後を追うのではなく、新たな道を切り開いてきた過去がある。

しかし、今はネットワーク・セキュリティの分野で後追いしているように見え、我々にとっては不満の種となっている。

とはいえ、中核事業の衰退は非常に長期的かつ緩やかなものであり、より高い成長機会はクラウドセキュリティとセキュリティ・オペレーションにある。

以上より、上述の内容、さらに魅力的な財務内容、割高過ぎないバリュエーション、そして最近の株価下落を考慮し、我々はパロアルトネットワークス株式に対する「強気」の見通しを維持している。

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