01/17/2025

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ブラジル石油公社
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ペトロレオ・ブラジレイロ・ペトロブラス(PBR)は、PERが4倍という低いバリュエーション、高配当(利回り12%以上)、効率的な運営によって際立っているように見えます。
【高配当】ペトロレオ・ブラジレイロ・ペトロブラス(PBR)の将来性:配当利回り12%超えの高配当株の今後の株価見通しに迫る!

an oil rig in the middle of the ocean at sunsetジェームズ・ フォードジェームズ・ フォード
  • 本稿では、注目のブラジル高配当株であるペトロレオ・ブラジレイロ・ペトロブラス(PBR)の最新の2024年度第3四半期決算&バリュエーション分析を通じて、同社の目標株価、並びに、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
  • 米国債の金利上昇は株式市場に影響を及ぼし、インフレ懸念や割引率の上昇が特にグロース株に重荷となる一方で、金融やエネルギーなど特定のセクターには恩恵をもたらしています。
  • ペトロレオ・ブラジレイロ・ペトロブラスは、低コストの生産効率や大規模な投資計画、高配当利回りにより注目される一方で、政治的リスクやマクロ経済環境の変動にも影響を受けています。
  • ドル安や原油価格の上昇などのシナリオでは、同社は収益性を強化し、長期的な成長と株主価値向上を実現できる可能性があり、特に2025年以降の収益増加を期待しています。

はじめに

米国債の金利が上昇し続け、一部の投資家が動揺しています。

金利の上昇は株式のバリュエーションに圧力をかけるだけでなく、インフレの兆候ともなり得ます。その結果、将来的な利下げの可能性が減るかもしれず、この数週間、多くの銘柄が下落する状況が見られました。

では、「高金利が長期化する」というシナリオが現実となった場合、投資家はどのようにポートフォリオを守るべきでしょうか?

実際、株式市場では全ての株式が同じように影響を受けるわけではありません。一部の銘柄は高金利環境で優れたパフォーマンスを発揮することからも、本日はその点について深く掘り下げていきます。

本稿で学べる点は以下の通りです:

・金利上昇の背景

・2025年の株式市場への影響

・高金利環境で強い銘柄の特徴

・筆者お気に入りの銘柄の詳細な分析

今回ご紹介する銘柄は、金利が高止まりする場合に強いパフォーマンスを発揮する可能性があります。また、金利がピークに達している場合や、ドルがピークに達した場合にも良い結果が期待できると考えています。

それでは、まず、金利が上昇している理由から見ていきましょう!

なぜ金利が上昇しているのか?

下記の直近執筆したマクロ経済レポートで詳しく解説しましたが、ここで改めて簡単にまとめます。

詳細に関心がございましたら、下記のレポートを併せてご覧いただければと思います。

金利上昇の背景には、力強い経済指標、インフレ懸念、金融政策の期待感、政府の借入増加、そしてタームプレミアムの上昇が絡んでいます。例えば、ISM非製造業PMIや引き締まった労働市場といった堅調な経済指標は、経済成長を示す一方でインフレ懸念を助長しています。

株式市場への影響は?

金利の上昇は、借入コストの増加や企業収益性の低下、さらには債券が株式に対して相対的に魅力的になることを通じて株式市場に影響を与えます。また、将来のキャッシュフローを評価する際に使用される割引率が上昇するため、特に将来の収益が期待されるグロース株に大きな重荷となることがあります。

しかし、高金利環境下で良好なパフォーマンスを見せるセクターも存在します。

例えば、銀行や保険会社といった金融セクターは、金利の上昇により純金利マージンや投資収益が改善するため恩恵を受けます。また、エネルギーや素材セクターは、金利上昇に伴うインフレ圧力がコモディティ価格を押し上げることで好調となる場合があります。

さらに、生活必需品や公益事業といったディフェンシブセクターは、安定した需要とコスト増加を価格に転嫁できる能力から、金利上昇時にも比較的堅調さを維持します。これらのセクターは、金利上昇局面で投資家に安定性と新たな投資機会を提供する可能性があります。

私のお気に入りのエネルギー株

高金利環境で利益を上げるためには、前述の通りエネルギー株は有力な選択肢となり得ます。

まずは、金利と原油価格の相関関係を見てみましょう。

米国10年物国債と原油価格の推移

(出所:TradingView)

実にシンプルな話です。上記のチャートの通り、エネルギー株は市場が大きく下落する中でも上昇しています。

そして、本稿では、私のお気に入りのエネルギー株についてお話しします。この株は以下の特徴があります:

・PERが4倍

・予想配当利回りが20%

・ウォール街のアナリストによるポジティブな評価

ご参考までに、下記はSeeking Alphaのページから引用したものです。

(出所:Seeking Alpha)

もちろん、この銘柄には少し注意すべき点がありますが、過去数年間保有していた投資家にとっては、配当を考慮すれば十分なリターンを得られているはずであると見ています。

現在、この銘柄は下落していますが、私の意見では、再び大きく上昇する準備が整っているように思います。

そして、次章以降でお話しする内容は以下の通りです:

・なぜこの銘柄が4倍のPERで取引されているのか、そして今後さらに高く評価される理由

・高金利やドル安の恩恵を受ける理由

・基本的・テクニカル分析

・株価目標とバリュエーション

この銘柄は実際、私の運用するポートフォリオの1つである「EOWポートフォリオ」の一部であり、バランスの取れたエクスポージャーと長期的な資本成長を目的とした設計となっています。

「EOWポートフォリオ」の詳細に関心がございましたら、下記のレポートを併せてご覧いただければと思います。

・ EOW(エンド・オブ・ザ・ワールド)ポートフォリオの詳細

・ EOW(エンド・オブ・ザ・ワールド)ポートフォリオとは?

それでは、本題に入っていきましょう!

ペトロレオ・ブラジレイロ・ペトロブラス(PBR)とは?

ペトロレオ・ブラジレイロ・ペトロブラス(PBRは、ブラジルの国営エネルギー企業で、原油、天然ガス、派生製品の探査、生産、精製、流通を行っています。特に深海掘削に注力しており、ブラジルの沖合での探査をリードしています。また、再生可能エネルギーやバイオ燃料への投資を進め、持続可能性の目標に取り組みつつ、ブラジルのエネルギー需要を支え、その経済に大きく貢献しています。

ペトロレオ・ブラジレイロ・ペトロブラス(PBR)が割安の理由とは?

ペトロレオ・ブラジレイロ・ペトロブラス(PBR)が割安で取引されている背景には、政治的リスクへの懸念があります。政府の影響力が強く、収益性よりも国家的な目標が優先される可能性があるためです。さらに、過去の汚職スキャンダル、通貨の変動、資本配分への懸念も投資家を遠ざけています。これらの懸念にもかかわらず、同社は豊富な埋蔵量、高い業務効率性、深海探査のリーダーシップを誇っています。

ペトロレオ・ブラジレイロ・ペトロブラス(PBR)の株価下落の理由とは?

それでも、ここ数年のペトロレオ・ブラジレイロ・ペトロブラス(PBR)は良い投資対象でした。特に、高配当を考慮すればその魅力は際立っています。

しかし、ここ数カ月で下落が進んでおり、その背景には以下の要因が考えられます。

マクロ経済の懸念

ブラジルの厳格な金融政策、特に高いブラジルの政策金利(SELIC金利)が当面続く見通しや財政の持続可能性への懸念が、投資家の慎重な姿勢を強めています。政府が2026年までに基礎的財政収支の黒字化を達成できない見込みが、財政規律への疑問を引き起こし、ブラジル株全般に圧力をかけています。

運営上の課題

ディーゼルと原油の価格差(ディーゼル・クラックスプレッド)の縮小により、精製マージンが低下し、2024年第3四半期のペトロレオ・ブラジレイロ・ペトロブラスのEBITDAは前年同期比で10.57%減少しました。この結果、2025年には原油価格の変動を背景に、さらなるマージン低下への懸念が高まっています。

これらの逆風にもかかわらず、堅調なフリーキャッシュフロー、主要油田からの生産増加、そして慎重な債務管理は、今回の下落が長期投資家にとって買いの好機である可能性を示唆しているように見えます。

ペトロレオ・ブラジレイロ・ペトロブラス(PBR)の強固なファンダメンタルズ

ペトロレオ・ブラジレイロ・ペトロブラス(PBR)は、低コストでの生産拡大により効率性を向上させています。目標とする損益分岐点価格は1バレルあたり45ドルで、これは業界平均を大きく下回る水準です。同社は、主に上流部門の探査・生産(E&P)に焦点を当てた5年間で1,110億ドルの投資を計画しており、先進的なFPSO(浮体式生産貯蔵積出設備)の展開を通じて年間3.2%の原油生産成長を目指しています。

この戦略的な低コスト・高付加価値の運営への集中は、慎重な財務管理や革新的な資源活用と相まって、ペトロレオ・ブラジレイロ・ペトロブラスを石油・ガス生産におけるコスト効率の高いリーダーとして位置づけています。これらの改善はマクロ経済的な圧力を緩和し、持続的な収益性を支えるとともに、競争の激しいエネルギー市場において、長期的な成長と株主価値の向上を実現するための好位置を築いています。

安定した営業キャッシュフローの創出

(出所:ペトロレオ・ブラジレイロ・ペトロブラスの2024年度第3四半期決算資料

ペトロレオ・ブラジレイロ・ペトロブラスは効率的な運営と生産成長の可能性を活用し、堅調なフリーキャッシュフローを見込んでいます。たとえ原油価格が下落する可能性があっても、経営陣は年間150億ドルのフリーキャッシュフローと、2029年までに450億ドルの通常配当を予測しており、さらに最大100億ドルの特別配当も見込まれています。これにより、将来の予想配当利回りは12%を超えるとされ、強力な株主還元と持続可能な財務見通しを示しています。

2008年以来の最低水準の財務負債

(出所:ペトロレオ・ブラジレイロ・ペトロブラスの2024年度第3四半期決算資料

負債状況とバランスシートの強さを見ると、同社は財務状況を改善し続けており、現在では2008年以来最も強固な状態にあります。

ペトロレオ・ブラジレイロ・ペトロブラス(PBR)を取り巻く地政学的見通し:ドルの破壊力

ペトロレオ・ブラジレイロ・ペトロブラス(PBR)は過去の債務問題を克服しましたが、政治的懸念は依然として残っています。一部では、ルラ大統領が採算の取れないグリーン施策や価格統制を推進するのではないかという懸念もありましたが、現在の5カ年計画は石油・ガスプロジェクトを優先しています。また、増税や燃料価格の統制が行われる可能性は低いと見られており、ペトロレオ・ブラジレイロ・ペトロブラスへの損害はブラジルの国家財政に悪影響を及ぼすためです。投資家と政府の双方にとって、同社が収益性を維持し配当を支払い続けることは共通の利益となっています。これまでのところ、ルラ大統領の施策は収益性を支持しており、Búzios油田のような重要な石油資産への新たな投資も進められています。

ペトロレオ・ブラジレイロ・ペトロブラスは、以前のルラ政権下でも非常に良好な成果を上げていました。ここでの本当の問題は、私の考えではドルの動向です。

ドルインデックスとペトロレオ・ブラジレイロ・ペトロブラスの価格推移

(出所:TradingView)

ご覧のとおり、PBRはここ数カ月でドル高の影響を受けて大きく下落しています。これは、ドル高が新興市場、特にインフレ問題を抱えるブラジルに圧力をかけていることが原因です。

ペトロレオ・ブラジレイロ・ペトロブラス(PBR)はどんな状況でも勝つ?

以上より、ペトロレオ・ブラジレイロ・ペトロブラス(PBR)は2025年にどんな状況でも利益を享受できる特別な立場にあると考えています。

もし金利がさらに上昇すれば、原油価格も上昇するでしょう。そして、原油が同社の主要な輸出品であることを考えれば、このことが同社の収益を押し上げるでしょう。

金利や原油価格が下落する、もしくは一定の範囲内に留まる場合でも、同社は恩恵を受けます。むしろ、その方が有利かもしれません。ドル安は新興国経済を大いに助け、外国株への投資家の関心を再燃させるでしょう。

ドル安により、同社の収益は相対的に高くなり、バリュエーション指標の拡大にも寄与する可能性があると見ています。

ペトロレオ・ブラジレイロ・ペトロブラス(PBR)のバリュエーションと配当支払い

私が現在の価格でペトロレオ・ブラジレイロ・ペトロブラス(PBR)を好む理由はたくさんあります。

・割安な株価

・好ましいマクロ経済環境(ドル安が進むと考えています)

・高金利やインフレに対するヘッジ

・魅力的な高配当利回り

これらの理由から、ペトロレオ・ブラジレイロ・ペトロブラスは注目に値すると考えています。

同社は、2025年から2029年の事業計画の一環として、2025年の配当戦略を発表しました。同社は、5年間で合計450億~550億ドルの通常配当を支払う計画で、年間平均90億~110億ドルを見込んでいます。

さらに、同期間中に最大100億ドルの特別配当が支払われる可能性が示されています。

PERが約4倍という割安な水準にあるため、特にマクロ経済環境がより好転すれば、さらにバリュエーションが上昇する余地があるのではないかと考えています。

ペトロレオ・ブラジレイロ・ペトロブラス(PBR)のテクニカル分析

チャートを見る限り、ペトロレオ・ブラジレイロ・ペトロブラス(PBR)は買いゾーン内にあるように見えます。同銘柄は、直近の上昇局面の61.8%リトレースメントレベル付近まで下落しています。

(出所:TrendSpider

さらに下には、11ドルでより強いサポートがあります。

フィボナッチ拡張を基にすると、今後数年で20ドル付近まで上昇する可能性があると考えています。

ペトロレオ・ブラジレイロ・ペトロブラス(PBR)に対する結論

米国債利回りの上昇は株式の評価を圧迫し、インフレ懸念を高める一方で、金融やエネルギーといったセクターには恩恵をもたらしています。

特にペトロレオ・ブラジレイロ・ペトロブラス(PBR)は、PERが4倍という低いバリュエーション、高配当(利回り12%以上)、効率的な運営によって際立っているように見えます。

同社に関しては政治的リスクはあるものの、1,110億ドルの投資計画と石油・ガスに注力する戦略が長期的な収益性を支えると期待していることから、本稿にてご紹介させていただきました。

また、私はマクロ経済、並びに、注目のテクノロジー銘柄に関するレポートを毎週複数執筆しており、私のプロフィール上にてフォローしていただければ、最新のレポートがリリースされる度にリアルタイムでメール経由でお知らせを受け取ることが出来ます。

加えて、その他のアナリストも詳細な分析レポートを日々執筆しており、インベストリンゴのプラットフォーム上では「毎月約100件、年間で1000件以上」のレポートを提供しております。

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アナリスト紹介:ジェームズ・ フォード

📍米国マクロ経済&テクノロジー担当

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