【配当王】ペプシコ(PEP)配当推移:配当利回りは3.72%で配当金は1.355ドルと高配当が魅力の注目の米国株の最新決算に迫る!
- 本稿では、注目の米国高配当株であるペプシコ(PEP:配当王・予想配当利回り3.72%・配当性向65%・1株当たり配当金1.355ドル)の2025年2月4日に発表された最新の2024年度第4四半期決算と配当推移の分析を通じて、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- ペプシコ(PEP)は、飲料とスナック食品を展開する世界的企業であり、安定した収益基盤を持ちつつ、過去52年間にわたり連続増配を続ける「配当王」です。
- 最新の2024年度第4四半期決算では、前年同期比で増益を記録し、売上成長も堅調でした。財務面ではROICがWACCを上回り、資本を効率的に活用しています。
- 株価は本質的価値よりも低く、安全マージンが確保されている一方で、予想配当利回りは3.72%と魅力的で、今後も安定した成長が期待されています。
ペプシコ(PEP)の概要
セクター:飲料
現在の株価:144ドル
時価総額:1982.9億ドル
過去5年間の配当成長率:7.10%
前回配当落ち日:2025年3月7日
次回配当支払い日:2025年3月31日
予想配当利回り:3.72%
過去5年間の売上高成長率:7.60%
過去10年間の売上高成長率:5.20%
関連用語
安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。
売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。
足元の株価推移
(出所:筆者作成)
ペプシコ(PEP:配当王・予想配当利回り3.72%・配当性向65%・1株当たり配当金1.355ドル)は、米国ニューヨーク州パーチェスに本社を構える、世界有数の飲料・スナック食品メーカーです。コカ・コーラ(KO)に次ぐ世界第2位の飲料企業でありながら、スナック市場では圧倒的なシェアを誇り、Lay's、Cheetos、Doritosといったブランドを展開しています。飲料ではPepsi、Mountain Dew、Gatoradeなどを持ち、炭酸飲料(CSD)だけでなく、水、スポーツドリンク、エナジードリンクなど、多様な製品ポートフォリオを有しています。売上の約55%をスナック食品、残りを飲料事業が占め、米国内外に広範な製造・流通網を持ちます。
ペプシコは株主還元にも積極的で、直近の1株当たり配当は1.355ドル、予想配当利回りは3.72%と、過去10年の中央値2.77%を上回る魅力的な水準です。また、過去5年間の年間配当成長率は7.10%、今後も6.65%の成長が見込まれています。さらに、同社は過去52年間にわたり連続して増配を継続していることから、米国株配当王の一角を担っています。そのため投資家にとって、安定したキャッシュフローと収益性、強固なブランド力を背景にした長期的な成長性が魅力の配当銘柄といえます。
そして、同社は2025年2月4日に2024年第4四半期決算を発表しており、本稿では同社の最新の決算と財務パフォーマンス、並びに配当推移を詳しく分析していきます。
また、私はバリュー・インカム関連、並びに、テクノロジー銘柄に関するレポートを毎週複数執筆しており、私のプロフィール上にてフォローをしていただくと、最新のレポートがリリースされる度にリアルタイムでメール経由でお知らせを受け取ることができます。
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ペプシコ(PEP)の最新の2024年度第4四半期決算発表に関して
ペプシコ(PEP)は、2025年2月4日に発表された最新の2024年度第4四半期決算において、1株当たり利益(EPS、特別項目を除く)を1.96ドルと報告しました。これは、第3四半期の2.31ドルからは減少しましたが、前年同期の1.78ドルからは増加しています。この結果、前年同期比(YoY)では力強い成長を示したものの、四半期ベース(QoQ)では減少したことになります。
また、1株当たり売上も2024年第3四半期の16.922ドルから2024年第4四半期には20.207ドルへと増加しており、力強い売上成長を示しています。
さらに、過去5年間の年間EPS(特別項目を除く)の年平均成長率(CAGR)は8.90%、過去10年間のCAGRは5.80%となっています。
今四半期の粗利益率は54.55%で、過去10年の中央値である54.56%をわずかに上回っています。そして、これは、市場の変動があったとしても、同社が一貫した収益性を維持していることを示しています。
また、同社は安定した自社株買いを継続的に実施しており、過去10年間の年間平均自社株買い比率は0.70%でした。つまり、毎年0.70%の発行済株式が買い戻されていることになります。この戦略により、発行済み株式数が減少し、EPSが向上することで、株主価値の増大につながっています。
業界の予測によると、今後10年間の年間成長率は約4%と見込まれており、同社のさらなる事業拡大の可能性を示唆しています。
今後の見通しとして、市場のアナリストは2025年度のEPSを8.24ドル、2026年度のEPSを8.83ドルと予測しています。また、売上は2027年までに997.99億ドルに達すると見込まれており、戦略的施策や市場拡大が成長の原動力になると考えられます。
これらの予測は、同社が今後も順調に成長を続ける可能性が高いことを示しており、事業運営の効率性維持と市場機会の獲得に重点を置くことが重要になりそうです。
次回の決算発表は2025年4月23日に予定されており、この際にさらなる業績の見通しが明確になるでしょう。
非経常損益項目を除くベースでのEPS
(年間ベース:直近4四半期の合計値)
(出所:筆者作成)
関連用語
EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。
非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。
希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。
1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。
粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。
自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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ペプシコ(PEP)の財務パフォーマンスに関して
ペプシコ(PEP)の財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。
まず、同社は、資本配分戦略を通じて、強固な財務パフォーマンスと価値創造を実現しています。これは、ROICとWACCの比較を行うことで、同社の経済的価値創出能力が評価できます。
過去5年間のROICの中央値は11.63%、WACCは5.73%でした。この結果、同社のROICは一貫してWACCを上回っており、効果的な資本活用と積極的な経済価値創出を実現していることがわかります。
また、現在のROICは12.35%であり、WACCの5.64%を大幅に上回っています。この差は、同社が単に資本コストをカバーするだけでなく、それを超えるリターンを生み出し、株主価値を高めていることを示しています。
さらに、過去5年間のROE(自己資本利益率)と現在のROEの中央値を見ても、同社の収益性が堅調であり、株主資本の効率的な活用が行われていることが確認できます。
総合的に見ると、同社のROICがWACCを上回り続けていることは、同社が長期的に株主価値を創出し続ける能力を持っていることを示しています。
投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の比較
(出所:筆者作成)
関連用語
総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。
自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。
投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。
ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。
加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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ペプシコ(PEP)の配当に関して
ペプシコ(PEP)は、安定した配当成長を維持しており、過去5年間の年間配当成長率は7.10%、直近3年間では7.90%とやや高い水準となっています。
さらに、同社は過去52年間にわたり連続して増配を継続していることから、米国株配当王の一角を担っています。
最新の四半期では、1株当たり配当を1.355ドルに据え置き、安定した配当方針を維持しました。また、同社の予想配当利回りは3.72%となっており、過去10年の中央値2.77%を上回っています。
財務レバレッジの観点では、EBITDA有利子負債倍率が2.70倍と適度な範囲に収まっており、大きなリスクはないと考えられます。これは、同社が適切な範囲で負債を管理していることを示しています。
基本的には、EBITDA有利子負債倍率は2倍以下であれば財務リスクが低く、4倍以上であれば財務リスクが高いことを示すとされています。
配当性向については、過去に100%を超える水準で推移していたものの、現在は65.0%と持続可能な水準に調整されました。これは、今後の配当の安定性や成長にとって好ましい指標といえます。
今後の見通しとして、今後3〜5年間の年間配当成長率は6.65%と予測されています。これは、引き続き堅調な配当成長が期待できることを意味しています。
また、四半期ごとの配当支払いを考慮すると、次回の配当落ち日は2025年6月6日と見込まれています。これにより、投資家は適切なタイミングでポートフォリオの計画を立てることが可能となるでしょう。
予想配当利回り:3.72%
配当性向:65%
配当カバレッジ・レシオ:1.3倍
過去5年間の配当成長率: 7.10%
EBITDA有利子負債倍率:2.7倍
DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金
(出所:筆者作成)
Dividend Yield:予想配当利回り
(出所:筆者作成)
Dividend Payout:配当性向
(出所:筆者作成)
関連用語
1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。
配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。
予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。
配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。
EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。
配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。
配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。
配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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ペプシコ(PEP)のバリュエーションに関して
ペプシコ(PEP)の現在の株価は144.58ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である181.47ドルよりも低い水準にあり、安全余裕率(マージン)が20.33%となっていることから、割安である可能性が示唆されています。そして、この安全余裕率は、市場の変動があったとしても、投資家にとってリスクを軽減する余地があることを示しています。
現在の予想PER(株価収益率)は17.24倍であり、過去10年の中央値26.13倍と比較すると割安な水準にあります。また、直近12カ月ベースの実績EV/EBITDA倍率は14.1倍で、過去10年の中央値16.37倍を下回っており、適正なバリュエーションであることがうかがえます。
売上高に対する株価の評価を示す直近12カ月のPSR(株価売上高倍率)は2.16倍で、過去10年の最低値2.10倍に近い水準です。しかし、直近12カ月のPBR(株価純資産倍率)は10.99倍で、過去10年の最低値を上回るものの中央値を下回っています。また、直近12カ月の株価フリーキャッシュフロー倍率(P/FCF)は27.67倍で、過去10年の最高値51.02倍より低いものの、平均的な水準に位置しています。
一方で、市場のアナリストの見解は慎重な楽観論が支配しており、過去2カ月の目標株価の平均値は180.08ドルから166.65ドルへと引き下げられました。これは、市場の懸念や予測の修正を反映したものと考えられます。しかし、本質的価値に基づく安全余裕率やバリュエーション指標を総合的に判断すると、同社は現在割安であるように見えます。
(出所:筆者作成)
上記グラフにおける関連用語
Price:現在の株価
Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値
DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価
DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価
Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価
Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価
赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値
関連用語
実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。
予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。
PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。
株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。
株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。
EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。
PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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ペプシコ(PEP)のリスクとリターンに関して
ペプシコ(PEP)のリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。
同社の財務状況は、強みと懸念材料が混在しています。同社は過去3年間で47億ドルの長期負債を増加させており、将来の財務柔軟性に対する懸念が指摘されています。しかし、現在の負債水準は業界標準内に収まっており、大きな問題にはなっていません。
懸念点としては、過去5年間の営業利益率が年間平均-1.6%ずつ減少していることが挙げられます。これはコスト管理の難しさや、市場環境の変化による影響を示唆しています。また、過去1年間の売上成長率の鈍化も、将来の収益性に影響を与える可能性があります。
一方で、同社にはいくつかの財務的な強みがあります。ベニッシュのM-Scoreによると、財務操作のリスクは低く、財務報告の信頼性は高いと考えられます。また、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、PSR(株価売上高倍率)の各指標は過去数年間の最低水準に近く、割安感があります。さらに、アルトマンのZスコアは3.77と、財務的に安定しており、倒産リスクが低いことを示しています。加えて、現在の予想配当利回りは過去10年の最高水準に近く、投資家にとって魅力的な要素となっています。
関連用語
財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。
アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。
ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。
ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。
インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、2倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の2倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。
ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
関連コラム
ペプシコ(PEP)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して
過去1年間のペプシコ(PEP)のインサイダー取引を分析すると、直近3カ月、6カ月、12カ月のいずれの期間でも、役員や経営陣を含むインサイダーによる同社株式の購入は確認されていません。一方、過去12カ月で4件のインサイダー売却が行われました。
これは、役員や経営陣が同社の株価を過大評価されていると見なした可能性があるか、個人的な財務上の理由で売却を行った可能性を示唆しています。ただし、インサイダーによる同社株式の保有比率は0.48%と低く、経営陣の保有株が少ないことがわかります。この低い保有比率は、経営陣と一般投資家の利益が必ずしも一致しない可能性を示しています。一方で、プロの機関投資家の保有比率は72.45%と高く、大手金融機関による強い信頼が寄せられています。
総合的に判断すると、インサイダーの売却がやや懸念されるものの、プロの機関投資家の支持が株価を支える要素になっていると考えられます。
インサイダー(内部関係者)による売買
(出所:筆者作成)
関連用語
インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。
機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。
ペプシコ(PEP)の流動性に関して
ペプシコ(PEP)の直近営業日の1日の取引量は5,801,831株であり、過去2カ月の平均取引量6,965,475株を下回っています。これは、最近の取引活動が減少していることを示しており、市場環境や投資家心理、または企業の最新動向が影響している可能性があります。
ダークプール指数(DPI)は52.89%と高い数値を示しており、取引の大部分がダークプール市場で行われていることが分かります。DPIが50%以上である場合、プロの機関投資家が大規模な取引を公的市場の影響を受けずに実行している可能性が高いとされています。
取引量が低下していることは、投資家の関心が一時的に減少していることを示している可能性がありますが、DPIの高さから、大口投資家が依然として関心を持っていることがうかがえます。
以上より、同社の流動性は依然として高く、十分な取引量があるため、市場での売買がスムーズに行われると考えられます。
関連用語
※ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。
※ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。
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アナリスト紹介:イアニス・ゾルンパノス氏
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