01/26/2025

【配当王】プロクター・アンド・ギャンブル(PG)68年間連続増配の「配当王」!配当利回りは2.45%と魅力的?

baby in yellow dress lying on bedイアニス・ ゾルンパノスイアニス・ ゾルンパノス
  • 本稿では、注目の米国配当株であるプロクター・アンド・ギャンブル(PG:配当王・予想配当利回り2.45%・配当性向58%・1株当たり配当金1.0065ドル)の2025年1月22日に発表された最新の2025年度第2四半期決算と配当推移の分析を通じて、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
  • 同社は、世界最大級の消費財メーカーで、68年間連続増配を維持している「配当王」であり、株価は164ドルでやや割高ではあるものの、長期的な成長見通しや安定した配当実績から、配当収入重視のインカム投資家にとって魅力的な選択肢となっています。
  • 同社は、ROICがWACCを上回る優れた財務パフォーマンスを示し、主要ブランドを通じて安定したグローバル展開を行っています。

プロクター・アンド・ギャンブル(PG)の概要


セクター:消費財

現在の株価:164ドル

時価総額:3,848.4億ドル

過去5年間の配当成長率:6.10%

前回配当落ち日:2025年1月24日

次回配当支払い日:2025年2月18日

予想配当利回り:2.45%

過去5年間の売上高成長率:5.60%

過去10年間の売上高成長率:3.80%


関連用語

安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。

売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。


足元の株価推移

(出所:筆者作成)

プロクター・アンド・ギャンブル(PG:配当王・予想配当利回り2.45・配当性向58%・1株当たり配当金1.0065ドル)は、1837年に設立され、アメリカ・オハイオ州シンシナティに本社を置く、世界最大級の消費財メーカーです。同社は、Tide(洗剤)、Charmin(トイレットペーパー)、Pantene(シャンプー)、Pampers(おむつ)など、年間売上高10億ドルを超えるブランドを20以上展開しており、消費者の生活に密着した製品ポートフォリオを持つ点が大きな特徴です。売上の半分以上は国際市場から生み出されており、グローバルなビジネス展開が同社の強みです。

さらに、同社は過去68年間にわたり増配を継続しており、米国株配当王の一角を担っています。そして、2025年1月24日の権利落ち日以降、1株あたり1.0065ドルの配当支払いが予定されています。同社の予想配当利回りは2.45%で、過去10年間の中央値である2.56%に近い水準です。配当性向は58%と余裕があり、将来的な増配の可能性も期待されています。また、過去5年間で6.10%、3年間で5.70%の配当成長率を記録しており、配当株としての魅力を維持しています。

同社は強固なブランド力、収益性の高い事業モデル、安定した配当支払いを通じて、長期目線の配当収入を重視するインカム投資家にとって魅力的な選択肢となっています。

そして、同社は2025122日に2025年第2四半期決算を発表しており、下記では同社の最新の決算と財務パフォーマンス、並びに配当推移を詳しく分析していきます。


また、私はバリュー・インカム関連、並びに、テクノロジー銘柄に関するレポートを毎週複数執筆しており、私のプロフィール上にてフォローをしていただくと、最新のレポートがリリースされる度にリアルタイムでメール経由でお知らせを受け取ることができます。

さらに、他のアナリストも詳細な分析レポートを日々執筆しており、インベストリンゴのプラットフォーム上では「毎月約100件、年間で1000件以上」のレポートを提供しております。

そこで、私の最新のレポートを見逃さないために、是非、フォローしていただければと思います!


ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の最新の2025年度第2四半期決算発表に関して

プロクター・アンド・ギャンブル(PG2025122日に発表された、最新の2025年度第2四半期決算発表では、非経常損益項目を除くベースでのEPSは2.04ドルを記録し、前四半期の1.93ドル、前年同期の1.84ドルと比較して減少しています。一方で、希薄化後EPSは1.88ドルと、前四半期の1.61ドル、前年同期の1.40ドルから改善しており、強い回復基調と効果的なコスト管理が示されています。また、1株当たり売上高は8.902ドルに増加し、前四半期の8.815ドル、前年同期の8.686ドルを上回りました。

一方で、長期的なパフォーマンスを見ると、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は6.90%、過去10年間の年平均成長率は6.40%となっており、中長期的にも一定の成長を実現していることが分かります。

さらに、同社の粗利益率は51.34%で、過去5年間の中央値である50.32%をわずかに上回り、安定した収益性を示しています。粗利益率の過去10年の最高値は51.39%で、現在の利益率がほぼピーク水準に近いことを示しています。

また、同社は安定した自社株買いを行っており、過去1年間の自社株買い比率は0.30%、過去5年間では1.30%となっています。これにより、発行株式数の減少を通じてEPSの成長を加速していると言えます。

今後の見通しについて、業界の予測では、次の10年間に年平均4〜5%の成長率が見込まれています。さらに、市場のアナリストの予測では、次年度のEPSは6.697ドル、翌年度は7.377ドルに増加するとされており、継続的な成長の可能性が示唆されています。

次回の決算発表は2025年4月18日に予定されており、同社の業績と今後の動向に関して更なる洞察が得られるでしょう。

非経常損益項目を除くベースでのEPS

(年間ベース:直近4四半期の合計値

(出所:筆者作成)


関連用語

EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。

非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。

希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。

1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。

粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。

自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

関連コラム

配当株投資関連の専門用語と重要指標一覧


プロクター・アンド・ギャンブル(PG)の財務パフォーマンスに関して

プロクター・アンド・ギャンブル(PGの財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。

同社は、ROICWACCを通じて、優れた財務パフォーマンスと効率的な資本配分を示しています。同社のROICは、過去5年間の中央値が13.30%、現在値が14.76%と、過去5年間の中央値が5.11%、現在値が6.47%のWACCを一貫して上回っています。これは、同社が資本コストを超える収益を投資から生み出し、経済的な価値を効果的に創出していることを示しています。つまり、ROICとWACCの大きな差は、同社が資本を効率的に活用し、株主価値を創造する能力を強調しています。

さらに、同社の自己資本利益率(ROE)は、過去5年間の中央値が30.80%、現在値が30.73%と高水準を維持しており、その収益性と運営効率の高さを裏付けています。これらの財務指標は、同社が価値創出に重点を置いた経営を行う優良企業であることを示しており、優れた財務パフォーマンスと効率的な資本配分を求める投資家にとって、魅力的な投資先となる可能性を示唆しています。

投下資本利益率(ROIC)加重平均資本コスト(WACC)の比較

(出所:筆者作成)


関連用語

総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。

自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。

投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。

ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。

加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

関連コラム

配当株投資関連の専門用語と重要指標一覧


プロクター・アンド・ギャンブル(PG)の配当に関して

プロクター・アンド・ギャンブル(PG)は安定した配当成長を維持し、さらに、過去68年間にわたり増配を継続しており、米国株配当王の一角を担っています。

そして、過去5年間の成長率は6.10%、3年間では5.70%となっています。直近の四半期配当は1株あたり1.0065ドルで、安定した配当支払いのパターンを示しています。加えて、予想配当利回りは2.45%で、過去10年間の中央値である2.56%をわずかに下回っていますが、依然として堅実な水準にあります。

また、EBITDA有利子負債倍率は1.49倍と2倍の基準を大幅に下回っており、同社が債務を適切に管理し、財務の安定性を維持していることを反映しています。基本的には、EBITDA有利子負債倍率は2倍以下であれば財務リスクが低く、4倍以上であれば財務リスクが高いことを示すとされています。そして、この低い倍率は、セクターの標準と比較しても財務レバレッジが健全であることを示しています。

さらに、今後3~5年間の配当成長率予測は4.77%とやや低下していますが、同社の財務状況は持続的な配当支払いを支えるのに十分であるように見えます。また、配当性向は58%で、過去の最高値よりも大幅に低く、配当増加の余地が十分にあることを示しています。直近の権利落ち日は2025年1月24日で、四半期ごとの配当支払いスケジュールが引き続き順調に進んでいることが伺えます。

以上より、同社の信頼性のある過去の配当支払いの実績は、安定した投資先としての魅力を高めていると言えるでしょう。

予想配当利回り:2.45%

配当性向:58%

配当カバレッジ・レシオ:1.59倍

過去5年間の配当成長率: 6.10%

EBITDA有利子負債倍率:1.49倍

DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金

(出所:筆者作成)

Dividend Yield:予想配当利回り

(出所:筆者作成)

Dividend Payout:配当性向

(出所:筆者作成)


関連用語

1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。

配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。

予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。

配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。

EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。

配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。

配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。

配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

関連コラム

配当金とは?配当金の詳細と仕組みを徹底解説!

配当株投資のメリットとリスクとは?

インカム・高配当株投資家として成功するためには?米国株高配当銘柄から成るポートフォリオのメリットと作り方を徹底解説!

50年以上連続して増配する米国株配当王の一覧・ランキングと投資を検討する際に考慮すべきポイントを徹底解説!

最新のバフェット銘柄:ウォーレン・バフェット氏がポートフォリオに保有する株式一覧と投資哲学、最新の注目銘柄を徹底分析!

配当株投資関連の専門用語と重要指標一覧


プロクター・アンド・ギャンブル(PG)のバリュエーションに関して

プロクター・アンド・ギャンブル(PGの現在の株価は164.12ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である159.83ドルよりも高い水準にあり、安全余裕率(マージン)が-2.68%となっていることから、やや割高である可能性が示唆されています。

また、TTM(直近12カ月)ベースの実績PERは26.13倍で、過去10年の中央値である25.60倍に近く、歴史的な平均的評価水準を示しています。一方、予想PERは23.68倍であることからも、収益成長への期待を反映しています。

TTM(直近12カ月)ベースの実績EV/EBITDA倍率は17.83倍で、過去10年の中央値の17.73倍をわずかに上回り、安定した評価を示唆しています。他のバリュエーション指標を見ると、TTM(直近12カ月)ベースの株価売上高倍率(PSR)は4.79倍で、過去10年中央値の4.35倍を超えており、売上に対して割高な水準を示しています。また、実績PBRは7.64倍で、過去10年の中央値の6.59倍を大きく上回り、割高感が際立っています。さらに、実績ベースの株価フリーキャッシュフロー倍率(P/FCF)は26.16倍で、過去10年の中央値の24.25倍を上回り、キャッシュフロー創出能力に対してプレミアムがついていることが分かります。

一方で、市場のアナリストの評価はやや慎重で、現時点での目標株価の平均値は180.25ドルと、過去数カ月の目標値よりやや下がっています。29名のアナリストによるコンセンサスでは「中立」との評価が多数を占めており、やや割高なバリュエーション指標や安全余裕率の欠如により、投資家はエントリーポイントの改善や成長見通しのさらなる明確化を待つ姿勢を取るべきかもしれません。

(出所:筆者作成)


上記グラフにおける関連用語

Price:現在の株価

Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値

DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価

DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価

Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価

Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価

赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値


関連用語

実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。

株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。

株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。

EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。

PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

関連コラム

PER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)とは?PERとPBRの詳細と目安を徹底解説!

PERはマイナスになることがあるのか?PERの詳細と目安を徹底解説!

PER(株価収益率)100倍の銘柄は買うべき?PERの考え方を徹底解説!

株価売上高倍率(PSR)とは?株価売上高倍率の詳細と目安を徹底解説!

配当株投資関連の専門用語と重要指標一覧


プロクター・アンド・ギャンブル(PG)のリスクとリターンに関して

プロクター・アンド・ギャンブル(PGのリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。

まず、同社はリスクと安定性が入り混じった状況を呈しています。注意すべき点としては、過去3年間で1億7700万ドルの新規債務を発行しており、全体として管理可能なレベルではあるものの、負債の増加が見られます。また、最近60,647株のインサイダー売却が行われた一方で、買い付けが確認されていない点は内部関係者の同社株式への信頼感に関する懸念を引き起こす可能性があります。さらに、売上成長率が過去1年間で減速しており、将来の収益圧力を示唆している可能性があります。株価は過去10年の高値水準、および、株価売上高倍率(PSR)も過去10年の最高水準に近づいており、歴史的な基準から見ると割高感があります。

一方で、同社の財務基盤は強固です。ピオトロスキーのFスコアが7と高く、健全な財務状況を示しています。また、ベニッシュのMスコアは利益操作の可能性が低いことを示しており、投資家の信頼を高めています。営業利益率の改善は、効率性と収益性の向上を反映しています。さらに、株価純資産倍率(PBR)および株価収益率(PER)が最近の低水準に近づいており、絶対水準では高めではあるものの、相対的にはより魅力的なバリュエーションを示している可能性があります。加えて、アルトマンのZスコアは5.9と高く、倒産リスクが低いことを示しています。

総じて、バリュエーションやインサイダーによる同社株式の取引においては注意が必要ではあるものの、同社のファンダメンタルズ上の強みは安心材料であるように見えます。以上より、同社への投資を検討する際には、リスクとリターンを慎重に見極めることが重要でしょう。

関連用語

財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。

アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。

ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。

ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。

インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、2倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の2倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。

ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

関連コラム

配当株投資関連の専門用語と重要指標一覧


プロクター・アンド・ギャンブル(PG)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して

プロクター・アンド・ギャンブル(PG)では、過去1年間にわたりインサイダー取引が継続的な売却傾向を示している一方で、インサイダー購入の記録はありません。この3カ月間でインサイダーによる同社株式の売却は3件、過去6カ月間では32件に増加し、12カ月間では合計51件に達しました。このような売却の継続傾向は、インサイダーが同社の株価パフォーマンスを活用している、あるいは投資ポートフォリオを再配分している可能性を示唆しています。ただし、インサイダーによる同社株式の保有比率は0.29%と比較的低く、取締役や経営陣が保有する株式の割合が小さいことがわかります。

一方で、プロの機関投資家の保有比率は74.09%と非常に高く、同社の市場での地位や将来性に対する大手金融機関からの強い関心と信頼を反映しています。インサイダーによる売却が続いている一方で、プロの機関投資家が同社株を依然として保有している状況は、インサイダーが資産を売却する一方で、機関投資家が同社を安定した長期投資先と見なしている可能性を示唆しています。このような対照的な動きは、同社の株式が短期的な利益確定と長期的な安定性の両方の視点で注目されていることを物語っていると言えるでしょう。

インサイダー(内部関係者)による売買

(出所:筆者作成)


関連用語

インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。

機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。


プロクター・アンド・ギャンブル(PG)の流動性に関して

プロクター・アンド・ギャンブル(PG)の過去2カ月間の1日平均取引量は7,176,277株で、市場での活発な取引を示しています。しかし、直近営業日には取引量が6,197,614株とやや低下しており、市場状況や投資家心理による一時的な取引減少が考えられます。

同社のダークプール指数(DPI)は39.22%で、取引の大部分が公開市場外で行われていることを示しています。このようなダークプールでの取引活動の高さは、プロの機関投資家が同社株の戦略的な売買を行っている可能性を示唆しており、大きな価格変動を避けつつポジションを調整している可能性があります。

以上より、同社の流動性プロファイルは、平均取引量の高さから依然として堅調であり、取引が株価に与える影響を最小限に抑えることが可能です。ただし、1日の取引量が平均より下回る場合、短期的な流動性の制約が生じる可能性もありますが、現時点では懸念を抱くほどではありません。

投資家は、これらの流動性動向を他の財務指標とあわせて考慮し、同社株への投資や取引機会を評価する際の材料とするべきでしょう。


関連用語

ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。

ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。


さらに、その他のプロクター・アンド・ギャンブル(PG)に関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、プロクター・アンド・ギャンブルのページにてご覧いただければと思います。

また、私はバリュー・インカム関連、並びに、テクノロジー銘柄に関するレポートを毎週複数執筆しており、私のプロフィール上にてフォローをしていただくと、最新のレポートがリリースされる度にリアルタイムでメール経由でお知らせを受け取ることができます。

さらに、他のアナリストも詳細な分析レポートを日々執筆しており、インベストリンゴのプラットフォーム上では「毎月約100件、年間で1000件以上」のレポートを提供しております。

そこで、私の最新のレポートを見逃さないために、是非、フォローしていただければと思います!


アナリスト紹介:イアニス・ゾルンパノス氏

📍バリュー&インカム・テクノロジー担当

ゾルンパノス氏のその他の配当関連のレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、ゾルンパノス氏のプロフィールページにアクセスしていただければと思います。


インベストリンゴでは、弊社のアナリストが「高配当銘柄」から「AIや半導体関連のテクノロジー銘柄」まで、米国株個別企業に関する分析を日々日本語でアップデートしております。さらに、インベストリンゴのレポート上でカバーされている米国、及び、外国企業数は「250銘柄以上」(対象銘柄リストはこちら)となっております。米国株式市場に関心のある方は、是非、弊社プラットフォームより詳細な分析レポートをご覧いただければと思います。