やや強気パランティア・テクノロジーズパランティア(PLTR)強気:LLM(大規模言語モデル)を含むテクノロジー上の競争優位性と今後の株価見通し・将来性(前編)
コンヴェクィティ - AIP(Artificial Intelligence Platform)はパランティア・テクノロジーズ(PLTR)が大成功を収めるための起爆剤となったが、実際には同社によるイノベーションのハードルは低かった。
- AIPが脚光を浴びているが、2021年1月から我々が言い続けているように、大規模言語モデル(LLM)実装の成功の鍵はオントロジーである。
- また、パランティア・テクノロジーズとスノーフレイク、マンデードットコム、次世代GenAIスタートアップを比較し、同社の差別化・強みをさらに強調したい。
パランティア・テクノロジーズ(PLTR)の競争優位性
パランティア・テクノロジーズ(PLTR)は、企業顧客向けのカスタムメイドのオントロジーの作成に特化することでテクノロジー業界で際立っており、このユニークな能力が同社の評価に大きく貢献している。
以前のレポートでは、大規模言語モデル(LLM)を使用する企業にとって、同社は重要なイネーブラーであると強調した。
加えて、同社が競争優位性を獲得するために、これらのモデルを各企業のデータと統合することの重要性を強調した。
実際に、同社の直面する主な課題としては、大規模言語モデルを効果的に活用するために必要な「配管」にある。
これには、データのサイロ化を克服し、共通の語彙やオントロジーの下でデータを確実に統一することが含まれる。
ChatGPTのような大規模言語モデルは公開データでは効果的だが、企業固有のデータで活用するには、企業独自のデータに接続し、それと共にトレーニングする必要がある。
しかし、企業データは断片的であり、統一された言語での整合は複雑であることから、これは容易な作業ではない。
実際に、大規模言語モデルは、共有された語彙を持つデータでトレーニングすることで恩恵を受ける。
インターネットの成功は、RDFやOWLのようなオントロジーのおかげでもあり、十分に構造化されたデータフレームワークの可能性を示していると言える。
しかし、このようなオントロジーを企業向けに作成するのは難しい。
そして、これは主に非営利団体や、Meta(META)やGoogle(GOOG/GOOGL)のようなテクノロジーの大手企業によって行われており、一般的なテクノロジー企業によって行われることはないだろう。
なぜなら、これらの作業には、膨大な時間と抽象化のレベルが求められるためである。
パランティア・テクノロジーズのArtificial Intelligence Platform(AIP)は、このコンセプトの応用例を示している。
オントロジー作成における同社の専門知識により、企業は自社のデータ上で大規模言語モデルを運用することができる。
そして、同社のHyperAutoソリューション内のSDDI(Software Defined Data Integration)は非常に重要な役割を果たしている。
これにより、パランティア・テクノロジーズはあらゆるデータソースに接続し、メタデータを通じてその構造を理解し、カスタマイズされたオントロジーを作成することができている。
そして、このプロセスは、異種データを顧客のビジネスに特化した首尾一貫した言語に変えており、これにより、大規模言語モデルのパフォーマンスと学習速度が向上する仕組みとなっている。
以下に示す例は、オントロジーがワインに関するデータをどのように構造化するかを示している。
下記の例は、クラス、サブクラス、プロパティといった概念によってワインを分類しているが、実際には、パランティア・テクノロジーズは独自の用語を使用している。
そして、同社のこのような能力は、その技術的能力を示すだけではない。
また、カスタム・オントロジーを通じて強固なデータ基盤を構築することで、企業がAIや大規模言語モデルを効果的に活用できるようにするという、市場における独自のポジションも強調している。
パランティア・テクノロジーズ(PLTR)の他社が同様のSDDIとオントロジーの水準を達成するための参入障壁とは?
競合他社がパランティア・テクノロジーズ(PLTR)と同じSDDI(Semantic Data Discovery and Integration)やオントロジーのレベルを実現するための参入障壁は大きい。
これらの障壁は、同社のユニークなアプローチと2003年の設立以来の豊富な経験に起因している。
同社の歩みは、米国政府のデータ統合と分析、特に反テロ活動、プライバシー権の確保から始まっている。
そして、これが他のデータベンダーとの大きな違いであった。
同社の手法は、FDE(Forward Deployed Engineer)を通じてエンドユーザーと密接に協力し、特定のニーズに合わせたソリューションを提供することであった。
これは、一般的なユースケースに対応する一般的なインサイド・アウト方式とは逆のアウトサイド・イン方式である。
そして、同社のエンジニアは、さまざまなデータ関連タスクにわたって、数多くのカスタマイズ・ソリューションを開発している。
これには統合、分析、検索性などが含まれ、常に厳格なデータガバナンスとユーザーアクセス制御に重点を置いている。
この実践的な経験は、特にGothamとFoundry(商業顧客を対象)プラットフォームにおいて、標準化された、直ぐに使用可能なソリューションの創造へと繋がった。
実際に、確かなフィードバック・ループに基づき、これらのソリューションを繰り返し改良することで、同社はFoundryの導入時間を大幅に短縮することができている。
これは、同社のスケーラビリティと、単なるコンサルタント会社という認識から、相互運用可能な膨大なソリューションを持つテクノロジー・リーダーへの移行を示すものである。
よりシンプルでクラウド・ネイティブなIT環境において、新規参入企業は、限られたソースからのデータを最小限の技術的負債で調和させることで、パランティア・テクノロジーズと多少競合するかもしれないが、同社の専門知識は複雑な環境でこそ輝き、具体的には、レガシーシステム、IoT、さまざまなハイテク・インフラといった業界が挙げられる。
このような多様で困難な環境に対応できる同社の深い知識は、競合他社にとって手ごわい障壁となっている。
生成AI(GenAI)の登場により、競合との差はやや縮まり、同社のリードは6年から約3年に縮まった。
これは、生成AIが破壊的な力を持つ一方で、パランティア・テクノロジーズの確立された専門知識とカスタマイズされたソリューションが、依然として実質的な競争優位性を提供していることを示している。
この経験の深さとカスタマイズは、セキュリティとガバナンスへのコミットメントと相まって、SDDIとオントロジーにおける同社の成功を再現しようとする新規参入者にとって、高いハードルを生み出しているように見える。
パランティア・テクノロジーズ(PLTR)とスノーフレイク(SNOW)の違いとは?
パランティア・テクノロジーズ(PLTR)とスノーフレイク(SNOW)はデータ分析と管理の異なる側面に対応している。
どちらも投資家に利用されているが、その機能は異なる。
スノーフレイクはAIに進出し、主に構造化されたデータの保存と計算に焦点を当てている。
ユーザーはユーザー・インターフェースを通じて、費用対効果の高いクエリーや分析を行うことができる。
これは、サプライチェーンの混乱管理のような複雑な意思決定シナリオに不可欠である、パランティア・テクノロジーズの高度なオントロジーとセマンティック・レイヤーを作成する能力とは対照的である。
混乱時の在庫、生産レベル、顧客注文の管理など、複数の変数を含む詳細な状況では、スノーフレイクの機能は構造化されたデータ照会に限定されてしまう。
対照的に、パランティア・テクノロジーズは、さまざまなデータポイントや利害関係者を結びつけ、潜在的な結果をシミュレーションし、意思決定によってシステムを更新することで、包括的な分析を促進する。
パランティア・テクノロジーズの役割はコネクターのようなもので、異種のデータソースを統合し、構造化データの範囲を超えた高度な分析を可能にするのである。
そして、スノーフレイクはクエリのためにデータの一元化を必要としますが、パランティア・テクノロジーズは大規模なデータ変換コストをかけることなく、さまざまな場所からデータをクエリできる柔軟性を提供している。
パランティア・テクノロジーズの優れたデータ統合とリアルタイムのデータパイプラインの構築能力は、スノーフレイクのより基本的なSnowpipe機能とは対照的である。
パランティア・テクノロジーズは、スノーフレイクが構造化データ分析に重点を置いているのとは異なり、データから意思決定までの全体的なアプローチを重視し、より幅広いワークフローとアプリケーションをサポートしている。
要するに、スノーフレイクがスケーラブルなストレージとデータクエリに特化しているのに対し、パランティア・テクノロジーズはデータを統合・分析してナレッジグラフを形成することに長けており、これは複雑な意思決定プロセスを支援することとなっている。
この違いは、データ管理と分析の異なるレイヤーに対応するという両者の補完的な性質を浮き彫りにしている。
※続きは「パランティア(PLTR)強気:LLM(大規模言語モデル)を含むテクノロジー上の競争優位性と今後の株価見通し・将来性(後編)」をご覧ください。
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