パランティア・テクノロジーズ(PLTR)今後の株価見通しは良好?最新の2024年第3四半期決算分析を通じて将来性に迫る!
イアニス・ ゾルンパノス- 本稿では、注目の米国AI・テクノロジー銘柄であるパランティア・テクノロジーズ(PLTR)の11月4日発表の最新の2024年第3四半期決算分析を通じて、同社の今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- 同社は、2024年第3四半期で顧客数が71%増加し、特に商業分野での拡大が顕著で、米国市場での成長率が124.48%を記録しました。
- 未履行契約額(RPO)は前年同期比58%増の15.7億ドルに達し、請求額も50%増の8.23億ドルとなり、収益基盤の拡大を裏付けています。
- 一方で、株式報酬(SBC)費用が利益を圧迫しており、長期的な財務の健全性を確保するための課題が残っています。
パランティア・テクノロジーズ(PLTR)の最新の2024年度第3四半期決算:71%の成長でさらなる勢い
パランティア・テクノロジーズ(PLTR)は、データ分析やAI駆動型ソフトウェアの分野で存在感を一層強めています。最新の決算では、顧客獲得の加速、商業分野への展開拡大、そして堅調な財務パフォーマンスが明らかになりました。11月4日発表の2024年第3四半期の業績では、顧客数の大幅増加、収益の商業顧客へのシフト、さらに戦略的対応が求められる財務上の課題が浮き彫りになっています。
パランティア・テクノロジーズ(PLTR)の顧客数の成長:需要拡大を示す71%の増加
2022年12月から2024年9月にかけて、パランティア・テクノロジーズ(PLTR)の総顧客数は367社から629社へと71%増加しました。この堅実な成長は、商業および政府分野で提供されている同社の製品やサービスへの需要が高まっていることを物語っています。特に2024年第3四半期では、前年比39%という顧客数の急増が見られ、同社の販売力とAIプラットフォームの活用効果の高さを示す重要な証拠となっています。この顧客数の急増は、同社株のポジティブな見通しに対する市場の期待を支える強力な原動力の一つともなっています。
顧客数
(出所:パランティア・テクノロジーズの2024年度第3四半期決算資料)
パランティア・テクノロジーズ(PLTR)の商業セクターの拡大が成長を加速
商業分野は、これまでも同社の成長を支える大きな原動力となってきました。2022年第4四半期から2024年第3四半期にかけて、商業顧客数は260社から498社へと、実に91.54%もの増加を記録しました。特に米国市場での成長が顕著で、同期間中に124.48%の増加を達成し、2024年第3四半期だけでも前年比77.35%という高い成長率を示しました。この急速な拡大は、高度なデータ分析や業務インサイト、意思決定ツールに対する企業の新たなニーズを的確に捉える同社の能力を裏付けており、パランティア・テクノロジーズ(PLTR)株の強気な見通しを支える要因となっています。
商業分野の顧客数
(出所:パランティア・テクノロジーズの2024年度第3四半期決算資料)
パランティア・テクノロジーズ(PLTR)の海外市場での成長:機会と課題
パランティア・テクノロジーズ(PLTR)にとって、国内商業市場での成長が依然として最も力強いものの、海外商業市場でも緩やかではありますが前向きな成長傾向が見られます。2022年第4四半期から2024年第3四半期にかけて、国際商業顧客数は51.28%増加し、2024年第3四半期単体では前年比18.79%の成長を達成しました。ただし、国内市場に比べると、規制の壁、地域間競争、現地市場への適応などの要因から、海外市場での成長は鈍化しています。
このような成長ペースは堅調ですが、同社が収益源の多様化を進め、米国市場への依存を軽減する可能性も示唆しています。こうした動きは、同社株に対する長期的な成長期待を支える要因として注目されています。
パランティア・テクノロジーズ(PLTR)の政府部門:緩やかな成長の中での安定性
パランティア・テクノロジーズ(PLTR)の政府部門での顧客基盤の成長は、商業部門に比べ控えめなものとなっています。2022年第4四半期から2024年第3四半期にかけて、政府顧客数は107から131へと22.43%増加しました。2024年第3四半期の前年比成長率はわずか6.50%であり、これは政府契約に伴う長期的な営業サイクルや予算制約を反映しています。
しかし、政府部門は依然として同社の事業運営の中核を担い、安定した収益源として機能しています。予測可能な長期収益を生み出すこの部門は、商業分野での急速な成長を補完する役割を果たしており、全体的な事業のバランスを保つ上で重要な位置づけとなっています。このような安定性は、同社株の見通しを支える要因として大きな役割を果たしています。
パランティア・テクノロジーズ(PLTR)の将来の収益見通し:RPOと請求額の成長
パランティア・テクノロジーズ(PLTR)の将来の収益見通しは、未履行契約額(RPO)と請求額の着実な成長に支えられ、引き続き堅調です。これらの指標は、同社が長期契約を確保し、それを短期収益として具体化する能力を示しており、同社株の見通しに対する信頼を高めています。
RPOは締結済みながら未履行の契約価値を示し、将来の収益を測る指標となります。2024年第3四半期時点でRPOは15.7億ドルに達し、前年の9.9億ドルから58%増加しました。この成長は、特に商業分野でのより大規模かつ長期的な契約を獲得する同社の成功を反映しています。
RPOをさらに詳細に分解すると、短期RPOは前年比30%増の7.3億ドル、長期RPOは95%増の8.4億ドルとなりました。長期RPOの大幅な増加は、顧客が同社のプラットフォームを活用した複数年契約を締結していることを示しており、同社の収益基盤を安定させるとともに、同社株の将来見通しをさらに強固にする要因となっています。
パランティア・テクノロジーズ(PLTR)の請求額の成長:契約を収益へと確実に変換
パランティア・テクノロジーズ(PLTR)が四半期ごとに顧客に請求した収益を示す請求額は、引き続き力強い成長を遂げています。2024年第3四半期には請求額が8億2300万ドルに達し、2023年第3四半期の5億5000万ドルから前年比50%増加しました。この成長は、同社が増加する契約パイプラインを確実に収益化できる能力を物語っています。
未履行契約額(RPO)と請求額の両方が増加していることは、堅調な契約パイプラインがパランティアの収益成長をしっかり支えていることを示しています。同社が顧客基盤を拡大し、高額な契約を次々と獲得している中、収益成長を維持するには、サービスの円滑な提供と実行が重要です。これらの要因が同社株の楽観的な見通しを形成する上での重要な要素となっています。
パランティア・テクノロジーズ(PLTR)の株式報酬(SBC):持続的課題としての存在感
2024年第3四半期におけるパランティア・テクノロジーズ(PLTR)の収益は、利益成長が顕著でしたが、株式報酬(SBC:Stock-Based Compensation)は依然として利益率や株主価値に大きな負担をかけています。高い企業評価に加えてSBC費用が増加することは、同社の長期的な財務の健全性にとって望ましくない要因となっています。これらの財務上の動きは、同社株の見通しを決定する上で重要な要素です。
SBCは引き続き同社にとって大きな懸念事項であり、費用は2023年第3四半期の1億1440万ドルから2024年第3四半期には1億4240万ドルへと増加しました。同社はこれらの費用抑制に努めていますが、ここ数四半期のSBC費用は非常に不安定であり、同社が人材確保のために株式報酬に大きく依存していることを示しています。このような株式報酬の依存はテクノロジー企業では一般的なものの、同社のSBC費用の規模は、株主の持ち株価値を希薄化させるリスクを高めるとともに、持続可能な利益を実現する可能性を損なう懸念があります。
特筆すべきは、2024年第3四半期における純利益のほぼ全額がSBC費用に充てられている点です。同社の純利益は前年比2倍の1億4350万ドルに達しましたが、そのうち99.23%がSBC費用に相当しています。これは、利益成長の余地が極めて小さいことを強く示唆しています。SBC費用がこのまま増加し続ければ、同社の成長投資や株主還元を強化する能力が大きく制限され、同社株に対する楽観的な見通しを損なう可能性があります。
(出所:パランティア・テクノロジーズの2024年度第3四半期決算資料)
パランティア・テクノロジーズ(PLTR)に対する結論
2024年第3四半期のパランティア・テクノロジーズ(PLTR)の業績は、顧客獲得や商業分野の多角化といった強みを活かしながら、SBC費用や高い企業評価といった財務課題に取り組む過渡期にある企業の姿を反映しています。顧客数が71%増加し、そのうち商業顧客が91.54%増加したことは、産業や地域を超えた同社の影響力拡大を示しています。また、未履行契約額(RPO)や請求額の拡大は、将来の収益成長の見通しをさらに明確にしています。
しかし、投資家の信頼を維持し、高い企業評価を正当化するには、同社はSBC費用を積極的に抑制し、利益率の向上に注力する必要があります。成長を続けながら財務の健全性を確保し、国際展開をさらに進めることが求められています。このバランスを実現できれば、同社はAIとデータ分析分野におけるリーダーとしての地位をさらに強化し、顧客と株主の双方に持続的な価値を提供し続けることができるでしょう。
以上より、パランティア・テクノロジーズ株の見通しを注視している投資家にとって、同社がこれらの課題を克服する過程で、魅力的な投資機会とリスクが共存していることを理解する必要があるでしょう。
その他のパランティア・テクノロジーズ(PLTR)のレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、パランティア・テクノロジーズのページにてご覧いただければと思います。
加えて、最新の決算の直後に下記の決算とバリュエーション分析に関するレポートも執筆しておりますので、併せてご覧いただければと思います。
また、インベストリンゴのアナリストであるジェームズ・ フォード氏も、パランティア・テクノロジーズの最新決算後に下記のレポートを執筆しておりますので、是非、インベストリンゴのプラットフォーム上より、ご覧いただければと思います。
また、フォード氏は決算前にもパランティア・テクノロジーズに関するレポートを執筆しておりますので、是非、こちらも併せてご覧いただければと思います。
また、私をフォローしていただければ、最新のレポートがリリースされる度に、リアルタイムでメール経由でお知らせを受け取ることが出来ます。
私のテクノロジー関連、並びに、バリュー株や配当株に関するレポートに関心がございましたら、是非、フォローしていただければと思います。
アナリスト紹介:イアニス・ゾルンパノス氏
📍バリュー・インカム担当
ゾルンパノス氏のその他の配当関連のレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、ゾルンパノス氏のプロフィールページにアクセスしていただければと思います。
インベストリンゴでは、弊社のアナリストが、高配当関連銘柄からAIや半導体関連のテクノロジー銘柄まで、米国株個別企業に関する動向を日々日本語でアップデートしております。そして、インベストリンゴのレポート上でカバーされている米国、及び、外国企業数は250銘柄以上となっております。米国株式市場に関心のある方は、是非、弊社プラットフォームよりレポートをご覧いただければと思います。
弊社がカバーしている企業・銘柄の一覧ページはこちら