02/18/2025

【高配当タバコ株の将来性】フィリップ・モリス(PM)の配当金は1.35ドル!配当性向は80%で株主還元を重視!

a stack of boxesイアニス・ ゾルンパノスイアニス・ ゾルンパノス
  • 本稿では、注目の米国高配当タバコ株であるフィリップ・モリス(PM:予想配当利回り3.65%・配当性向80%・1株当たり配当金1.35ドル)の2025年2月6日に発表された最新の2024年度第4四半期決算と配当推移の分析を通じて、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
  • フィリップ・モリス(PM)は、紙巻きたばこや加熱式たばこ「iQOS」を展開する世界最大級のたばこメーカーで、2023年にスウェーデンマッチを買収し、米国市場での事業を強化しました。
  • 2024年第4四半期の決算では、非経常要因を除いたEPSは前年同期比で増加したものの、希薄化後EPSは-0.38ドルと大幅に減少しました。
  • 今後の成長率は業界平均を下回る可能性があるものの、安定した配当と強固なブランド力を背景に魅力的な高配当株とされています。

フィリップ・モリス(PM)の概要


セクター:タバコ製品

現在の株価:148ドル

時価総額:2,313.6ドル

過去5年間の配当成長率:2.80%

前回配当落ち日:2024年12月26日

前回配当支払い日:2025年1月13日

予想配当利回り:3.65%

過去5年間の売上高成長率:5.40%

過去10年間の売上高成長率:2.70%


関連用語

売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。


足元の株価推移

(出所:筆者作成)

フィリップ・モリス(PM:予想配当利回り3.65・配当性向80%・1株当たり配当金1.35ドル)は、2008年にアルトリアの海外事業から分離し、アメリカ合衆国コネチカット州スタンフォードに登記上の本社を置き、スイスのローザンヌに統括本部を構える世界最大級のたばこメーカーです。紙巻きたばこを中心に、加熱式たばこ「iQOS」や電子タバコ、口腔内ニコチン製品など、リスク低減型(RRP)製品の販売に注力しています。2023年には、スウェーデンマッチを買収し、米国市場におけるニコチンパウチ事業を強化しました。

同社の強みは、高いブランド力とグローバル展開です。「マールボロ」などの人気ブランドを有し、180以上の国と地域で販売展開を行っています。特に、iQOSは加熱式たばこの市場で圧倒的なシェアを持ち、世界的な規制強化の中で、伝統的な紙巻きたばこからのシフトを先導しています。

さらに、同社の配当は安定しており、2024年の年間配当は5.40ドル、予想配当利回りは3.65%となっています。また、過去5年平均の配当成長率は2.8%と緩やかですが、80%の配当性向で株主還元を重視しています。そのため、同社は、安定したキャッシュフローと高いブランド力を持つ魅力的な高配当株です。

そして、同社は202526日に2024年第4四半期決算を発表しており、本稿では同社の最新の決算と財務パフォーマンス、並びに配当推移を詳しく分析していきます。


フィリップ・モリス(PM)の最新の2024年度第4四半期決算発表に関して

フィリップ・モリス(PM)は、202526日に発表された最新の2024年度第4四半期決算において、一時的要因を除いたEPS(1株当たり利益)は1.55ドルとなり、前四半期の1.97ドルから減少したものの、前年同期の1.407ドルからは増加しました。

一方で、希薄化後EPSは-0.38ドルと大幅なマイナスとなり、前四半期の1.97ドルと比較して大きく落ち込みました。

これは、非経常的な費用が影響した結果です。

ただし、1株当たり売上高は6.238ドルとなり、前四半期の6.37ドルから若干減少しましたが、前年同期の5.825ドルと比べると改善しています。

さらに、過去5年間のEPS年平均成長率(CAGR)は3.60%、過去10年間のCAGRは3.20%となっています。

しかしながら、業界予測では、今後10年間の成長率は約5%と見込まれており、同社の成長は業界平均を下回る可能性があります。

同社の粗利益率は64.81%で、過去5年の中央値と同程度ですが、過去10年の最高値である68.06%は下回っています。

また、同社の自社株買いの動きは限定的で、過去1年間の自社株買い比率は-0.20%となっています。

これは、自社株の買い戻しではなく、新規発行による株式の増加を示しています。

自社株買い比率は、自社株をどれだけ買い戻したかを示す指標ですが、今回のようにマイナスの場合は、新株発行や希薄化を意味します。

一方で、同社の自社株買いの動向は過去に波があり、過去3年間の最高値は5.10%でした。

今後については、市場のアナリストの予測によると、同社の売上は2025年には398.5億ドル、2027年には459.2億ドルに達すると見込まれています。

また、来期のEPS予想は6.87ドルで、その翌年には7.48ドルまで成長すると予測されています。

以上より、アナリストの見解では、同社の業績見通しは引き続き良好であり、戦略的な取り組みや市場回復の可能性が成長を支える要因となると考えられています。

次回の決算発表日は2025年4月23日に予定されており、これらの予測の詳細や更新が発表される見込みです。

非経常損益項目を除くベースでのEPS

(年間ベース:直近4四半期の合計値

(出所:筆者作成)


関連用語

EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。

非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。

希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。

1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。

粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。

自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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フィリップ・モリス(PM)の財務パフォーマンスに関して

フィリップ・モリス(PMの財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。

同社は、資本の効率的な運用を示しており、ROICが一貫してWACCを上回っています。

過去5年間の中央値では、ROICは24.95%、WACCは6.14%となっており、かなりの利益を生み出していることが分かります。

このプラスの差は、同社が資本コストを上回るリターンを生み出し、株主価値を向上させていることを示しています。

現在のROICは19.89%で、WACCの6.74%を依然として上回っており、同社の経済的価値創出能力が持続可能であることを示唆しています。

ただし、自己資本がマイナスであるため、自己資本利益率(ROE)の指標には課題があります。

それでも、同社の高いROICは、資本管理の効果性を示していると言えるでしょう。

また、ジョエル・グリーンブラットが提唱したROIC(188.34%)は、極めて高い資本効率を示し、同社の資源配分戦略が成功していることを示唆しています。

総じて、同社は長期にわたりROICがWACCを大きく上回ることで、持続可能な競争優位性を維持し、効果的な経済価値創出を実現していると考えられます。

投下資本利益率(ROIC)加重平均資本コスト(WACC)の比較

(出所:筆者作成)


関連用語

総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。

自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。

投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。

ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。

加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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フィリップ・モリス(PM)の配当に関して

フィリップ・モリス(PM)は、安定した配当成長を続けており、過去5年間の配当成長率は2.80%、過去3年間の成長率は2.70%となっています。

直近の四半期では、1株当たり1.35ドルの配当を発表し、前回の1.30ドルからわずかに増加しました。

現在の予想配当利回りは3.65%で、過去10年間の中央値である5.04%を下回っており、過去の水準と比較すると株価が割高である可能性があります。

また、配当性向は80.0%と高めですが、過去のピーク時と比べると若干低下しており、利益の配当カバー率が改善されています。

財務レバレッジの観点では、EBITDA有利子負債倍率は2.90倍で、中程度のリスク水準に位置付けられます。

この数値は、リスクが低いとされる2倍を若干上回っていますが、過度な債務負担には至っていません。

一般的には、EBITDA有利子負債倍率は2倍以下であれば財務リスクが低く、4倍以上であれば財務リスクが高いことを示すとされています。

今後の見通しとしては、配当成長率は4.65%になると予想されており、今後も増配が期待されます。

そして、次回の配当落ち日は2025年3月25日を予定しています。

予想配当利回り:3.65%

配当性向:80%

配当カバレッジ・レシオ:0.85倍

過去5年間の配当成長率: 2.80%

EBITDA有利子負債倍率:2.9倍

DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金

(出所:筆者作成)

Dividend Yield:予想配当利回り

(出所:筆者作成)

Dividend Payout:配当性向

(出所:筆者作成)


関連用語

1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。

配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。

予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。

配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。

EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。

配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。

配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。

配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。

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フィリップ・モリス(PM)のバリュエーションに関して

フィリップ・モリス(PMの現在の株価は148.80ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である114.68ドルよりも高い水準にあり、安全余裕率(マージン)が-29.75%となっていることから、割高である可能性が示唆されています。

一方で、予想PER(株価収益率) は20.91倍であり、直近12か月のPERである32.99倍と比較すると割安に見え、将来的な利益成長の期待が反映されている可能性があります。

しかし、どちらの数値も過去10年間の中央値である17.97倍を上回っており、割高な評価を受けていることが分かります。

他のバリュエーション指標も見てみると、直近12か月のEV/EBITDA倍率 は17.61倍となっており、過去10年間の中央値である13.52倍を上回っていますが、10年間の最高値である18.60倍は下回っています。

また、直近12か月の株価フリーキャッシュフロー倍率(P/FCF) は21.69倍であり、10年間の中央値である17.54倍を上回っています。

これは、市場が過去よりも同社のフリーキャッシュフローに高い価値を見出していることを示しています。

さらに、直近12か月の株価売上高倍率(PSR) は6.12倍で、過去10年間の中央値である4.67倍を上回っており、これも割高感を示す要因の一つです。

現在、同社の株価は市場のアナリストの目標株価の平均値である145.52ドルを若干上回っています。

この目標価格は過去3か月間で徐々に引き上げられていますが、それでもバリュエーション指標から見ると、同社の株価は過去の水準よりも高めで取引されていることが分かります。

アナリストの評価は16件のレーティングに基づいており、これらのバリュエーション指標と合わせて考えることで、より詳細な将来の見通しを得ることができるでしょう。

(出所:筆者作成)


上記グラフにおける関連用語

Price:現在の株価

Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値

DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価

DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価

Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価

Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価

赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値


関連用語

安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。

実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。

株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。

株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。

EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。

PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。

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フィリップ・モリス(PM)のリスクとリターンに関して

フィリップ・モリス(PMのリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。

まず、同社の財務状況は全体的に安定している一方で、リスク要因もいくつか存在しています。

同社は、アルトマンのZスコアが4.01と高く、倒産リスクは低いと評価されています。

また、ピオトロスキーのFスコアは7で、財務の健全性が比較的高いことを示しています。

しかし、営業利益率が過去5年間で年間平均1.5%のペースで減少しており、経営効率の低下が懸念されています。

さらに、資産の増加ペースが売上の成長を上回っており、資産効率の低下が示唆されています。

バリュエーションの観点から見ると、PER(株価収益率) は過去10年間の最高値である33.29倍に近づいており、PSR(株価売上高倍率) も過去5年間で最も高い6.18倍となっています。

これらの数値は、同社の株価が割高である可能性を示しています。

加えて、配当性向 は80%と高めであり、今後の利益成長が十分でない場合、現在の配当政策を維持するのが難しくなる可能性があります。

さらに、内部関係者(インサイダー)の売却動向も注意すべき点です。

過去3か月間で23,000株の売却があり、買い増しの動きは確認されていません。

これは、企業内部の関係者が短期的な業績や株価の見通しに対して慎重な姿勢を取っている可能性を示唆しています。

総じて、同社の財務状況は堅調であり、不正や破綻のリスクは低いですが、株価のバリュエーションが割高である点や、営業利益率の低下、配当性向の高さには注意が必要でしょう。


関連用語

財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。

アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。

ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。

ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。

インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、2倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の2倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。

ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。

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フィリップ・モリス(PM)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して

フィリップ・モリス(PM)のインサイダー(内部関係者)による売買動向を見ると、一貫して売却が続いていることが分かります。

過去3か月間で、2件の売却取引があり、買い注文はありませんでした。

この傾向は過去6か月間でも同様で、7件の売却があり、買い注文はゼロでした。

さらに、過去12か月間では16件の売却が確認されており、買い注文は一切ありませんでした。

このように、継続的な売却が行われているにもかかわらず、内部関係者による買いが見られないことは、企業の短期的な業績に対する慎重な姿勢を示唆している可能性があります。

一方で、内部関係者の保有比率は0.48%と低く、企業幹部の持ち株比率は限定的です。

しかし、プロの機関投資家の保有比率は79.63%と非常に高く、大口投資家が同社に対して強い関心を持ち続けていることが分かります。

このため、インサイダーの売却が続いているものの、プロの大手投資機関が引き続き同社株を保有していることは、株価の安定に寄与する要因となるかもしれません。

インサイダー(内部関係者)による売買

(出所:筆者作成)


関連用語

インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。

機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。


フィリップ・モリス(PM)の流動性に関して

フィリップ・モリス(PM)は、流動性の面で安定した取引が行われています。

直近2か月間の1日あたりの平均取引量は5,327,186株となっており、市場における一定の関心がうかがえます。

また、直近営業日では、取引量が7,670,881株に急増しており、これは2か月間の平均を大きく上回っています。

この取引量の急増は、ニュースや市場の動向に影響を受けた可能性があります。

さらに、同社のダークプール・インデックス(DPI)は57.71%であり、これは取引量の大部分が非公開市場(ダークプール)で行われていることを示しています。

この数値は、プロの機関投資家が積極的に同社株を取引している可能性を示唆しています。

実際、ダークプールでの取引割合が高い場合、大規模な売買が市場価格に与える影響を最小限に抑えることができます。

総じて、同社の流動性と取引状況は良好であり、市場での取引が活発に行われています。

また、特定の日に取引量が増加することもあり、これによって投資家が有利な価格で売買を行う機会が生まれる可能性もあるでしょう。


関連用語

ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。

ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。


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