11/30/2023

強気
ペイパル
強気
私が予想する同社のEPSは6ドルであり、財務基盤も強固であることから、EPSの10倍という同社のバリュエーションはバーゲンであり、今後18ヶ月以内に40%から50%の上昇の可能性がある比較的低リスクの投資機会を提供していると見ている。
ペイパル / PYPL / 強気:最新の2023年第3四半期決算・強み分析と今後の株価予想・将来性(PayPal)

a white square with a blue p on itマイケル・ウィギンズ・ デ・オリベイラマイケル・ウィギンズ・ デ・オリベイラ
  • ペイパル(PYPL)は、2023年11月1日に2023年第3四半期決算を発表している。
  • 同社はパーソナライズされた顧客体験を提供するために、中核となる部分の最適化とデータリソースの活用に注力している。
  • そして、同社は収益成長の安定化とボトムライン業績の15%増の可能性を示しており、さらに、自社株買いプログラムの可能性も秘めている。
  • 同社の株価は割安であり、来年には1株当たり70ドルに達する可能性があると見ている。

ペイパル(PYPL)への投資テーマ

足元、ペイパル(PYPL)株は下落している。

私は、通常、株価が下落したからといって、その銘柄が過小評価されているとは思わない。

しかし、私が信じているのは、株価が過去6ヶ月で大きく上昇したとか、過去6ヶ月で大きく下落したということとは関係なく、常に投資家の期待にはズレが生じる可能性があるということである。

別の言い方をすれば、私は株価がどこから来たのかには興味はないが、株価がこれからどこに向かっているかに興味がある。

そして、同社に対して、約10倍のEPSのバリュエーションを支払うことは魅力的な投資だと思っている。

なぜなら、来年の今頃には、同社の株価は1株あたり70ドルに近づいていると見ているからである。

ここでは、同社が直面する強気と弱気のケースについて説明したい。

ペイパル(PYPL)の当面の見通し

ペイパルは、ブランド化されたチェックアウトのようなコア要素の最適化と、加盟店ソリューションの強化へのコミットメントを強調している。

最近、ペイパルのCEOに就任したアレックス・クリス氏は、データ活用における未開拓の大きな可能性を指摘している。

この発言は、ペイパルの広範なデータ・リソースを活用してパーソナライズされた顧客体験を提供し、加盟店のコンバージョン率を高めるという同社の意向を強調するものだ。

さらに、ペイパルが中小企業(SMB)部門に注目していることは、この重要な層が直面する課題に取り組む姿勢を示している。

クリス氏は、中小企業の経営者としての個人的な経験から、2つのアプローチについて説明した。

同社は、ペイパル・コマース・プラットフォーム(PPCP)のような取り組みを通じてSMBの顧客獲得を支援すると同時に、キャッシュフロー管理のニーズにも対応することを目指している。

このように顧客獲得とキャッシュフローに二重の焦点を当てることで、ペイパルは中小企業にとって不可欠なパートナーとなる。

続いて、ペイパルのガブリエル・ラビノビッチ暫定CFOは、第4四半期の取引利益の減少を指摘した。

明らかに、現在の経営陣は、新経営陣が白紙の状態からスタートできるようにするために、悪いニュースを可能な限り速やかに全て公表しようとしている。

もう一つの課題は、戦略的な優先順位付けと集中の必要性にある。

アレックス・クリス氏は、同社の現状をこう強調した。

「我々は手薄になっている。そして、今は、最も重要なことに組織を集中させる良い機会である」

この告白は、ペイパルの現在の業務の複雑さと広がり具合を強調しており、持続的な成功にはリソースの合理化と最適化が不可欠であることを示唆している。

さらに、Q&Aセッションでのアレックス・クリス氏の発言にあるように、経費管理はペイパルにとってもう一つの重要な課題である。

彼は下記の様に述べている。

「ここ数年、多くの企業買収を行ってきました。その為、重複している部分が多く、手作業が多いので、今は、自動化に投資する良い機会だと捉えている。」

冗長なシステムと手作業によるワークフローの存在は、業務効率を妨げるだけでなく、経費増の一因にもなっている。

このようなニュアンスの背景を踏まえて、財務状況を掘り下げてみよう。

ペイパル(PYPL)の売上高成長率は安定する見込み

私は、少し集中すれば、ペイパルは来年10%のトップライン成長を実現できると見ている。

これはトップラインの成長率としては大きくはないが、ゼロではない。

ビジネスが成長サイクルの成熟段階にある時、経営陣は積極的にコスト構造を見直すことができる。

そのため、支出のターゲットを低く絞ることができ、他の支出は別の機会に回すことができるのである。

そうなれば、突然、事業のボトムラインがトップラインを上回るスピードで成長することができる。

そして、このような好転は、エキサイティングなものではないかもしれないが、比較的簡単に達成することができる。

そして、私が探しているのは、満足のいくリターンが得られる実用的な投資対象である。

具体的に、ペイパルに関して言えば、これは比較的低リスクの投資だと思っている。

私は、この株が2年で2倍になるとは期待していない。

むしろ、今後、約18カ月間の間で40%から50%の上昇を期待している。

ペイパル(PYPL)のバリュエーション:EPS10倍は割安

ペイパルは、Non-GAAPベースのEPSで5ドル近い利益を上げようとしている。

さらに、ペイパルの現預金は約110億ドル、投資ポートフォリオを含めると150億ドル強もあり、これは負債110億ドルに対するものである。

そして、ここからが重要なポイントである。

私は、ペイパルの来年のEPSは約6ドルになると考えている。

この数字を実現するために、同社はROIの高い事業により集中し、不採算事業を中心としてコスト削減に取り組むと見ている。

トップラインが最大で10%成長すれば、同社のボトムラインは前年同期比約15%成長する可能性が高い。

その上、同社には自社株買いの余力もあるのが現状である。

誤解のないように言っておくが、私は同社が直ぐに自社株買いを始めるとは思っていない。

私は、同社は、新経営陣が当事業にのめり込むまでに少し時間がかかり、その後、自社株買いプログラムを再発表すると考えている。

これにより、EPS成長率は前年同期比で2%程度上昇することになるだろう。

とてつもなく大きな金額ではないかもしれないが、それなりに大きい金額ではある。

より具体的に言えば、同社が、2024年に25億ドル相当の自社株買いを行った場合、これは既にEPS成長率に4%寄与することになる。

そして、以下は、決算説明会からの抜粋である。

「第3四半期に14億ドルの自社株買いを実施し、9月30日までに44億ドルを株主に還元した。」

「通年では、引き続き約50億ドルを自社株買いプログラムに充当する予定である。」

「今日のバリュエーションを踏まえ、自分たちの事業に確信があることから、資本還元プログラムに関して積極的なアプローチをとり、過去8四半期で加重平均発行済み株式数を7%減少させた。」

実際に、2023年に50億ドル相当の株式を買い戻した同社は、2024年には、この半分を買い戻すというのが私の見通しである。

これにより、同社のEPSは一株当たり6ドルに成長すると見ている。

ペイパル(PYPL)に対する結論

結論として、同社に対して、将来EPSの10倍のバリュエーションを支払うことは魅力的な投資であり、同社株価は、来年に1株当たり70ドルに近づくと見ている。

経費管理、戦略的優先順位付け、集中的な事業運営の必要性などの課題を認めつつも、アレックス・クリス氏のリーダーシップの下、同社にはこれらの課題に取り組む能力があると私は信じている。

財務面では、高収益セグメントへの注力と戦略的再構築により、収益成長が促進され、ボトムライン業績が前年比15%増加すると予想される。

経営陣が示した自社株買いプログラムの可能性は、EPSの伸びを更に加速させ、同社への見通しに楽観的な要素をもう1つ加えることとなる。

私が予想する同社のEPSは6ドルであり、財務基盤も強固であることから、EPSの10倍という同社のバリュエーションはバーゲンであり、今後18ヶ月以内に40%から50%の上昇の可能性がある比較的低リスクの投資機会を提供していると見ている。