やや強気ペイパルペイパル(PYPL)の株価は10年後も堅調?最新決算と強み(競争優位性)分析を通じて今後の株価見通しに迫る!
ジェームズ・ フォード- 本稿では、注目の米国フィンテック銘柄であるペイパル(PYPL)の「株価は10年後も堅調か?」という疑問に答えるべく、最新の2023年第4四半期決算と強み(競争優位性)分析を通じて、同社の今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- ペイパルは最近の決算発表後に株価が下落したが、足元の低いバリュエーションからも魅力的に映り、成長と収益性のさらなる向上を期待しています。
- 同社はコスト削減と効率化に取り組み、新製品を導入するなど、経営の改善を図っており、海外事業も堅調に推移しています。
- 割安なバリュエーションと株価回復のポテンシャルから、現状の低迷は一時的とされ、将来的な株価上昇を予想しています。
なぜペイパル(PYPL)?
今年も決算シーズンが終わり、勝ち組と負け組が生まれた。
本稿では、今後最大の勝者となる可能性がある企業のひとつ、ペイパル(PYPL)を取り上げる。
同社は決算後に10%以上下落したため、皮肉に聞こえるかもしれないが、これこそが私が強気を強調する理由のひとつでもある。
また、同社は実に魅力的なバリュエーションを提供しているだけでなく、トレードのための素晴らしいセットアップも備えている。
加えて、同社には長い成長と収益性の実績があるが、残念ながら、足元は市場からは好まれていないように見える。
そして、この流れは、かつては好まれていなかったが、その後素晴らしい転換を遂げた別のテクノロジー企業を思い出させる。
(出典:TradingView)
メタ(META)が100ドル以下で取引されていた頃を覚えているだろうか?
それから2年足らずで、なんと360%のリターンを記録している。
実際に、これはテクノロジー業界の強気相場の裏返しであり、同社はコスト削減策の導入に成功したのである。
そしてそれこそが、私がペイパルに期待していることである。
具体的には、成長に拍車をかける新鮮なビジョンで、会社をスリム化し収益性を次のレベルに引き上げ、より投資家に優しい経営形態にすることである。
ペイパル(PYPL)の第4四半期決算に関して
ペイパルは売上高とEPSの両方で市場予想を上回る着地となった。
売上高は前年同期比9%増、Non-GAAPベースのEPSは前年同期比19%増の1.48ドルであった。
そして、投資家にとって最大の問題は、アクティブアカウントの減少だろう。
(出典:ペイパルの決算説明資料)
2023年にペイパルを利用する人は2022年より2%減少している。
しかし、一方で、アクティブ・アカウントあたりのトランザクション(TPA)は14%増加している。
(出典:ペイパルの決算説明資料)
また、決済総額(Total payment volume)は前年同期比12%増で、為替中立ベースでは悪くない水準であり、営業利益率も若干改善している。
(出典:ペイパルの決算説明資料)
実際には、OpEx(事業運営費)レバレッジの増加により、同社は23.3%の営業利益率を達成することとなった。
しかし、注目すべきは、取引利益率(Transaction Margin)がこの四半期には改善したものの、年間を通じて着実に低下していることである。
これは、ペイパルの収益に占める「ノンブランド・チェックアウト(unbranded checkout)」の割合が大きくなったことに起因している。
(出典:ペイパルの決算説明資料)
そして、この点は同社に対する正当な批判である。
たしかに同社の売上高は伸びているが、トランザクションのマージンが低い状態は続いているのである。
最後に、ペイパルは控えめなガイダンスを発表した。
(出典:ペイパルの決算説明資料)
24年度第1四半期のEPSは1.17ドルで、FXNの収益成長率は7%と予想されている。
通年では、ペイパルは2023年と同じ5.10ドルのEPSと、自社株買いに使われる50億ドルのキャッシュフローを見込んでいる。
それでも私がペイパル(PYPL)に強気な理由
ペイパルはいくつかの問題に直面しているかもしれないが、それでも強気でいられる理由はたくさんある。
ペイパル(PYPL)の新たな取り組みと効率化
ペイパルは、アレックス・クリスを新CEOに迎え、一連の新製品と「イノベーション」を発表した。
これらには以下が含まれる:
- ペイパル・チェックアウト・エクスペリエンス
- ファストレーン
- スマートレシート
- ペイパル・アドバンスト・オファー・プラットフォーム
- ペイパルコンシューマーアプリ
今、私はこれらのどれにも特に圧倒されたわけではないが、特別なオファーを顧客のレシートに含めることができるスマート・レシートは良い機能であると感じている。
そして、これらの変化はすべて正しい方向へのステップであると見ている。
なぜなら、ペイパルは4億3,000万人以上のペイパルアカウントから膨大なデータを得ており、そろそろそれを活用し始める時期であると感じているからである。
最近まで、ペイパルが平穏で野心的でなくなっていたことには同意する。
しかし、同社は今、モーニングコールを受け、それに応えようとしていることからも、2024年にこれがどのように進展するのかを見定める必要がある。
少なくとも、ペイパルはMETAと同様、事業を最適化し、効率とマージンを高め、少なくとも投資家の信頼を取り戻すことができるはずだと私は見ている。
ペイパル(PYPL)の海外事業における成長
ペイパルは売上高が若干停滞しているにもかかわらず、海外事業における売上高の強化を示している。
(出典:ペイパルの決算説明資料)
海外FXNは、欧州とアジアでの好調な流れにより、前年同期比17%増となった。
決算を見ると、新興国は、ペイパルが利益を得ることができる分野であることは間違いない。
そして、ペイパルは既にそれらの国々に足を踏み入れていることから、今後はさらに拡大する必要がある。
ペイパル(PYPL)のキャッシュとバリュエーション
ペイパルの市場におけるバリュエーションは、同社が今後全く成長しないことを前提としているように見える。
しかし、実際には、同社は2024年に50億ドルの現金を生み出し、さらに、現在の価格で、自社株の8%以上を買い戻すことができる。
ただし、市場の投資家はこれらの点を気にしていないように見える。
言うまでもないが、ペイパルはほとんどの指標で、歴史上最も割安なバリュエーションにある。
(出典:Alpha Spread)
ペイパルの株価売上高倍率は2であり、株価キャッシュフロー倍率は16以下となっており、これらは同社の株価が非常に割安に評価されている可能性を示唆している。
この割安なバリュエーションから、仮に、今後5年間、同社の成長率がゼロで、マージンが完全に横ばいだと仮定しても、同社株式には上昇の余地があるように見える。
(出典:Alpha Spread)
しかし、私達が目指している景色はそのようなものではない。
同社のガイダンスは弱かったが、依然として2桁近い成長を続けており、前四半期で証明されたように、マージンには上昇の可能性が大いにあるのである。
ペイパル(PYPL)のテクニカル分析における株価見通し
ペイパルは現在、前回の上昇の61.8%リトレースメントのすぐ上に位置している。
(出典:TradingView)
私に言わせれば、理想的な1-2セットアップである。
上記に基づくと53ドルまで下がる余地があるが、その後にサポートが維持されれば、ペイパルは100ドルに迫る第3波で上昇する可能性がある。
そして、これは、第2波のボトムから測定した第1波の延長線1.618に基づいている。
ペイパル(PYPL)への結論
結論として、株式投資に関しては、対象銘柄が市場の参加者の間で避けられている、或いは、嫌われている時に買うのが良いと考えており、実際に、足元のペイパルは市場では避けられている銘柄のひとつである。
加えて、上記の理由を踏まえると、同社株の上昇の余地は下降の余地よりもはるかに大きいと考えている。
また、その他のペイパル(PYPL)に関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、ペイパルのページにアクセスしていただければと思います。
アナリスト紹介:ジェームズ・ フォード
📍米国マクロ経済&テクノロジー担当
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