06/03/2024

クアルコム(QCOM)株価の今後の見通しは良好?同社のAIスマートフォンビジネスと最新の決算分析を通じて将来性に迫る!

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  • 本稿では、クアルコム(QCOM)の最新の2024年度第2四半期決算とAIスマートフォンビジネスの現状分析を通じて、同社の今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
  • クアルコムはAI搭載スマートフォンや自動車市場などで強いポジションを築いており、特に中国でのスマートフォン事業では前年同期比で40%の売上成長を達成しています。 
  • 自動車分野ではモデムから始まり、ADASを含む幅広いソリューションへ拡大し、現在では大規模なデザインウィンを得ており、今後さらに重要な事業セグメントとなる見込みです。 
  • クアルコムはPC市場にも注力し始め、過去に他市場で見せた粘り強い戦略から、将来的にはこの分野でも大きな成長が期待されています。

※「クアルコム(QCOM)とは?アップルやマイクロソフトに加え、グーグルやサムスン電子、中国の主要OEMとの契約も獲得!」の続き

クアルコム(QCOM)のAIスマートフォン関連ビジネスに関して

私にとっては、AI対応のスマートフォンの方が理にかなっており、例えば、ライブ翻訳の可能性は非常に現実的だと見ている。

また、人通りの多い街中を歩いている時に、グーグルマップ(GOOG/GOOGL)からより良い音声案内を受けることができれば、目の前のスマホを見る必要がなくなり、非常に便利であろう。

サムスン電子(005930.KS)のS24の売れ行きが好調であることは早くから指摘されているが、クアルコム(QCOM)は、2024年5月1日に発表された最新の2024年度第2四半期決算における以下の図に示されているように、中国の主要なスマートフォンOEMメーカーとの間で特に強いポジションを築いている。

そして、最新の四半期では、中国の顧客への売上が特に好調で、2024年度上期には前年同期比で40%増加しましている。

(原文)As we mentioned in our prepared remarks, first half of fiscal '24, our revenue from Chinese OEMs grew by greater than 40% year-over-year, and that is also reflected in our third quarter guidance. So it's a trend that's holding up as we look forward. And then from a road map perspective, as you look into our new premium tier launches coming up later this year, in addition to GenAI, we'll have our Oryon custom CPU core's coming in as well. So we're very excited about the road map.

(日本語訳)準備発言の挨拶でも述べたように、2024年度上半期の中国OEMからの売上高は前年同期比で40%以上増加し、これは第3四半期のガイダンスにも反映されています。ロードマップの観点からは、生成AIに加え、今年後半に予定されている新たなプレミアム・ティアへの参入を視野に入れ、OryonカスタムCPUコアも投入する予定です。そのため、我々はロードマップに非常に期待しています。

説明会の間にあるアナリストが指摘したように、これによりクアルコムの中国での売上は2年前のピーク水準に近づくこととなっている。

(原文)But it's within shouting distance of kind of where it peaked on a quarterly basis back in fiscal '22 when they were obviously over building at that time

(日本語訳)クアルコムの中国での売上高は、2年前のピークに近づいていますが、四半期ベースでは、明らかに過剰な生産を行っていた2022年3月期にピークを迎えたところまであと少しです。

要するに、AIを搭載したスマートフォンの機能は、AIを搭載していなければ伸び悩む可能性のあるスマートフォン市場において、クアルコムに恩恵をもたらしているということである。

そして、クアルコムは、ハイエンドのプレミアムスマートフォンへのミックスシフトから利益を得ている。

したがって、スマートフォン市場全体の成長が鈍化しても、クアルコムは前年同期比で売上高を伸ばすことができるのである。

ちなみに、クアルコムは2024年暦年のスマートフォン市場は緩やかに成長すると予想している。

(原文)For calendar '24, we estimate that global handset units will be flat to slightly up on a year-over-year basis. This estimate includes expected growth of high single digit to low double-digit percentage in 5G handsets.

(日本語訳)2024年暦年では、世界の携帯電話端末台数は前年比横ばいから微増になると予想しています。この予想には、5G端末の1桁台後半から2桁台前半の成長率が含まれています。

なお、これは2024年1月31日に発表された予想であり、今回の決算説明会では見解の変更を示すものはなかった。

クアルコムの自動車関連ビジネスに関して

クアルコム(QCOM)は、少なくとも1999年に設立されたモービルアイMBLY)などに比べれば、自動車関連分野では比較的新参者であり、クアルコムが最初に参入したのは、コネクテッド・カーを実現するモデムだった。

しかし、アップル(AAPL)との事業の将来に対する懸念に加え、事業の多くを単一の顧客/市場セグメントに集中させることの明白なリスクにより、クアルコムは過去3年ほどの間に自動車への野心を倍増させている。

そして、このフォーブスの記事は、そのクアルコムの道のりを上手く説明している。

(原文)Qualcomm first entered the automotive segment by selling its mobile phone technology into the space. Modems presented a natural expansion into a directly adjacent market. Over time, Qualcomm expanded its offerings into a full range of automotive solutions, including ADAS, with its acquisition of Arriver as part of its Veoneer acquisition.

(日本語訳)クアルコムが最初に自動車分野に参入したのは、携帯電話技術を自動車分野に売り込むためでした。モデムは、直接隣接する市場への自然な拡大であった。やがてクアルコムは、Veoneer社買収の一環としてArriver社を買収し、ADASを含むあらゆる車載ソリューションへと製品を拡大しました。

つまり、クアルコムにとって自動車分野は非常に重要なものとなっており、現在では独自の報告対象セグメントに分割されている。

そして、下記の資料の通り、直近の2024年度第2四半期の自動車関連ビジネスからの売上高は、前年同期比35%増の6億300万ドル(Automotive:$603M)となっている。

これに対し、モービルアイの2024年度第1四半期の売上高は2億3900万ドルで、前年同期比48%減であった。

もう1つの参考点として、エヌビディア(NVDA)の2025年度第1四半期の自動車関連の売上は3億2900万ドルとなっている。

自動車セグメントの見通しに関して、もうひとつ非常に興味深いデータがある。

それは、同社のデザインウィン・パイプラインが450億ドルになり、2022年9月のオートモーティブ・インベスター・デイ(自動車関連投資家説明会)で開示した300億ドルから増加しているという点である。

このことからも、クアルコムにとって自動車関連部門は非常に重要であり、今後2年以内にIoT部門を追い抜くと見ており、同社の収益源を安定させる役割も果たすだろう。

その理由としては、車載設計のデザインウィンは極めて長い期限を持つからである。

つまり、一度製品が特定の車種のために設計されれば、何年もそこに留まることができる。

そして、クアルコムの自動車業界での成功は、モービルアイにとって大きな頭痛の種となる。

インテル(INTC)からスピンアウトしたモービルアイは、IPO後の株価から見ると散々な結果となっている。

確かに、株価はまだ21ドルのIPO価格を上回っているが、自律走行に関する今後の我々のアップデートで述べる予定の様々な理由から、今後数四半期に同社が持続的な圧力にさらされるのは目に見えている。

クアルコム(QCOM)の2024年度第2四半期決算に関して

クアルコム(QCOM)のクリスティアーノ・アモン最高経営責任者(CEO)は、最新の2024年度第2四半期決算説明会の最後のコメントで次のように述べている。

(原文)And I was just going to leave you all with a thought. One great thing about the execution of the company. Every time we enter a new market or we set ourselves to go to a new market, we end up building a very strong position. We went from mobile to RF front-end, we became #1. Same thing when we went to WiFi.

(日本語訳)そして、私は皆さんにある考えを残そうと思いました。会社の実行について、ひとつ素晴らしいことがあります。私たちは新しい市場に参入するたびに、あるいは新しい市場に進出することを目標にするたびに、最終的には非常に強力なポジションを築くことができます。私たちはモバイルからRFフロントエンドに進出し、ナンバーワンになりました。WiFiに進出したときもそうでした。

(原文)Automotive, it was something that we had ambition to build as part of the diversification. I think we're quickly becoming the industry partner of choice.

(日本語訳)自動車関連は、私たちが多角化の一環として構築しようとしたものです。私たちは急速に業界のパートナーとして選ばれるようになったと思います。

(原文)We believe that there is a long-term opportunity with virtual reality, augmented reality. And now we have the absolute majority of the designs.

(日本語訳)私たちは、仮想現実や拡張現実には長期的なチャンスがあると信じています。そして今、私たちはデザインの絶対的な大部分を持っています。

(原文)And with PC, we clearly built the leading platform, and we have the product momentum that we hopefully will translate in the financials in the coming year.

(日本語訳)そして、PCに関しては、私たちは明らかに主導的なプラットフォームを構築し、製品の勢いがあり、それが来年度の財務に反映されることを期待しています。

Wi-Fiだけでなく、モバイル&RFフロントエンドに関しても、彼は明らかに正しいと思う。

また、自動車関連はAR/VRと同様、順調に進んでいるように見える。

では、PC市場でも同じことができるだろうか?

アモンCEOは明らかにそう考えている。

今のところ、クアルコムは今年度のPC関連ビジネスの売上高がどの程度になるかの見通しを示すことを拒否しており、この決断は賢明であると言える。

私は、クアルコムの売上高の全体から見れば同ビジネスがそれほど大きなものになるとは思っていない。

しかし、彼らがこれまで着手してきた他のすべてのセグメントでそうしてきたように、いったんドアが開かれると、彼らは非常に粘り強くなる。

そのため、我々は、2~3年後には、クアルコムにとってPC市場が巨大なものになり得ると見ている。

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📍半導体&テクノロジー担当

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