10/26/2023

やや強気
ショッピファイ
やや強気
同社は非中核事業を切り離し、コアな差別化要素に集中することで、収益成長の見通しが加速しています。
ショッピファイ / SHOP / 強気:最新の2023年2Q決算・強み(優位性)分析と今後の株価見通し・将来性(Shopify)

silver iphone 6 on white tableドノヴァン・ ジョーンズドノヴァン・ ジョーンズ
  • ショッピファイ(SHOP)は、オンライン販売業者に様々なEコマース機能を提供しているテクノロジー企業である。
  • 同社は2023年8月2日に2023年第2四半期決算を発表している。
  • コア・コンピタンスに集中するために、非中核資産を売却することから、同社の収益成長は加速すると見ている。
  • それらを踏まえ、私の同社株式に対する見通しは「強気」である。

ショッピファイ(SHOP)について

ショッピファイSHOP)は、統合されたインターフェイスを介して、製品やサービスを表示、管理、マーケティング、販売するためのEコマース機能を企業に提供している。

非中核部門を切り離し、自社の中核となるべく、差別化を図るための資産に集中することで、同社の収益成長見通しは加速している。

それらを踏まえ、私の同社株式に対する見通しは「強気」である。

ショッピファイ(SHOP)の概要と市場

ショッピファイ(SHOP)は、中小企業向けに設計された、クラウドベースのマルチチャネル・コマース・プラットフォームを提供している。

同社のCEOはトビアス・リュトケ氏で、以前はオンライン・スノーボード・ストアを設立し、ソフトウェア・エンジニアとして働いていた。

ショッピファイは、デジタルマーケティングやインフルエンサー、代理店、テクノロジーベンダーとの提携を通じて新規顧客を獲得している。

Mordor Intelligenceの調査レポートによると、デジタルコマースソフトウェア市場は、2018年から2028年にかけて12.64%の年平均成長率で成長すると予想されている

この成長が期待される主な理由としては、統一されたショッピングや配送サービスに対する消費者の需要に加えて、IoT(モノのインターネット)製品やサービスの利用の増加が挙げられる

また、ショッピファイの主な競合は、BigCommerce、WooCommerce、Squarespace、Wix、Amazon、Magentoが挙げられる。

ショッピファイ(SHOP)の最近の財務動向

四半期別の総収入(Total Revenue)は増加を続けており、四半期別の営業利益(Operating Income)はマイナスで、足元悪化している。

四半期別売上総利益率(Gross Profit Margin)は最近の四半期で低下傾向にあり、四半期別総売上高に占める販売費および一般管理費(Selling, G&A % Of Revenue)の割合も最近の四半期では低下傾向にある。

希薄化後の一株当たり利益は、直近四半期でマイナスとなっている。

上記グラフのデータはすべてGAAPベース)

下記のチャートからも分かる通り、過去12ヶ月間、ショッピファイの株価は、S&P500指数(SPY)の上昇率8.48%に対して、62.55%も上昇している。

貸借対照表では、同社は47.8億ドルの現金及び現金同等物と短期投資、また、9.14億ドルの負債総額で四半期を終えた。

フリー・キャッシュ・フローは1億2,460万ドルで、資本支出は5,700万ドルであった。

同社は、過去4四半期に7億710万ドルもの株式報酬を支払っており、これは過去11四半期で最も高い数値である。

ショッピファイ(SHOP)のバリュエーションとその他の指標

以下は、ショッピファイに関連する時価総額とバリュエーションの表である。

バリュエーション指標

企業価値 / 売上高

10.1

企業価値 / EBITDA

-

株価 / 売上高

10.6

売上成長率

26.0%

純利益率

-32.1%

EBITDAマージン

-6.6%

時価総額

$67,230,000,000

企業価値

$63,590,000,000

営業キャッシュフロー

$181,550,000

一株当たり利益(希薄化後)

-$1.58

予想EPS

$0.52

一株当たりフリーキャッシュフロー

$0.10

ショッピファイ(SHOP)のセンチメント分析

下のグラフは、経営陣による直近のアナリストとの決算電話会議におけるキーワードの頻度を示している。

アナリストは経営陣に対し、財務見通し、AI関連製品、エンタープライズ事業の側面について質問した。

経営陣は、ショッピファイが提供する価値を確実に反映するために、価格設定を継続的に見直す必要があると考えている。

MagicやSidekickのような新機能は、マーチャントの販売増に貢献している模様である。

同社のビジネスモデルはマーチャントの成功に基づいていることからも、これらの機能はショッピファイに利益をもたらす結果となっている。

また、新製品の高いアタッチ率は、加盟店がより多くのショッピファイ・ソリューションを利用していることを示しており、加盟店にとってショッピファイはより重要な存在となっている。

経営陣による第3四半期ガイダンスでは、売上総利益率のトレンドについて、サブスクリプション・ソリューションのマージン改善とロジスティクスを取り除いたことにより、プラスであることが示された。

目標は、収益の伸びに対して、OPEX(事業費用)の伸びの減少を実現するために、これら2つの指標の新しい比率を維持することであると述べている。

経営陣はさらに、ショッピファイは、加盟店が直面するすべての商取引の問題に対処し、彼らの中枢神経系となることを目指していると述べた。

Collabs、Audiences 2.0、拡張されたB2B機能などの新製品は、顧客の様々なニーズに対応しており、ショッピファイの目標は、加盟店がより早くビジネスを構築できるよう、ペインポイントを解決することであると述べている。

Shopify Magicはコマースのために設計され、コンテンツ作成を支援するために製品全体に組み込まれている。

Sidekickは、コマース向けの初のAIアシスタントとして、Shopify Magicを基盤としている。

Shopify MagicとSidekickを通じて、より良く、より速く、より創造的なビジネスを構築する方法を提供することを約束している。

ショッピファイは、企業向けに、ショッピファイのプラットフォームを販売する機能を構築し続けており、企業向けの販売サイクルは長くなる傾向にあるが、より大規模な加盟店をもたらすことが出来ると見ている。

ショッピファイの収益担当者は、より多くの大規模加盟店を効率的に獲得することに注力している。

また、セールス・エンジンは、加盟店の獲得とクロスセルを加速させている。

Shopify Plusでは、加盟店とGMV(流通取引総額​)が前年比で大きく伸びており、トップブランドがショッピファイに留まっていることを示している。

一方で、コマース・コンポーネントは、ショッピファイのプラットフォームへの完全移行の準備ができていないブランドとの関係を開始する上で貢献している。

以上で述べた通り、ショッピファイは、幅広いソリューションを通じて、どのような大手小売企業とも対話が可能であるとのことである。

ショッピファイ(SHOP)に関するコメント

2023年第2四半期決算を対象とした前回の決算説明会では、経営陣が準備していた発言の中では、以下の点が強調された。

収益の伸び

・2023年第2四半期の売上高は、GMV(流通取引総額​)の成長、マーチャント・ソリューションの成長、サブスクリプション・ソリューションの成長、価格変更により、前年同期比31%増の17億ドルとなった。

・2023年第3四半期の売上高は、前年同期比20%台前半、またはロジスティクス事業の売却に伴う調整後で20%台半ばの成長が見込まれる。

コストと経費

第 2 四半期の営業費用は、マーケティング費用の減少により前年同期比で減少した。第3四半期の営業費用は、第2四半期比横ばいか微増の見込みである。

・経営陣は、総人員数の減少とロジスティクス費用の削減が、マーケティングへの投資の増加と報酬の増加によって相殺されると見ている。

キャッシュフロー

・第2四半期のフリーキャッシュフローは9,700万ドルである。

・第3四半期のフリーキャッシュフローは上半期を上回る見込みである。。

貸借対照表

・第2四半期末時点の現金および有価証券は48億ドルである。

・転換社債控除後の純現金ポジションは39億ドルで、十分な資本があり、多額のフリーキャッシュフローを生み出している。

収益見通し

・第3四半期の売上は前年同期比20%台前半、ロジスティクス事業の売却を調整すると20%台半ばの成長を見込む。

・2023年通年のトップライン売上成長率は、2022年通年比で23.9%に加速すると予想される。

国際事業

・国際的な加盟店の成長は引き続き北米を上回っており、ヨーロッパがその牽引役となっている。

・ドイツ、フランス、スペイン、イタリアではGMV成長率が40%を超えている。

買収

・経営陣はフレックスポート社へのロジスティクス事業の売却を完了した。移行は今のところ順調に進んでいる。

トレンド

・ペイメント、キャピタル、マーケットなどのマーチャント・ソリューションの採用が好調。

・チェックアウトの転換とショップペイの導入が加速。

・小売 / POS事業の継続的な好調。

・高収益分野への投資と同時に、厳格な経費管理を実現。

非中核事業であるロジスティクス事業部門の売却により、経営陣はコア・コンピタンスにより重点を置くようになる。

ショッピファイの加盟店が、店頭で「Buy with Prime(プライムで購入)」ボタンを表示できるようにするための最近のアマゾンとの合意は、加盟店の顧客にとって、支払いと配送の両方の選択肢を強化することになり、ショッピファイの勝利につながる可能性が高い。

以上より、ショッピファイに対する私の見通しは「強気」である。

テクノロジー銘柄関連レポート

1. 【米国IPO:2024年7月17日上場】アーデント・ヘルス・パートナーズ(ARDT)の財務分析と今後の株価見通し・将来性

2. アドビ(ADBE)2024年第2四半期決算:売上高・利益が予想上回る!AI技術とクラウド事業の成功要因と将来性を徹底分析

3. 【今年最大の米国IPO:2024年7月25日上場】リネージュ(LINE)の財務分析と今後の株価見通し・将来性を徹底解説!

また、私のその他のテクノロジー関連銘柄のレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、私のプロフィールページにアクセスしていただければと思います。

さらに、その他のショッピファイ(SHOP)に関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、ショッピファイのページにアクセスしていただければと思います。

インベストリンゴでは、弊社のアナリストが、高配当関連銘柄からAIや半導体関連のテクノロジー銘柄まで、米国株個別企業に関する動向を日々日本語でアップデートしております。そして、インベストリンゴのレポート上でカバーされている米国、及び、外国企業数は250銘柄以上となっております。米国株式市場に関心のある方は、是非、弊社プラットフォームよりレポートをご覧いただければと思います。

弊社がカバーしている企業・銘柄の一覧ページはこちら

※インベストリンゴ上のいかなるレポートは、投資や税務、法律のアドバイスを提供するものではなく、情報提供を目的としています。本資料の内容について、当社は一切の責任を負いませんので、あらかじめご了承ください。具体的な投資や税務、法律に関するご相談は、専門のアドバイザーにお問い合わせください