01/01/2025

【AI関連:Part 1】スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)とは?ビジネスモデルと収益構造を徹底解説!

a computer circuit board with a brain on itイアニス・ ゾルンパノスイアニス・ ゾルンパノス
  • 本編は、注目の米国AI関連企業であるスーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)の将来性を詳細に分析した長編レポートとなり、3つの章で構成されています。
  • 本稿Part 1では、「スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)とは?」という疑問に答えるべく、同社のビジネスモデルと収益構造を詳しく解説していきます。
  • スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)は、多様なサーバーおよびストレージソリューションを提供し、AI、5G、クラウドコンピューティングなどの分野で成長を遂げています。
  • 同社は、革新的な技術や柔軟なカスタマイズ対応力を武器に、グローバル市場で支配的地位を確立し、2024年度には前年比約110%増の売上を達成しました。
  • 1993年の創業以来、研究開発を重視し、高い収益成長率と利益率を記録するなど、急速な事業拡大と収益性向上を実現しています。

スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCIのビジネスモデル&収益構造

スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCIは、サーバーやストレージソリューションを手がける大手企業で、エンタープライズデータセンター、クラウドコンピューティング、人工知能(AI)、5G、エッジコンピューティングといった幅広い分野で事業を展開しています。SMCIは、サーバー全体、ストレージシステム、モジュラーブレードサーバー、ワークステーション、フルラックスケールソリューション、ネットワーク機器、サーバー管理ソフトウェア、セキュリティソフトウェアなど、多岐にわたる製品とサービスを提供しています。

同社は世界中で事業を展開し、顧客のコンピューティングインフラの導入、アップグレード、メンテナンスを支援しています。SMCIの製品は、幅広いサーバーモデルや構成オプションを通じて、高い柔軟性とカスタマイズ性を提供し、顧客の多様なニーズに対応しています。

2024年度の年間売上は150億ドル(前年比109.8%増)を記録し、2025年度には売上260億〜300億ドルを見込んでいます。また、AIサーバー市場では約23%のシェアを占めると予測されており、これらの数字はSMCI株価予測における重要な要素となっています。

スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCIの創業初期(1993〜2000年)

スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCIは1993年に設立されました。創業当初、同社はカリフォルニア州サンノゼで高性能なコンピュータサーバーの開発に取り組んでいました。やがて、既製品の提供だけでなく、顧客のニーズに合わせたカスタマイズソリューションも手掛けるようになりました。当初は主にOEM(相手先ブランド製造)メーカー向けにサービスを提供していましたが、カスタムサーバー市場の拡大とともに、エンタープライズレベルの顧客にも対応するようになりました。

創業期には研究開発を重視し、その結果、成長を続ける変化の激しいハードウェア業界で迅速なイノベーションを実現しました。この姿勢が、サーバーやストレージシステム市場で新たな機会が生まれるたびに異なる市場へ進出する原動力となりました。

スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCIの拡大と製品の多様化(2000〜2010年)

2000年代初頭、スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCIは急速に事業を拡大し、ベアボーンシステムに加え、完全なサーバーシステムやストレージソリューションを提供するようになり、エンドツーエンドのITソリューションプロバイダーへと成長しました。同社はエンタープライズIT市場やデータセンター市場で重要な地位を確立し、カスタマイズ性に優れ、省エネルギーな製品を提供することで注目を集めました。

特に、競合他社(例:Dell、HP)と比べてもコストパフォーマンスの高さが際立ち、データセンターやクラウドプロバイダーから優先的に選ばれる存在となりました。また、成長の加速に伴い、米国、台湾、オランダに製造施設を設置することで、グローバルな事業展開を一層拡大しました。

スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCIのイノベーションと技術的リーダーシップ(2010年以降)

クラウドコンピューティング、ビッグデータ、AIといった分野で複雑な計算需要が高まる中、スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCIは製品ラインアップを拡充し、新たなビジネスチャンスを積極的に取り込みました。2014年には、サーバー向け液冷技術を導入し、エネルギー消費を抑えながら性能を向上させることに成功。この画期的な技術は、特にAIや機械学習のワークロードが増加し、膨大な計算能力が求められる状況で重要な役割を果たしました。

同社は、コスト効率の高いソリューションを提供し続けることで、業界のリーダー的存在としての地位を確立しました。また、いち早く環境に配慮した「グリーンコンピューティングソリューション」を導入した企業のひとつでもあります。2007年には株式を公開し、6400万ドルを調達。これを活用して、クラウドコンピューティングやエンタープライズ向けアプリケーションの開発を進めるプロジェクトに投資し、さらなる成長を目指しています。

スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCIの人工知能(AI)と新興技術への展開(2020年以降)

スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCIは、急成長を続けるAIおよび機械学習分野への注力を一段と強めています。同社は、AI研究者、データアナリスト、クラウドプロバイダー向けに製品を拡充し、幅広いニーズに応える体制を整えました。また、5G、自動運転車、モノのインターネット(IoT)など、カスタマイズされたコンピューティングインフラが必要とされる業界をターゲットに、エッジコンピューティング分野にも進出しています。現在、同社はAIサーバー市場で約23%のシェアを誇っています。

(出所:SMCIの開示情報に基づき筆者作成)

スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCIのリーダーシップと株主構成

スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCIは創業者主導の企業であり、共同創業者でCEOのCharles Liang氏が創業以来リーダーとして同社を率いています。同社の所有構造は以下の通りです。

Shareholder NameShares OwnedOwnership Percentage
Charles Liang67,403,64011.51%
Vanguard Fiduciary Trust Co.61,474,20010.50%
BlackRock Advisors LLC33,730,9905.76%
State Street Corporation21,381,4203.65%
Yih-Shyan Liaw15,423,3652.63%

(出所:Market Screener

スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCIのビジネスモデル

スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCIは、多様なサーバーおよびストレージシステムの設計、製造、販売を行う企業です。同社の製品ポートフォリオには以下が含まれます:

・ベアボーンシステム: 部分的に組み立てられたシステムで、顧客が特定の要件に応じてハードウェア構成をカスタマイズできます。

・完成システム: クラウドコンピューティング、ビッグデータ、エンタープライズ向けワークロードなど、さまざまな用途に最適化された完全統合型サーバーシステム。

・モジュラーサーバーサブシステムおよびアクセサリー: サーバーボード、シャーシ、電源装置などのコンポーネントを含み、柔軟かつスケーラブルなソリューションを可能にします。

同社の「ビルディングブロックアーキテクチャ」により、顧客のニーズに応じた迅速なカスタマイズと対応が可能です。このアプローチは特にAI分野で大きな強みとなっており、AIワークロードの高い性能要求に応えるため、独自の液冷システムを開発するなど、革新的なソリューションを提供しています。

SMCIの収益は主にサーバーおよびストレージシステムの販売によるもので、2024年度には総収益の約94.7%を占めています。同社のシステムは、データセンターや高性能コンピューティング環境など、多様な用途に対応するよう設計されています。一方、サブシステムやアクセサリーは全体の約5.3%を占め、主力製品であるサーバーを補完するとともに、顧客のカスタマイズニーズに応える役割を担っています。

市場別の収益構成を見ると、OEMアプライアンスおよび大規模データセンターが全体の57.9%、オーガニック(エンタープライズおよびチャネル)が40.6%、5G、テレコム、エッジ/IoTが1.5%を占めています。

(出所:SMCIの開示情報に基づき筆者作成)

SMCIは、サーバーおよびストレージ市場での支配的な地位を背景に、高い成長軌道を描いています。優れたイノベーションと、複雑なコンピューティングニーズに対応する低コストソリューションを迅速に提供する姿勢が、同社を市場のトップへと押し上げる原動力となっています。事業規模の急速な拡大とともに、収益性も大幅に向上しました。

同社の収益は、2019年度から2024年度にかけて年平均成長率(CAGR)33.7%を記録し、同期間の営業利益はCAGR 67.1%という驚異的な成長を遂げました。また、過去5年間で営業利益率は573ベーシスポイント改善し、8.5%にまで上昇しています。

(出所:SMCIの開示情報に基づき筆者作成)

次章では、スーパー・マイクロ・コンピューターを取り巻くAIサーバー市場の成長可能性とAIサプライチェーンにおける同社の役割を詳しく解説していきます。

※続きは「【AI関連】スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)を取り巻くAIサーバー市場とAIサプライチェーンにおける同社の役割に迫る!」をご覧ください。

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