01/02/2025

【AI関連:Part 2】スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)を取り巻くAIサーバー市場とAIサプライチェーンにおける同社の役割に迫る!

a computer chip in the shape of a human headイアニス・ ゾルンパノスイアニス・ ゾルンパノス
  • 本編は、注目の米国AI関連企業であるスーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)の将来性を詳細に分析した長編レポートとなり、3つの章で構成されています。 
  • 本稿Part 2では、スーパー・マイクロ・コンピューターを取り巻くAIサーバー市場の成長可能性とAIサプライチェーンにおける同社の役割を詳しく解説していきます。
  • スーパー・マイクロ・コンピューターのサプライチェーンは、素材調達から製造、流通、顧客対応まで多岐にわたり、カスタマイズ製品を競争力ある価格と高品質で提供する体制を構築しています。
  • AIサーバー市場で急成長するSMCIは、23%の市場シェアを持ち、エネルギー効率やスケーラブルな設計でクラウドプロバイダーやエンタープライズ企業のニーズに応えていますが、サプライチェーンリスクや競争の激化などの課題も抱えています。
  • AIサーバー市場は2025年までに急拡大が予想され、SMCIは迅速なイノベーションと持続可能なソリューションを通じて、この成長市場での競争力をさらに高めることを目指しています。

※「【AI関連:Part 1】スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)とは?ビジネスモデルと収益構造を徹底解説!」の続き

前章では、「スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)とは?」という疑問に答えるべく、同社のビジネスモデルと収益構造詳しく解説しております。

本稿の内容への理解をより深めるために、是非、インベストリンゴのプラットフォーム上にて、前章も併せてご覧ください。

スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCIのサプライチェーン

スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCIのサプライチェーンは、素材の調達、製造プロセス、流通、顧客対応といった複数の重要な要素から成り立っています。この構造により、同社は効率的にカスタマイズされたサーバーソリューションを生産・提供しながら、競争力のある価格設定と高い品質を実現しています。

スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCIの材料調達

SMCIのサプライヤーとの関係

スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCIは、マザーボード、シャーシ、その他の電子部品といった重要なコンポーネントを、多様なサプライヤーネットワークから調達しています。特に、AblecomやCompuwareは、同社の製品に欠かせない主要な部品を供給する重要なパートナーです。

SMCIの調達戦略

スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCIの調達戦略には以下が含まれます:

・グローバル調達: 地域的な供給リスクを分散するために、国際的なサプライヤーから材料を調達しています。

・コスト管理: 家族経営のサプライヤーとの強い関係性を活用し、コスト効率の維持を図っています。ただし、このアプローチは、独立系サプライヤーに比べて価格競争力の幅が制限される可能性もあります。

スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCIの製造プロセス

SMCIの自社製造

スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCIは、シリコンバレー、台湾、オランダに製造拠点を構え、サーバーやストレージシステムの組み立てを行っています。製造プロセスには以下が含まれます:

・モジュール設計: 生産に柔軟性を持たせることで、顧客の仕様や市場の需要に適応することを可能にしています。

・品質管理: 製品の品質や組み立て基準に関する課題が指摘される一方で、SMCIは製造工程において厳格なテストプロセスを採用し、信頼性の高い製品を提供することを重視しています。

SMCIの外部委託製造

スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCIは自社製造に加え、一部のコンポーネントについては契約製造業者に委託しています。この方法により、生産コストを効率的に管理するとともに、需要の変動に応じた柔軟な生産体制を構築しています。

SMCIの流通ネットワーク

スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCIは、以下を含む多層型の流通モデルを採用しています:

・直接販売: OEM(相手先ブランド製造)メーカーや大規模エンタープライズ顧客に対して直接販売を行っています。

・販売代理店: AvnetやTech Dataといった代理店との提携により、大規模な営業チームを持たずに幅広い市場へのアクセスを可能にしています。

SMCIの顧客対応

スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCIは、クラウドコンピューティング、AI、エンタープライズITなど、多岐にわたる業界の顧客ニーズに応じたカスタマイズサーバーソリューションを提供しています。この柔軟な対応が顧客満足度を向上させ、長期的な信頼関係の構築に貢献しています。また、販売後には設置、保守、トラブルシューティングといった幅広いサポートサービスを提供し、顧客が安心して製品を利用できる環境を整えています。これにより、ブランドロイヤルティが高まり、リピート購入を促進しています。

AIサプライチェーンにおけるスーパー・マイクロ・コンピューター(SMCIの役割

スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCIは、AI革命を支える主要な企業のひとつです。AIサプライチェーンにおいて、SMCIはAIワークロードのニーズに応えるカスタマイズされたサーバーやストレージシステムを提供する重要な役割を担っています。同社のモジュール型ビルディングブロックアーキテクチャを活用し、クラウドコンピューティング、自動運転車、IoTといった高性能コンピューティングを必要とする業界に向けて、柔軟でスケーラブルなハードウェア構成を提供しています。また、独自の液冷技術によりエネルギー効率を向上させ、AIや機械学習といったエネルギー集約型分野での競争力をさらに強化しています。

現在、SMCIはAIサーバー市場で23%のシェアを誇り、主要なクラウドプロバイダー、AI研究者、エンタープライズ企業に製品を供給しています。同時に、持続可能性が重視される中、「グリーンコンピューティングソリューション」を提供しています。アメリカ、台湾、オランダにまたがる製造拠点を活用し、需要の急増に対応できる生産体制を整えつつ、コスト効率も維持しています。これらの要素により、SMCIは急成長するAIインフラ市場のリーダーとなり、企業が最先端のワークロードを効率的に実行するための強力な基盤を提供しています。

しかし、課題は依然として存在します。SMCIはAblecomやCompuwareといった主要サプライヤーに大きく依存しており、これによりサプライチェーンリスクが生じ、コスト最適化の機会が制限される可能性があります。また、AIサーバー市場は激しい競争にさらされており、エヌビディア(NVDA)やAMD(AMD)といった業界大手が次々と革新的な製品を投入する中、SMCIは技術的な優位性を維持し続ける必要があります。さらに、財務報告の遅延に起因するガバナンス上の懸念が投資家の信頼を損ない、持続的な成長への逆風となる恐れもあります。

それにもかかわらず、AIインフラ需要の拡大はSMCIにとって大きな成長機会をもたらしています。エッジコンピューティングや5Gといった新興分野での製品拡充に加え、AI最適化ハードウェアへの継続的な投資を進めることで、同社はリーダーシップを維持する強固な立場を確保しています。迅速なイノベーション能力と、コスト効率が高くエネルギー効率に優れたソリューションを提供する力は、AIサプライチェーンでのシェア拡大と業界でのさらなる成長を支える鍵となるでしょう。

(出所:Semiwiki

スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCIを取り巻くAIサーバー市場の急成長:技術大手を再編する2,520億ドル規模の競争

AIサーバー市場は急速に拡大しており、2025年には前年比55%増の2,520億ドル規模に達すると予測されています。この成長を牽引しているのは、ハイパースケールクラウドプロバイダー、エンタープライズ顧客、そしてテスラ(TSLA)やCoreweaveといったTier-2企業がAIの導入を加速させ、大規模で高性能なサーバークラスターを展開していることです。これらのクラスターは最大20万基のGPUを搭載し、数兆パラメーターを持つ大規模言語モデルなどの次世代AIワークロードを支えています。

この動向をリードしているのはハイパースケールクラウドプロバイダーですが、エンタープライズ分野での採用も急速に進んでおり、2025年には業界売上の36%(230億ドル)を占めると予想されています。また、エヌビディア(NVDA)の「Blackwell GPU」サイクルが重要な成長要因となっており、完全装備のサーバーラックの価格は「Hopper」サイクル時の150万〜300万ドルから300万〜400万ドルに上昇しています。これにより、AIサーバーインフラの複雑化とその価値の高まりが顕著になっています。

従来のサーバー市場とAIの変革

年間成長率がわずか3%にとどまる従来型サーバー市場は、AIが牽引する変革の勢いに遠く及びません。この需要の変化は競争環境を大きく変えつつあり、デル・テクノロジーズ(DELL)、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)、Lenovo、さらにはPegatronやFoxconnといったEMSプロバイダーが生産拡大に乗り出しています。競争が激化する中、液冷技術やGPUの供給力が重要な差別化要因となっています。

現在、AIサーバーの利益率は20〜22%未満と控えめですが、GPU供給の改善やサプライヤーのダイナミクスの変化により、2025年には15%台半ばまで改善する見込みです。また、貿易摩擦や安全保障上の課題に対応するため、製造拠点の地域分散が進められており、これがAIサプライチェーンの強靭性を高めています。地政学的リスクがある中でも、この市場は持続的な成長が期待され、主要企業にとっては市場シェアの拡大と収益性向上のチャンスが広がっています。この急速に進化する分野における変革は、競争力を強化し、将来の成功を確実なものにする鍵となるでしょう。

(出所:Bloomberg)

次章では、スーパー・マイクロ・コンピューターのバリュエーション分析と今後の成長見通しに関して詳しく解説していきます。

※続きは「【AI関連:Part 3】スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)今後の株価見通し:目標株価は161ドル?詳細な財務分析により将来性に迫る!」をご覧ください。

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アナリスト紹介:イアニス・ゾルンパノス氏

📍バリュー&インカム・テクノロジー担当

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