01/06/2025

【AI関連:Part 3】スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)今後の株価見通し:目標株価は161ドル?詳細な財務分析により将来性に迫る!

a person's head with a circuit board in front of itイアニス・ ゾルンパノスイアニス・ ゾルンパノス
  • 本編は、注目の米国AI関連企業であるスーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)の将来性を詳細に分析した長編レポートとなり、3つの章で構成されています。 
  • 本稿Part 3では、財務・バリュエーション分析を通じて、同社の目標株価、並びに、今後の株価見通しと将来性について詳しく解説していきます。
  • SMCIは、高度にカスタマイズ可能なサーバソリューションや液冷技術を武器に、AIサーバ市場での成長を牽引しており、今後も新興市場への進出が期待されています。
  • 一方で、過去のガバナンスやコンプライアンス問題が投資家の懸念を招き、市場センチメントに影響を与えており、株価のボラティリティが続くリスクがあります。
  • SMCIは信頼回復に向けた取り組みを進める一方で、これらの課題を克服できれば、AI分野における独自技術と市場ポジションを活かし、さらなる成長を実現する可能性を秘めていると見ています。

※「【AI関連:Part 2】スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)を取り巻くAIサーバー市場とAIサプライチェーンにおける同社の役割に迫る!」の続き

前章では、スーパー・マイクロ・コンピューターを取り巻くAIサーバー市場の成長可能性とAIサプライチェーンにおける同社の役割を詳しく解説しております。

本稿の内容への理解をより深めるために、是非、インベストリンゴのプラットフォーム上にて、前章も併せてご覧ください。

スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)のバリュエーションと今後の株価見通し

下記では、フリーキャッシュフローに基づいたDCF(割引キャッシュフロー)法を用いて、スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)の株価バリュエーションについて解説していきます。

予測では、WACC(加重平均資本コスト)を15.0%、永久成長率(Terminal Growth Rate)を5.0%と設定し、売上高は今後5年間で平均41.0%の成長を見込んでいます。その後、2030年から2040年にかけて10.0%まで徐々に減速する見通しです。また、EBIT(利息・税引前利益)の利益率は25.0%に達すると予測しています。この分析では、最近の減価償却費、設備投資(CapEx)、運転資本の純変動といった要素も考慮しました。これらを踏まえ、2030年時点でのSMCIの1株当たりの評価額を161ドルと見積もっています。

(出所:筆者作成)

SMCIは、独自の革新性と柔軟なカスタマイズ性を武器に、2033年まで年平均成長率(CAGR)27.6%が予測されるAIサーバ市場を上回る成長が見込まれています。同社の「ビルディングブロックアーキテクチャ」により、トレーニングや推論、データ処理など、特定のAIワークロードに最適化された高度にカスタマイズ可能なサーバソリューションを提供することができます。この柔軟性は、高付加価値のニッチ市場で特注ソリューションを求める顧客にとって、SMCIを最適な選択肢として位置付けています。

同社の独自技術である液冷システムは、AIワークロードの高いエネルギー需要に応える、コスト効率に優れた持続可能なソリューションを提供し、その競争力をさらに高めています。SMCIは、AIサーバ市場で23%のシェアを誇る業界リーダーであり、クラウドプロバイダーやAI研究者、企業との確固たるパートナーシップを活かしています。また、エッジコンピューティング、5G、自動運転車といった新興市場にも積極的に進出しており、これらの分野で必要とされる専門的なインフラソリューションを提供することで、さらなる成長を目指しています。

スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)のガバナンス問題:成長の可能性とガバナンスリスクの間で揺れる課題

スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)は、目覚ましい成長と革新性を示してきた一方で、過去のコンプライアンスや企業ガバナンスの問題が、長期的なリスクとして浮上しています。同社はこれまでに財務報告の遅延を経験しており、内部統制やガバナンス体制に対する懸念を招いています。このような遅延は投資家の信頼を損ねるだけでなく、規制当局からの厳しい監視を招く結果となりました。過去には、監査人の辞任やナスダックの規則遵守に苦慮する姿勢が見られ、それが最終的にNasdaq 100からの除外に至っています。この除外は、同社の評判を損ねただけでなく、大規模な機関投資家による売却を引き起こし、株価のボラティリティを一層高める結果となりました。

企業ガバナンスに対する懸念は、リスクをさらに増大させています。特に、急速に変化するAI分野での複雑な事業運営を考えると、投資家は経営の適切性に対して慎重な姿勢を崩していません。SMCIは、新たな監査人の任命やガバナンス問題に対応する特別委員会の設置など、信頼回復に向けた取り組みを進めていますが、失われた信頼を完全に回復するには至っておらず、投資家の警戒心は根強く残っています。短期的には、SMCIの株価予測はファンダメンタルズよりも市場のセンチメントに大きく左右されており、その評価はガバナンス問題の解決状況に強く依存しています。

SMCIが信頼を回復するには、透明性を一貫して示し、報告期限を守り、規制基準を確実に遵守することが求められます。これらのリスクに適切に対応できなければ、事業上の成功が霞むだけでなく、将来の成長を阻む可能性があります。しかし、これらの課題を克服できれば、AIインフラ分野での強力な市場ポジションと革新的な技術を背景に、大きな成長の可能性を実現できるでしょう。とはいえ、ガバナンスやコンプライアンスの問題を持続的に管理できるようになるまで、同社は市場の厳しい視線にさらされ続け、株価はネガティブな市場のセンチメントやボラティリティの影響を大きく受けるでしょう。

そのため、市場の投資家は、同社の成長ポテンシャルとガバナンスに関するリスクを慎重に見極めながら対応する必要があります。

本編はこちらで以上となります。

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加えて、インベストリンゴのテクノロジー・セクター担当のアナリストであるマイケル・ウィギンズ・ デ・オリベイラ氏コンヴェクィティ社に加え、ジェームズ・ フォード氏も、スーパー・マイクロ・コンピューターに関する下記の詳細なレポートをリリースしておりますので、同社への理解を一層深めるために併せてご覧いただければと思います。

マイケル・ウィギンズ・ デ・オリベイラ氏

①コンヴェクィティ社

②コンヴェクィティ社

③コンヴェクィティ社

ジェームズ・ フォード氏


アナリスト紹介:イアニス・ゾルンパノス氏

📍バリュー&インカム・テクノロジー担当


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