やや強気SPDR S&P 500 ETF【最新】米国株の今後の見通し:強気市場のサイン、「ツヴァイク・ブレッド・スラスト」が発動
ローレンス・ フラー- 足元の強気相場において欠けていたものは、指数の上昇に対して、実際に上昇していた銘柄群が限定されていたことである。
- 具体的には、一部の最大手テクノロジー銘柄群が上昇の大半を牽引してきたためである。
- しかし、先週は、より多くの幅広い銘柄が上昇したことから、珍しいブル・マーケット(強気市場)のサイン、「ツヴァイク・ブレッド・スラスト」が点灯した。
先週、私は、8月初旬に始まった調整相場に終わりを告げ、年末ラリーが本当に始まったことを確認するために、S&P500種指数が10月の高値を更新する必要があると述べた。
テクノロジー株の急騰に牽引され、指数が重要な水準である4,400を上回って引けた金曜日は、まさにその通りの展開となった。
この強気相場はまだ終わっていないのである。
パウエルFRB議長のタカ派的なレトリックと相まって、長期金利を一時的に上昇させた30年物国債入札は、投資家のリスク資産に対する熱狂を鎮めるには十分ではなかった。
FRB高官による「短期金利はより長期的に上昇する必要がある」との警告は、もはや意図した効果を発揮していない。
なぜなら、投資家は、経済成長の減速とディスインフレが既に進行しており、インフレ率は、FRBの目標に戻ると認識し始めているからである。
その代わりに、市場のコンセンサスは、将来の利上げの可能性を過去のものとし、2024年に最初の利下げがいつ行われるかに目を向け始めている。
政策金利の変更には長いタイムラグがあり、FRBが2022年3月にゼロ近辺から利上げに踏み切った際の対応の遅れは、インフレ率を急騰させた原因の一つである。
中央銀行は、引き締め政策を長期に渡って維持することにより、同じ過ちを、今回は逆の方向で繰り返したくはないはずである。
そのため、現在、市場は、早ければ来年第2四半期にも利下げが始まると予想している。
そして、その利下げが、2024年の景気拡大と強気相場を支えるはずであると見ている。
先週、S&P 500種指数が強気相場中に調整(下落)した後のパフォーマンスを示した以下のチャートを紹介した。
調整局面では、その後の2ヶ月間と1年間のリターンが一貫してプラスとなっている。
今年の3ヵ月間に渡る調整が10月末に終了したと仮定すると、S&P500種指数は過去2週間で7.6%上昇しており、幸先の良いスタートを切っている。
そして、この流れは、年末の上昇、そして2024年に向けても良い兆候であると考える。
私は先週、市場の調整安からの上昇の力強さが、伝説の投資家Marty Zweig(マーティ・ツヴァイク)が考案した、「ツヴァイク・ブレッド・スラスト」として知られる、非常に珍しい買いシグナルが発動したことを指摘した。
これは、ニューヨーク証券取引所の10日移動平均で、上昇銘柄の割合が10日間で40%以下から61.5%以上に上昇した場合に発生する。
このようなセンチメントの急反転は、極めて強気な兆候である。
第二次世界大戦以降、このシグナルが発動した際には、S&P500種株価指数は、その後の6ヵ月間と12ヵ月間で100%の確率で上昇している。
そのため、利上げサイクルの終了から3ヵ月が経過した今、テクニカルな観点から買われ過ぎという逆風に見舞われ、それを一時的に修正する必要があったことを除けば、歴史的に見ても、ディスインフレ期の株式や債券には強気になることができる。
そして、現在は、季節的な追い風が吹いており、調整後のバリュエーションもより妥当なものになり、この強気相場のアキレス腱である「幅(上昇する銘柄数の多さ)」に焦点を当てた、極めて珍しいテクニカル指標からの買いシグナルも出ている。
この強気相場が1年以上前に始まって以来、幅(上昇する銘柄数の多さ)は限定的であり、上記のようなパフォーマンスを実現するには、幅広い銘柄が上昇する必要がある。
弱気派に正当な反論があるとすれば、それは上昇の原動力となっている銘柄数が非常に少ないということである。
S&P500種指数は、直近12ヵ月で13%以上のリターンを上げているが、各銘柄を均等配分したベースでは1%のマイナスである。
さらに悪いことには、小型株は7%以上下落している。
S&P500の時価総額加重版や、その原動力となっている7大企業(マグニフィセント7)を保有していなければ、ほとんど運がない(上昇の恩恵を受けれない)ことになる。
この2年半を振り返ってみると、S&P500種指数は10%近いリターンを上げたが、株式均等配分型は2%下落し、小型株は20%下落した。
債券市場も同様で、アグリゲート・ボンド・インデックス(AGG)はこの間に12%以上下落している。
このパフォーマンス格差の理由は、金利上昇であることは明らかである。
最大手のテクノロジー企業は、市場の他の構成銘柄に比べて金利に対する感応度が遥かに低い。
一方で、特に、事業運営や事業拡大のために実勢金利での借入に依存している中小企業は、金利に対する感応度が高いのが現状である。
一部の中小型株銘柄は、強固なバランスシートで潤沢な資金を有しているか否かにかかわらず、金利上昇に伴い、連動してバリュエーションの低下という形で代償を払っている。
これが悪いニュースであり、強気相場が始まって以来、ベア(弱気派)はこれに賭けてきた(弱気の理由としてきた)のである。
良いニュースは、FRBが金融引き締めから金融緩和へとギアをシフトさせ、金利を取り巻く環境が来年変わる可能性が高いことだ。
同時に、アナリストによる小型株収益への期待は年初から急落し、S&P小型株600指数は17%も下落した。
以上より、今や、ハードルは極めて低くなっている。
一方、S&P小型株600指数の株価収益率(PER)は約12倍まで低下しており、S&P500種株価指数に対するディスカウントとしては、過去10年間で最も大きなものとなっている。
小型株市場は通常、業績が回復に転じる3~6ヵ月前に底を打つが、期待値がこれほど低い以上、年率成長への回帰は2024年の出来事となるはずである。
歴史的には、弱気相場から脱却する際には、小型株が主要株価指数をリードするものだが、今年はそうなっていない。
弱気派は、これらの事実は、足元の強気相場が、実際には単なる弱気相場からの一時的な上昇であることを示す一つの兆候だと指摘している。
しかし私は、これはパンデミック後の多くの異常現象の一つであると考えている。
インフレ率が来年夏にFRBの目標である2%まで低下し、FRBが来年第2四半期中に政策を正常化し始め、そして企業収益が市場構成銘柄の大半で年率成長に戻ることを前に、強気相場が継続するにつれて、幅が改善し始めると思う。
インフレ率が来年夏にFRBの目標値である2%まで低下し、FRBが来年第2四半期中に政策を正常化し始め、市場構成銘柄の大半で企業収益が年率成長率に戻ることを前に、強気相場が継続するにつれて、私はマーケットの幅(上昇する銘柄数の多さ)が改善し始めると見ている。