12/02/2023

【米国株式投資 / ポートフォリオ投資】:サンタクロース・アノマリーが株式市場をサポート

a close up of a clock with different colored numbersマイケル・ウィギンズ・ デ・オリベイラマイケル・ウィギンズ・ デ・オリベイラ
  • 本稿では、1月効果やハロウィーン効果といった様々な季節トレンド(アノマリー)に基づく投資戦略について論じる。
  • 過去は、これらの投資戦略は有効であったかもしれないが、現在の相互に絡み合ったグローバル市場では信頼性が低い。
  • しかし、その中でもまだ有効である可能性のある季節トレンドとして、第3四半期以降に投資を行い、年が変わることに対する投資家の認識変化を利用する戦略に触れたい。

サマリー

私は、この投稿の大半を、「季節トレンド投資は上手くいかない」と主張することに費やすつもりである。

なぜ上手くいかないのか、ブラック・スワンやその他の要因を指摘しながら、これらの季節トレンドを一笑に付したいと考える。

そして、なぜほとんどの投資家が間違っているのかを説明した後、私オリジナルのシーズナル投資を紹介したい。

アノマリー:季節トレンドに乗れ!

以下は、私が調査したさまざまな季節関連のアノマリー投資戦略リストである。

決して網羅的に調査したものではないことに留意されたい。

調査はなかなか楽しいものであった為、読者の皆さんにも楽しんでいただけるのではないだろうか。

「1月効果」

  • 歴史的に見て、1月は株価が上昇しやすいと示唆されている。
  • 前年末のポートフォリオ・リバランスや、タックス・ロス・ハーベスティング(損失の出ている株式・投信等を売却して損出しをし、売却益がでて課税される見込みの株式・投信等と損益通算で相殺して税額を抑えること)と関連していると見られる。

「サンタクロース・ラリー」

  • このことわざは、休暇に関連した楽観的な見方や支出の増加により、12月の最終週に株価が上昇する傾向のことを指す。

「ハロウィーン効果」

  • 5月から10月までは株式市場のパフォーマンスが悪く、10月31日(ハロウィン)から4月末まではパフォーマンスが良くなりがちである、という季節的なパターンを意味している。

「5月に売り、聖レジャーの日に戻れ」

  • 「5月に売る(Sell in May)」戦略のバリエーションで、セント・レジャー・デーの日(9月の競馬イベント)前後に市場に戻ることを示唆する。
  • これは明らかにハロウィーン効果と合致しない。

「夏の低迷」

  • 6月から8月にかけて、休暇によって株式市場の低迷することを指す。

「1月のバロメーター」

  • この格言は、1月の株式市場のパフォーマンスが、その年全体のパフォーマンスを示すことを示唆している。
  • 1月のパフォーマンスがポジティブななら、その年の残りの期間も好調であり、逆もまた然りである。

「四半期末効果」

  • この格言は、大規模なファンドがポートフォリオのリバランスを行うことに起因して、四半期末の数日間に市場が高いボラティリティを示すパターンを指す。

「大統領選挙サイクル」

  • ストックトレーダーズ・アルマナック(株式トレーダー年鑑)」によって広まった理論であり、大統領の任期3年目が、株式市場のパフォーマンスにおいて最も強い傾向があることを示唆している。

季節関連のアノマリーに関する私の経験

日進月歩の金融市場において、投資家は予測不可能な出来事、限定的な過去のデータ、変化する市場力学がもたらす様々な課題に取り組んでいる。

予期せぬ地政学的危機や経済ショックは、確立されたパターンを混乱させ、過去のデータの信頼性を低下させる不確実性をもたらしている。

このような戦略は、グローバルなつながりが薄かった時代には有効だったかもしれないが、現在では通用しないと思う。

例えば、「5月に売り、セント・レジャー・デーの日に戻れ」ということわざがある。

これは元々、イギリスの古い株式市場の格言に由来するとされ、9月にロンドンで開催される人気の競馬レースのことを意味している。

このような市場トレンドが歴史的に存在することもあるが、検証するには時間軸が短く、通常の市場変動から永続的なパターンを見極めることは難しいのが現状である。

経済状況の変化や規制の変更の方が影響を与えやすいのである。

これらの格言や効果について私が発見した問題点は、たとえ効果があったとしても、驚くほど分散されたポートフォリオを持っている場合にのみ、最も効果があるということである。

驚くほど分散されたポートフォリオとはすなわち、コモディティ、エネルギー、シクリカル、航空会社、不動産、経済のあらゆるセクションなどの銘柄を所有することを意味している。

パッシブ・インデックス・ファンドを保有している投資家は別として、これほど分散投資している投資家はあまりいないだろう。

参考までに、9月から2022年10月にかけてのS&P500のパフォーマンスを紹介したい。

この時期、市場は新安値を更新していた。

そして、4月から2023年7月にかけて市場がどのように反発しただろうか。

上記で紹介した格言の全てとは言えないが、大半は明らかに破られていることがお分かりいただけるだろう。

私が信じる唯一の季節関連のアノマリー

アノマリーは機能しないと言ったからには、私も未来占いの競争に参加しようではないか。

私の経験では、投資家は手っ取り早いリターンを求めていることが多い。

「時は金なり」に基づく理にかなった行動だ。

また、忍耐力のある投資家はほとんどいない。

ただし、株価が上昇しているとき、つまり誰もがバイ・アンド・ホールドの投資家であるときは、投資家は非常に忍耐強い。

もちろんこれは、私の個人的な見解である。

一般的に、毎年第3四半期を過ぎたあたりでは、投資家はまだ、来年のことを「来年」と言っている。

しかし、その数ヵ月後の12月1日ごろから、来年が到来する。

つまり、本当に遠い先のことのように思えたことが、突然やってくるのだ。

つまり、1年先、2年先と割り引かれていたキャッシュフローが、「来年」、つまり12カ月から1年半後に起ころうとしているのだ。

この認識の違いが何をもたらすか?

基本的に、第3四半期に、「来年」のことを「3ヶ月待つだけでいい」と考えながら投資をすることで、皆が「今年」について議論し始める前に、季節トレンドを活用した投資を行うことができるのである。

但し、このアプローチに関しては、冒頭の説明を踏まえると、「1月効果と同じではないか」と思われる方がいるというのも認識している。