やや強気SPDR S&P 500 ETF【最新】米国株の今後の見通し：インフレとの戦いは終了、FRBは2024年3月にも短期金利の引き下げを開始する可能性
ローレンス・ フラー- 米国のインフレ率は、上昇した時と同じスピードで足元低下している。
- これを受けて、FRBは早ければ2024年3月から短期金利の引き下げを開始することが予想される。
- 結果、景気拡大を長引かせ、ブル（強気）市場を後押しすることになるだろうと見ている。
私は1年半近く前から、インフレ率は上昇するのと同じ速さで低下すると主張してきた。
そして、今夏のエネルギー価格の急騰を除けば、その通りになったように見える。
その為、パンデミック以前のインフレ水準は目前である。
足元、投資家は、長期金利が低下し、幅広い銘柄の株価が上昇していることを認識している。
まさに、ソフトランディングの到来である。
11月の消費者物価指数（CPI）は予想を1ティック上回る0.1％の上昇となったが、これはシェルターコスト（住居費）の影響によるもので、その結果、前年同月比は3.2％から3.1％に低下した。
夏の終わりの投機的な原油高騰に煽られたエネルギー価格の一時的な反発は完全に反転し、ディスインフレの傾向が再確認された 。
連邦準備制度理事会（FRB）が注目するのは、食品とエネルギーを除いたコア・インフレ率で、予想通り0.3％上昇し、前年同月比4.0％となった。
これは前月の2年ぶりの低水準と同じである。
以上より、現在の金利水準と、FRBの目標である2％の間には何が存在するのだろうか？
先月指摘したように、シェルターコストはコア・インフレ率の上昇を維持する最も影響力のある要因であり、シェルターコストを差し引いたコアCPIはすでにFRBの目標値である2％に達している。
従って、シェルターコストの年率上昇はいつ収まるのだろうか？
今年10月までに36万1,000件の集合住宅建設プロジェクトが完了しており、これは1987年以降で最も多い水準である。
また、ApartmentListが測定した11月の全国家賃中央値は前年同月比1.1％減となった。
このため、家主は新規の賃借人を誘致するためにインセンティブを提供するようになったが、1年前は住宅を獲得するために賃借人の間で入札合戦が繰り広げられたのが現状である。
そして、2024年には、さらに45万戸が市場に出回ると市場のアナリストは予想している。
その為、賃貸価格の前年比下落が年率換算の数字に反映されれば、住居費は急落するはずと見ている。
実際に、家賃とCPIの住居費には極めて密接な相関関係がある。
なぜなら、住居費は過去1年間のコアレート上昇の70％を占めている。
そして、現在の賃貸料は、6.5％上昇したシェルター・コストが今後6ヶ月で急速に低下することを示している。
来年前半にシェルター・インフレ率が年率換算で3%まで低下すれば、CPIのコア・レートから約1.7%差し引かれ、FRBの目標値である2%の射程圏内に入ることになる。
そして、過去数週間、市場は、この非常に高い確率で起こるであろう予想を軽視してきた。
昨日、ニューヨーク連銀が発表した最新の消費者期待調査によると、1年先のインフレ期待値は3.6%から3.4%に低下し、2021年4月以来の低水準となった。
この変化率もまた、FRB関係者にとっては、期待が安定したままであることを確信させるものでもあった。
一方で、家賃に対する期待が2021年1月以来の低水準に低下したことも注目に値する。
ミシガン大学による最新の消費者マインド調査では、今後1年間への期待が4.5％から3.1％へと急落した。
これは、2001年以来1ヵ月間で最大の落ち込みで、パンデミック以前の水準に非常に近い。
パウエル議長は、投資家が短期金利の引き下げに過度に熱中するのを阻止するために最善を尽くすだろうが、インフレに関するストーリーは、緩和サイクルがごく近いうちに始まるはずであることを示している。