中立SPDR S&P 500 ETF【最新】米国株の今後の見通し:インフレ戦争への勝利、そして、今後のFRBの金融政策の行方
ローレンス・ フラー- 米国のインフレーションは、過去18ヶ月間に上昇したのと同じ速さで低下している。
- 結果として、米国のインフレーションは一過性のものであることが判明してきている。
この2日間、株価は急反発し、S&P500種株価指数は、今年最初の連休を挟んだ週の損失をすべて回復することとなった。
昨年の株価上昇の原動力となったメガ・キャップのテクノロジー株がその大半を占めたのは確かだが、株価の幅(上昇している銘柄数)は依然として大きく、史上最高値の更新はそう遠くない未来にあると見ている。
そして、昨日の買いの原動力はインフレであったと見ている。
特に、ニューヨーク連銀の最新の消費者調査に反映されているように、消費者がインフレの減速を感じてきている。
今後1年間のインフレ見通しは3%まで低下し、今後3年間のインフレ見通しは2.6%まで低下した。
参考までにだが、今後1年間と3年間のインフレ見通しは、4年前のパンデミック直前の消費者予想値では、それぞれ、2.5%であり、現在はその水準に非常に近づいているのが分かる。
つまり、結局のところ、インフレ率は一過性のものであったことが判明してきている。
一方で、中には、物価はまだ高く、パンデミック前の水準まで下がっていないと批判する人々もいるだろう。
しかし、市場は数字の変化率により反応する。
この調査結果は、消費者の検索活動の傾向をモニターすることができるグーグルでの「Inflation(インフレ)」という言葉の検索関心度によって裏付けられる。
下のグラフは、消費者が「recession(景気後退)」という単語を検索した回数が大幅に減少していることを示している。
つまり、歴史的に正常なレベルに戻っているのである。
ニューヨーク連銀の調査で、1年後と3年後の消費者インフレ期待が低下したきっかけが、シェルターコストの低下であることは驚くにはあたらない。
コアインフレ率が今日2%に達していない唯一の理由はそれである。
家賃インフレ率が高止まりしているのは、家賃インフレ率の計算方法によるところが大きい。
現在の賃貸価格の上昇が年率換算された数字に織り込まれれば、シェルターコストは大幅に低下し、コアインフレ率もそれに伴って低下することが分かっている。
そして、明らかに、消費者はすでにこの現象を感じているのである。
これが、FRBが早ければ3月にも利下げを開始すると投資家の総意が予想している理由である。
とはいえ、FRB関係者が私がここで述べたことに表立って同意するとは思わないでほしい。
なぜなら、FRBは人々の期待を抑えることに躍起になっているからである。
ミシェル・ボーマンFRB理事は昨日の講演で、「インフレ率が長期的に2%の目標に近づき続ければ、政策金利が過度に制限的なものになるのを防ぐため、政策金利を引き下げるプロセスを開始することがいずれ適切になるだろう」と述べた。
しかし、大変失礼ながら、これは私にとって、大変馬鹿げた発言であるように感じる。
これは、「政策金利が過度に緩くなるのを防ぐために、インフレ率が9%になるまで待ってから政策金利を引き上げ始める」と言っているようなものである。
利上げや利下げが経済全体に波及するには6~12ヵ月かかるため、政策金利の変更には多大なタイムラグが生じる。
今回のFRBに対する最大の批判は、インフレ率が上昇し始めたのにもかかわらず、利上げを待つのに時間がかかりすぎたことである。
パウエル議長もそれを認めており、同じ過ちを2度繰り返したくないと考えている。
そして、ボーマンFRB理事は、こうしたディスインフレへの期待をレトリックで抑え込もうとしているだけだ。
但し、ありがたいことに、投資家のコンセンサスはこのことを理解している。
だからこそ、市場はもうFRB高官の言うことに耳を傾けていないのである。