【マクロ経済】2025年度の米国経済見通しはソフトランディング目前で良好?
ジェームズ・ フォード- 本稿では、2025年度の投資機会と課題を象徴する10のマクロテーマや予測を踏まえながら、2025年度の米国経済見通しに関して詳しく解説していきます。
- 2025年の米国経済は、金融緩和、技術革新、地政学的変化が絡み合う複雑な環境が予想され、ソフトランディングの可能性が指摘される一方で、景気後退を懸念する意見も存在します。
- 金融緩和やAI分野の投資加速、オートメーションの進展など、2025年は新たな成長機会が広がる一方、インフレ再燃や住宅市場の供給不足といった課題も顕在化する見込みです。
2025年度の米国経済見通しとは?
2025年が近づく中、世界経済や投資の環境は、金融政策の緩和や技術革新の加速、そして地政学的な変化によって大きな動きを見せると期待されています。
現在のマクロ経済の見通しについては意見が分かれています。一方で、多くの人はソフトランディングが実現し、米国経済が非常に堅調であるという見方をしています。
この点については多くの強力な証拠があり、反論は難しいものの、2025年には米国経済が大きな景気後退に陥ると考える人も少なくありません。
特に米国がこれまでとは異なる政治体制に突入しつつある中、将来を予測するのは非常に難しいでしょう。ただし、それが本当にそうなのかは議論の余地があるかもしれません。
以下では、来年の投資機会と課題を象徴する10のマクロテーマや予測を紹介します。
また、最終セクションでは次のような重要な疑問にも答えていきます。
・2025年に景気後退は起こるのか? マクロマトリックスの最新情報
・S&P 500(SPX)はどこまで上昇する可能性があるのか?
・ビットコインは2025年にどの価格でピークを迎えるのか?
・2025年、最も投資に適した国はどこか?
では、まずは米国経済の2025年度の見通しに関して詳細に解説していきたいと思います。
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1. 世界的な金融緩和サイクルが本格化
2025年、世界各国の中央銀行が利下げに転じると予想され、ここ数年の厳しい金融引き締めからの転換が見られそうです。この金融緩和は、インフレを再燃させることなく、経済成長を安定させることを目的としています。
米国では政策金利が年末までに3.5%まで引き下げられる見通しで、ヨーロッパでは2%を下回る水準になる可能性があります。このような状況は、債券投資にとって有利な環境を作り出し、世界市場の流動性の向上にも寄与すると期待されています。
2. インフレ再燃の可能性
FRBが利下げに向けた動きを進める中、さらに地政学的な要因が加わる可能性もあり、インフレは今後の大きな課題となり得ます。
前回のFRB会合では、パウエル議長がインフレへの懸念を示したことで市場は動揺し、金利や利下げ予測の大幅な見直しが行われました。その結果、2025年には利下げが1回にとどまる可能性も示唆されています。
CME FedWatchツール - 条件付き会合の確率
(出所:CME Group)
私個人の見解では、FRBのタカ派的な姿勢は、実際の政策よりもインフレ期待を抑えることを目的としているように思えます。
次回の会合までには、複数の雇用統計やインフレ関連の指標が発表される予定であり、それまでの間に状況が大きく変わる可能性がある点を忘れるべきではありません。
3. 急速な普及が進む中でAI投資が加速
人工知能(AI)分野への投資は引き続き拡大しており、医療、オートメーション、エネルギーなどの業界がAI技術によって再編されています。企業は生産性を高め、業務を効率化するために高度なAIモデルを活用し、AI関連の支出を増加させています。この「AI競争」は、企業全体の投資をさらに促進し、株式市場にも大きな影響を及ぼすと期待されています。
AIは依然として注目のテーマであり、エヌビディア(NVDA)だけがこの恩恵を享受するわけではありません。他にも多くの有望な選択肢が存在します。
特に2024年後半にパランティア・テクノロジーズ(PLTR)が好調な成果を収めたことは明らかです。
では、2025年のAI分野での勝者は誰になるのか?今後もこの市場に注視していきます。
2021年の世界人工知能(AI)市場規模と2030年までの予測(単位:百万ドル)
(出所:Statista)
4. 地政学的緊張が世界貿易を揺るがす
米中関係は依然として注目の的であり、特に中国製品への新たな関税が市場の変動要因になる可能性があります。この関税強化により、インフレ圧力が高まり、米ドルがさらに強まる可能性もあります。
一方で、中国は国内政策や財政刺激策を通じて貿易の混乱を緩和しようとしており、インドやメキシコといった新興国は、供給チェーンの再編から利益を得る可能性があります。
トランプ2.0政権下で進化するテクノロジー戦争の文脈における世界の状況をマッピング
(出所:MacroMicro)
現時点ではあらゆる選択肢が議論のテーブルに上がっており、2025年に向けて多くの疑問が残されています。
・トランプ氏は関税をさらに強化するのか?
・中国は本格的な景気後退に陥るのか?
・これらの変化から誰が利益を得るのか?
5. 住宅市場、供給不足が深刻化
住宅ローン金利が低下しているにもかかわらず、米国の住宅市場は供給不足と需要の不均衡に苦しんでいます。新築住宅の不足は推定で200万~250万戸に達しており、この状況は住宅価格を引き続き押し上げると予想されます。ただし、その上昇ペースはやや緩やかになる可能性があります。この環境は、大手住宅建設企業や不動産投資家に有利に働くと考えられます。
一方で、住宅の手頃さは過去最低水準に近づいており、これが2025年に景気後退を引き起こす引き金となる可能性はあるのでしょうか?
アメリカの住宅着工件数
(出所:TRADING ECONOMICS)
6. オートメーションとロボティクスが産業を革新
資本投資の拡大により、オートメーションとロボティクスは産業部門や消費者部門での存在感を一層高める見通しです。米国の産業企業がオートメーションに割り当てる設備投資の割合は30%に達すると予想されており、これがサプライチェーン全体の効率化やコスト削減を後押しすると期待されています。
世界の倉庫自動化市場
(出所:Market.us)
この分野ではすでに興味深い進展が見られており、マスク氏もヒューマノイドロボットの開発にさらに力を入れています。実用化には課題が残るものの、オートメーションとロボティクスが市場にどれほど大きな変化をもたらすかを示す象徴的な例と言えるでしょう。
7. エネルギー市場、混乱の中で安定化の兆し
2025年には、原油価格が十分な供給量と地政学的な不透明感の影響を受け、一定の範囲内で推移すると見込まれています。一方、政府の支援策や民間セクターの革新により、再生可能エネルギーへの投資は引き続き拡大していくでしょう。エネルギー市場は、投資家にとって課題とチャンスが共存する独特の状況を呈しています。
図表7 原油価格リスク要因:混乱による上昇リスクと供給および貿易戦争による下落リスク
(出所:Goldman Sachs Global Investment Research)
まとめ
2025年は、世界的な金融緩和、技術革新、地政学的な変化が絡み合う複雑な経済環境が予想されます。このような転換期において、情報を的確に把握し、柔軟に行動することで、投資家はリスクを抑えながら新たなチャンスをつかむことができるでしょう。
次章では、これらの考えを具体的なアクションプランに落とし込み、投資家が抱える重要な疑問に答えていきます。
・2025年に景気後退は起こるのか?(マクロマトリックスの最新情報)
・S&P 500(SPX)はどこまで上昇する可能性があるのか?
・ビットコイン(BTCUSD)は2025年にどの価格でピークを迎えるのか?
・2025年に投資すべき2つの国と注目の銘柄は?
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※続きは「【マクロ経済】2025年の米国経済のリセッション(景気後退)の可能性とは?S&P 500とビットコインの今後の見通しに迫る!」をご覧ください。
アナリスト紹介:ジェームズ・ フォード
📍米国マクロ経済&テクノロジー担当
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