11/21/2024

トランプ政権の株価​への影響とは?トランプ氏の関税政策は低・中所得層に特に大きな影響を与え、米国株式市場にもネガティブ?

a close up of a person with a bikeローレンス・ フラーローレンス・ フラー
  • 本稿では、トランプ氏が提案する関税政策の分析を通じて、トランプ政権が株価​に与え得る影響を詳しく解説していきます。
  • ウクライナ情勢やトランプ政権の政策による経済・市場への懸念が広がる中、米国株式市場では一部反発の動きが見られ、テクノロジー株が再度注目を集めています。
  • トランプ政権の提案する関税政策は、低・中所得層に特に大きな影響を与えるとされ、経済成長の鈍化やインフレ加速のリスクが懸念されています。 
  • ウォルマートなどの消費関連株の好調な業績が市場の注目を集める一方で、保護主義政策が消費者や企業利益に与えるリスクを過小評価する可能性が指摘されています。

トランプ新政権の政策は米国経済と米国株式市場にはネガティブ?

今週の米国株式市場の主要指数は小幅に下落してスタートしました。

これは、ウクライナ軍が米国から供給された長距離ミサイルをロシア領内に発射したことを受け、ロシアとウクライナの戦争が激化しているとの懸念が高まったためです。

これに対し、プーチン大統領はウクライナ軍がロシア領内に侵入した場合、核兵器を使用する可能性があると警告しました。

こうした緊張感が市場を動揺させたものの、取引が進むにつれ市場はファンダメンタルズに注目を戻し、先週の大幅な下落からの反発が前日から続く形となりました。

特にテクノロジー株が市場を牽引し、エヌビディア(NVDA)の決算発表が昨日の取引終了後に予定されていることも注目を集めていました。

同社にとって最大の課題は、人工知能分野の急速な成長により、この技術への需要が止まることなく拡大している点です。

一方、ビットコイン(BTCUSD)もトランプ次期大統領の暗号資産業界支持を背景に過去最高値を更新し続けています。

ただ、私はウォーレン・バフェット氏と同様に暗号資産には懐疑的で、これまで手を出すこともなく、今後もその予定はありません。

暗号資産は、存在しない問題を解決しようとする技術だと考えています。

そんな中、エヌビディアやビットコインに多くの注目が集まる一方で、私はむしろ、今週決算発表を行った地味な企業の経営陣のコメントの方に興味を引かれました。

ビットコインは2024年に価格が倍増し、世界の株式市場を上回るパフォーマンスを記録

(出所:Bloomberg)

ウォルマート(WMT)の株価は、売上高と利益が市場予想を大きく上回り、第4四半期の業績見通しも引き上げられたことで、過去最高値を更新しました。

決算内容はほぼすべての指標で優れた結果を示し、非常に好調でした。

しかし、同時に「大幅な関税引き上げが、まだインフレの影響を感じているお客様にコスト増をもたらす可能性があることを懸念している」という警告もありました。

私は、市場や消費関連セクターがこの重要なリスクを過小評価しているのではないかと感じています。

消費者支出は経済のエンジンであり、経済成長は強気相場の基盤です。

エヌビディアやビットコインが注目を浴びていますが、経済成長の重責を担っているのはウォルマートのような企業です。

高く評価されているシンクタンクのピーターソン国際経済研究所は、次期大統領が来年関税案を実行した場合、低所得層や中間所得層の家庭に最も大きな影響が出ると試算しています。

これは、まさにウォルマートの主要な顧客層に該当します。

トランプ氏の経済政策は大多数の99%の人々に打撃を与える可能性あり

特に、彼が提案している関税は、多くのアメリカ人にとって、税制優遇措置の延長による所得増加分を帳消しにしてしまうでしょう

(出所:Bloomberg

米国株式市場の動向は、経済成長、インフレ、金利、そして企業収益によって決まります。

関税が導入されると、保護主義の拡大により世界貿易が縮小し、経済成長が鈍化する可能性があります。

また、企業が関税コストを商品価格に転嫁すれば、物価が上昇しインフレ率が高まります。

これにより、FRBが金利をさらに引き下げる余地が制限される恐れもあります。

一方で、企業がコスト増を消費者に転嫁せず、自社で吸収する場合には、利益率が圧迫されることも懸念されます。

さらに、この政策は逆進的な税の性質を持ち、所得が低い消費者ほど可処分所得への影響が大きくなります。

投資家にとって、この政策にはメリットがほとんど見当たらず、むしろ多くのデメリットが存在すると感じています。

とはいえ、現時点では実際にどのような政策が実行されるのかを見極めるまでは、私は自身の投資戦略を変更する予定はありません。

その後、高頻度経済データを注視しながら、この政策が経済にどのような影響を及ぼすかを慎重に見守りたいと考えています。

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アナリスト紹介:ローレンス・フラー

📍米国マクロ経済担当

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