これからのアメリカ株はラッセル2000指数に注目!マグニフィセント7以外の小型株上昇でソフトランディングは順調に進行!
ローレンス・ フラー- 本稿では、足元で見られる米国小型株の上昇というローテーションの分析を通じて、これからのアメリカ株投資においてラッセル2000指数に注目する理由を詳しく解説していきます。
- エヌビディア(NVDA)の決算発表後の株価の動きは限定的で、一方、小型株のラッセル2000指数は過去数期間でナスダックを上回るパフォーマンスを示し、市場の幅広い銘柄への買いが進む良い兆候であるように見えます。
- アメリカの消費者支出は堅調で、クレジットカード債務の増加もインフレ率や所得の伸びと連動しており、大きな懸念材料ではなく、労働市場も安定を維持しています。
- ガソリン需要をはじめとするリアルタイムの指標も安定しており、金融引き締めの影響があるものの、経済全体の基調は強く、ソフトランディングが順調に進行していることが示唆されています。
これからのアメリカ株の見通しとは?
今週、エヌビディア(NVDA)は驚異的な決算を発表したものの、株価は木曜日の取引を終えた時点でわずか0.54%の上昇にとどまりました。
一方、市場全体が堅調だったこの日、「マグニフィセント7」の他のメンバーは全て下落。
これにより、ナスダック総合指数はほぼ横ばいとなった一方で、他の主要指数はしっかりと上昇し、中でもラッセル2000は1.5%の伸びを記録しました。
(出所:Finviz)
小型株指数であるラッセル2000指数は、この3カ月、6カ月、9カ月、12カ月のいずれの期間でも、ハイテク中心のナスダック100指数を上回るパフォーマンスを見せています。
以前から注目していたこのローテーションが、ついに明確な形で見えてきたと感じます。
つまり、平均的な銘柄が「マグニフィセント7」とのパフォーマンス差を縮めつつあります。
これは、ハイテク巨人たちが決して悪いわけではないものの、最近では相対的に他の銘柄に比べて劣勢にあることを示しています。
このローテーションは市場にとって良い兆候といえるでしょう。
なぜなら、幅広い銘柄が買われる「市場の幅の広がり」が改善しており、これはブル相場の力強さを裏付けるものだからです。
また、これらの動きは「ソフトランディング」が順調に進んでいることを示唆しているとも考えています。
経済サイクルの中盤に入ることで、FRBが短期金利を中立水準に引き下げる段階へ移行し、2025年には一時的な鈍化を経て経済成長が再び加速すると予想しています。
(出所:Finviz)
私の基本的な見通しは、注目している高頻度の経済データが引き続き良い方向に進むことを前提としています。
現在の景気拡大はいつものように消費者に大きく依存しており、それゆえ新政権の政策提案について懸念を抱いています。
確かに利点もある一方で、一部では悪影響を及ぼす可能性もあり、これが経済指標の悪化を招けば、私の見通しに影響を与えるかもしれません。
年明け以降のトランプ新政権の動向を注視していくつもりです。
トランプ政権の今後の政策が米国経済に与え得る影響に関して関心がございましたら、私が直近執筆した下記のレポートをインベストリンゴのプラットフォーム上よりご覧いただければと思います。
弱気派はこの1年近く、消費者が厳しい状況に置かれていると警告を発してきましたが、消費行動を見る限り、消費者はそうした懸念に反して積極的に支出しています。
ホリデーシーズン中には「クレジットカード債務が1兆ドルを超えた」という警鐘がさらに鳴らされるでしょうが、この数字も相対的に見るとそれほど深刻ではないと言えるでしょう。
過去10年間のアメリカのクレジットカード残高(季節調整前)
(出所:DataTrek)
DataTrekのグラフが示すように、過去5年間のクレジットカード残高の増加率は年率5%で、これは前の5年間よりも低いペースです。
この増加率は平均インフレ率の4.2%をわずかに上回る程度で、実質的な年成長率は0.8%にとどまります。
つまり、残高の増加は所得の伸びや経済の拡大と連動していると言えます。
一方で、2022年の景気回復開始以降、実質消費支出は年率約3%のペースで成長を維持しており、クレジットカード債務はそれほど大きな障害にはなっていません。
消費の堅調な成長が雇用創出を支えてきましたが、今年は金融環境の引き締まりの影響でそのペースがやや鈍化しています。
それでも、昨日発表された新規失業保険申請件数は再び減少し、21万3,000件と2024年の平均を下回りました。
これは11月の雇用統計にとって良い兆候ですが、今後さらにやや鈍化が続いても驚きはしません。
(出所:TradingEconomics)
また、消費者活動をリアルタイムで捉える信頼性の高い指標の一つであるガソリン消費量も堅調です。
週次のガソリン使用量は、昨年の平均をわずかに上回っており、小売価格が約4%下がっているにもかかわらず、その水準を維持しています。
もし消費者が本格的なストレスを受けるような状況になれば、労働市場への影響が出る前に、このような財やサービスの需要指標にその兆候が現れるでしょう。
米国におけるガソリン需要
(出所:EIA)
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アナリスト紹介:ローレンス・フラー
📍米国マクロ経済担当
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