S&P500の今後の見通しとは?2025年はS&P500よりもラッセル2000指数のような小型株指数に注目!
ローレンス・ フラー- 本稿では、米国の他の主要株価指数との比較を通じて、2025年以降のS&P500の今後の見通しを詳しく解説していきます。
- 米国株式市場は、消費者物価指数(CPI)の発表を受けて反発するも、一部の銘柄に限られた上昇が続き、全体として調整の可能性が高まっているように見えます。
- 過去の市場事例と比較すると、現在の集中度やバリュエーションの割高さが課題であり、小型株やバリュー株へのローテーションが進行しています。
- S&P500の上位銘柄に依存する市場動向に懸念がある一方で、2025年にはラッセル2000指数のような小型株指数が優れたパフォーマンスを示す可能性に期待しています。
2025年度以降のS&P500の今後の見通しとは?
水曜日の米国株式市場の主要指数は、消費者物価指数(CPI)が予想通りの結果だったというニュースを受けて大幅に反発するも、昨晩は再び小幅安の展開となっています。
これは年内最後の重要な経済指標であり、FRBの次回の利上げ判断に影響を与え得る最後の未知の要素でした。
CPIは依然としてFRBの目標である2%を上回っていますが、家賃の下落が遅れて反映される影響で、今後数カ月で目標水準に近づくと見られています。
このため、市場では来週の利下げがほぼ確実視されており、これがCPI直後の株価の上昇に道を開いた形となっているように見え、これは良いニュースと言えるでしょう。
ただ、悪いニュースとしては、水曜日の株価上昇は「マグニフィセント7」と呼ばれる7銘柄にほぼ限定されており、それ以外の銘柄はほとんど恩恵を受けていなかった点です。
ナスダック総合指数はこれら7銘柄の強さによって史上最高値となる20,000を突破しましたが、一方でS&P500の市場全体の動向は過去7営業日にわたって低調が続いており、これは短期的には好ましくない兆候です。
年末まで株価が上昇するという期待がある中で、この状況はやや懸念材料といえます。
私は、主要な市場指数が今後数週間以内に50日移動平均線に戻る可能性が高いとますます感じており、これは指数によって3~6%の調整を意味します。
とはいえ、これは特に驚くべきことではなく、投資家がこの調整をうまく活用する準備ができていれば問題ありません。
また、ベンチマーク指数が2年連続で20%以上の上昇を記録した後であれば、こうした調整はむしろ自然な流れといえるでしょう。
ラリー再開
主要指数が上昇、米国ハイテク株が牽引
(出所:Bloomberg)
S&P500が年初来で27%以上の上昇を記録していることから、史上5回目となる2年連続で20%以上の上昇となる可能性が非常に高いと考えられます。
しかし、こうした事例は過去にごくわずかしかなく、さらにそれぞれの状況が異なるため、来年の動向を予測する材料としてはあまり参考になりません。
最初の2回は大恐慌時代に記録されたもので、その翌年には指数が大幅に下落しました。
この点は、現在の弱気派にとって不安材料として注目されるかもしれません。
3回目は、戦後の6年にわたる強気相場の終盤に発生し、翌年の上昇幅はごく控えめなものでした。
そして、最も最近の例は1990年代半ばの活発な強気相場の中で記録されたもので、3年後にテクノロジー銘柄におけるITバブルが形成されるまでに、31%もの大幅なリターンを達成しました。
歴史の記録
S&P500は過去に4回、2年連続で年間20%以上の上昇を達成しています。その後、市場はどう動いたのでしょうか?
(出所:Barrons)
現在の市場動向は、過去のいずれの時期とも大きく異なりますが、最終的には平均を下回る5~10%程度の上昇に落ち着くのではないかと考えています。
経済が中期的な減速局面にあり、強気相場も中盤に差し掛かっているとすれば、指数はさらなる上昇を記録する余地があるでしょう。
しかし課題もあります。
時価総額加重型の指数におけるバリュエーションは、過去と比べて非常に割高な水準にあります。
現在、景気循環調整後利益に基づくPERは約38倍とされ、これは指数内の集中度が極端に高いことが一因です。
わずか10銘柄が指数全体の価値の約40%を占めており、それらは主に割高なテクノロジー関連銘柄となっています。
現在の米国株式市場の集中度は、過去と比べて特に高い水準に
最大規模の銘柄の時価総額が75パーセンタイル銘柄に対して占める比率(左軸)、およびS&P500における上位10銘柄の構成比率(右軸)
(出所:MacroOps)
2025年には、S&P500のイコールウェイト指数やラッセル2000指数のような小型株指数が、より優れたパフォーマンスを示すと考えています。
これらは、現在の市場でより魅力的なバリュエーションを提供しており、利益成長も着実に増加しています。
今年初めに予測した通り、過去6カ月間で大型株から小型株、成長株からバリュー株へのローテーションが本格化しており、この流れは2025年も続くと思われます。
ナスダックや「マグニフィセント7」の一部が史上最高値を更新したことで、そう感じられないかもしれませんが、小型株で構成されるラッセル2000指数は、この6カ月間でナスダック100を大幅に上回るパフォーマンスを記録しています。
iシェアーズ・ラッセル2000 ETF(IWM)の株価推移
(出所:Stockcharts)
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