01/06/2025

米国株の反発はいつなのか?歴史的に好調な月とされる1月には企業の決算報告が投資家心理を改善する可能性?

man in black suit jacket and black pants figurineローレンス・ フラーローレンス・ フラー
  • 本稿では、「米国株の反発はいつなのか?」という疑問に答えるべく、2025年1月以降の米国株の見通しに関して詳しく解説していきます。
  • 12月はS&P500が1952年以来最悪の下落を記録したが、1月は反発の兆しが見られ、歴史的に好調な月とされる1月には企業の決算報告が投資家心理を改善する可能性があります。
  • 長期金利の上昇やFRBの政策に対する懸念が市場の不透明感を高めたが、第4四半期の決算報告や経済指標の改善がリスク資産を支える期待が広がっています。
  • 市場の売られ過ぎ感が高まっており、バリュー株や循環的セクター、高配当銘柄への注目が引き続き有利な投資機会を提供する可能性があると見ています。

米国株反発のきっかけは決算?

ここ数十年で最も好調だった2年間の後、市場は1952年以来最悪となる年末のパフォーマンスを記録しました。S&P500はクリスマスから年末の最終取引日までに2.6%下落し、主要な株価指数は12月初旬から始まった下落基調をさらに深めました。過熱気味だった市場を調整するためのテクニカル的な修正として始まった動きは、FRBのパウエル議長が最近のインフレ率低下の停滞に対する懸念を示したことで、さらに大きな下落へとつながりました。加えて、FRB関係者は今年予想されていた利下げの回数を下方修正し、新政権の貿易政策がインフレを加速させる可能性を指摘しました。週全体では下落で終わったものの、金曜日には大きな反発が見られ、新年のスタートとしては明るい兆しを示しました。

(出所:Edward Jones

FRBの短期金利に関するコンセンサス見通しの修正が市場予想と一致していたことを考えると、今回の株式市場の売りは過剰反応だったと言えるでしょう。ただし、米国10年債利回りが昨年4月以来の高水準である4.65%に上昇し、長期金利の上昇がバリュエーションに影響を与えています。債券投資家は、債務や財政赤字の増加を懸念しており、これがトランプ政権の政策によってさらに悪化する可能性があると見ています。市場は不確実性を嫌うため、今後数週間は多くの不透明感が続くでしょう。そのため、新年を迎える前に利益確定売りやリスク回避の動きが進んでいるのだと思います。ただし、良いニュースもあります。先週の取引は好調な形で締めくくられましたし、第4四半期の決算報告がリスク資産の価格を支える材料となることが期待されます。

S&P500、1952年以来最悪の年末下落を記録

この期間中、指数が1%以上下落したのはわずか12回のみ。

(出所:Bloomberg)

今年は「サンタクロース・ラリー」が見られませんでしたが、それが必ずしも今後の悪い兆しを意味するわけではありません。実際、昨年も同じ7日間(年末の最終5営業日と新年の最初の2営業日)でS&P500は0.6%下落していました。1月は歴史的に年間でも最もパフォーマンスが良い月の一つとされており、企業の収益報告が投資家心理を改善する可能性があります。データ分析会社FactSetによると、第4四半期のS&P500企業の利益は前年比11.9%増加すると予測されており、これは2021年第4四半期以来の最も高い成長率となります。また、発表される経済指標も市場に追い風となることが期待されます。

こうした背景から、投資家にとっては前向きな見通しが広がるかもしれませんが、引き続き慎重な姿勢で市場動向を注視することが重要です。

しかし、1月は歴史的に見て市場が好調な月とされています。

(出所:Renaissance Macro Research)

12月のISM(供給管理協会)が発表した製造業の調査によると、購買担当者景気指数(PMI)は49.3に上昇し、市場予想の48.3を上回りました。これは3月以来最も緩やかな縮小ペースを示しています。特に、新規受注のサブ指数が52.5に上昇し、過去11か月で最も強い需要を示しました。これにより、製造業セクターが2年間の縮小を経て、ついに拡大へ転じる兆しが見えてきました。

製造業の回復は非常に重要です。なぜなら、過去2年間にわたり持続不可能なほどの成長を遂げてきたサービス業の拡大ペースが、今後減速する見通しだからです。

(出所:TradingEconomics

長期債利回りはここ数週間、市場にとって逆風となっていましたが、5%に近づく中でピークに達しつつあり、新たな高値を更新する可能性は低いと思われます。現在、マネーマーケット金利は国債利回りを下回っており、FRBが基準金利を引き下げるにつれてさらに低下する見通しです。この動きは、6.5兆ドル以上の資金が運用されているマネーマーケットファンドの投資家に対し、より高い固定金利を求めて利回り曲線の長期側に資金を移すインセンティブを与えると考えられます。

(出所:StockCharts

1週間前、S&P500が12月初めの過熱状態を3.5%の下落で解消したと推測しました。この下落率は平均的な株式の2倍以上に相当します。先週はさらに下値を探る動きが見られましたが、S&P500構成銘柄のうち、50日移動平均線を下回った銘柄の割合が18%にまで低下した点は前向きに捉えています。以下のチャートが示すように、この割合が30%を下回ることは滅多にありません。そのため、現在の市場は歴史的にも売られ過ぎの状態と言えます。このような状況では、株価が大きく反発する傾向があります。ただし、2023年10月に見られたような極端な安値時の状況とは異なり、現在の環境はそれほど悲観的ではないと考えています。

S&P500構成銘柄のうち、50日移動平均線を上回る銘柄の割合

(出所:StockCharts

市場は確かに、過去2年間では直面しなかった軽微な逆風に直面しています。これが今年の主要株価指数のリターンを抑える可能性はありますが、バリュー株、質の高い銘柄、そして循環的なセクターに注目することで、主要指数を超える利益のチャンスは依然として豊富に存在しています。また、高配当利回りや中小型株に注目することで、投資家にとって有利な立場を築けるとも考えています。

今週の米国経済カレンダー

火曜日には12月分のISMサービス業指数が発表されます。この指標は、経済活動をリアルタイムで把握する上で、私が最も注目しているものの一つです。水曜日にはFRBの会合議事録が公開される予定で、これが市場に与える影響も見逃せません。そして金曜日には、先月の雇用統計が発表されます。

(出所:MarketWatch)

米国マクロ経済に関するレポートを「毎月約10件、年間で約100件程度執筆しており、私のプロフィール上にてフォローをしていただくと、最新のレポートがリリースされる度にリアルタイムでメール経由でお知らせを受け取ることができます。

私の米国マクロ経済に関する最新レポートを見逃さないために、是非、フォローしていただければと思います!


アナリスト紹介:ローレンス・フラー

📍米国マクロ経済担当

フラー氏のその他の米国マクロ経済関連のレポートに関心がございましたら、こちらのリンクより、フラー氏のプロフィールページにてご覧いただければと思います。


インベストリンゴでは、弊社のアナリストが「高配当銘柄」から「AIや半導体関連のテクノロジー銘柄」まで、米国株個別企業に関する分析を日々日本語でアップデートしております。さらに、インベストリンゴのレポート上でカバーされている米国、及び、外国企業数は「250銘柄以上」(対象銘柄リストはこちら)となっております。米国株式市場に関心のある方は、是非、弊社プラットフォームより詳細な分析レポートをご覧いただければと思います。