トランプ就任で株価はどうなる?関税は月毎に段階的に導入され、インフレショックを回避出来るとの声が聞こえるもその真相は?

- 本稿では、「トランプ就任で株価はどうなる?」という疑問に答えるべく、ドナルド・トランプ次期大統領が掲げている関税等の政策が米国株に与え得る影響を詳しく解説していきます。
- 昨日のS&P500は日中最大の反転を記録し、売られすぎ状態の中で市場の反発が見られ、トランプ政権の関税政策が市場に影響を与えた可能性が高いと見ています。
- ラッセル2000指数やS&P500イコールウェイト指数も長期トレンドライン付近で反発を見せ、市場全体に回復の兆しがあり、特に決算発表シーズンが追い風になる可能性があると見ています。
トランプ大統領就任による米国株価への影響とは?
昨日のマーケットの動きは特に目を引くものでした。主要株価指数が一日の安値で取引を開始し、終値で高値をつけるという展開は久しく見られませんでしたが、昨日はそれが実現しました。S&P500は昨年9月以来となる最大の日中反転を記録し、これは株価の調整が終わりに近づいている兆候を探していた私のような強気な投資家にとって、心強いサインといえます。現在の市場は、12月初旬に始まった株価下落局面と同じように、行き過ぎた売られすぎの状態にあります。株式のバリュエーションは、長期金利の上昇やインフレ再燃の懸念、さらにはFRBが追加利下げを進められるかどうかといった不安を織り込んでいる状況です。
(出所:Finviz)
就任が近づくにつれ、ドナルド・トランプ次期大統領の政策提案が経済に与える影響への懸念がますます高まっています。ウォール街でも一般市民の間でも、消費支出の成長を鈍化させ、インフレ率を押し上げ、企業利益を圧迫する可能性が高い報復関税を歓迎する声はほとんど聞かれません。これこそが、S&P500が大統領選後の上昇分をすべて失った主な理由だと私は考えています。この状況がトランプ政権の姿勢にも影響を与え始めているように思われます。
S&P500、大統領選後の上昇分を全て消失
(出所:Bloomberg)
昨日の取引終了後、ブルームバーグが報じたところによると、財務長官のスコット・ベッセント氏を含むトランプ氏の経済チームのメンバーが、関税を月ごとに非常に段階的に導入する計画に取り組んでいるとのことです。この方法は、インフレショックを回避しつつ、次期大統領が貿易相手国との交渉力を徐々に高められるようにすることを目的としていると推測されます。このニュースに対する期待が、昨日の終盤に見られた市場の反発や今朝の続伸に影響を与えた可能性があります。この動きはタイミング的にも適切でした。というのも、国内市場に焦点を当てたラッセル2000指数はすでに調整局面に入り、長期移動平均線に再び接近していたからです。昨日の朝、そのラインを起点とした力強い反発が見られましたが、これは過去1年で3回目のことです。
iシェアーズ・ラッセル2000 ETFの株価推移
(出所:Stockcharts)
「平均的な株式」でも同様の動きが見られました。イコールウェイト型のS&P500指数も、長期トレンドラインまであと1%というところで反発しました。これは、上昇トレンドが続く強気相場の中での買い場に見えますが、この後の動きは、トランプ政権が就任後数日間でどのような判断を下すかに大きく左右されると思います。債券市場と株式市場は、報復関税が貿易相手国に対してだけでなく、国内経済にも同様に打撃を与えるというメッセージをすでに発信しています。これまでの市場の反応を見る限り、より緩やかなアプローチを取ることが奨励されるでしょう。そうなれば、株式と債券の価格が回復に向かうきっかけになると考えています。
インベスコS&P・500イコール・ウェイトETFの株価推移
(出所:Stockcharts)
タイミング的にも非常に良い時期になるでしょう。というのも、第4四半期の決算発表という追い風が間もなく到来するからです。昨日のレポートでもこのチャートを共有しましたが、改めて共有する価値があります。利益の成長が幅広い銘柄に広がる見込みで、市場全体の動きが改善する可能性があります。「マグニフィセント7」だけが市場の主役という状況ではなくなり、S&P500の残りの493銘柄の年間利益成長率は、2024年の3%から今年は11%に拡大すると予想されています。株価は将来の変化を織り込む仕組みであるため、このポジティブな変化率が今年前半の株価に反映され始めるはずです。
図表11:マグニフィセント7は2024年に33%の利益成長が見込まれているのに対し、S&P500のその他の銘柄はわずか3%の成長が予測されています。
(出所:Goldman Sachs)
また、私は米国マクロ経済に関するレポートを毎週複数執筆しており、私のプロフィール上にてフォローをしていただくと、最新のレポートがリリースされる度にリアルタイムでメール経由でお知らせを受け取ることができます。
加えて、インベストリンゴのその他のアナリストも詳細な分析レポートを日々執筆しており、インベストリンゴのプラットフォーム上では「毎月約100件、年間で1000件以上」のレポートを提供しております。
そこで、私の米国マクロ経済に関する最新レポートを見逃さないために、是非、フォローしていただければと思います!
アナリスト紹介:ローレンス・フラー
📍米国マクロ経済担当
フラー氏のその他の米国マクロ経済関連のレポートに関心がございましたら、こちらのリンクより、フラー氏のプロフィールページにてご覧いただければと思います。
インベストリンゴでは、弊社のアナリストが「高配当銘柄」から「AIや半導体関連のテクノロジー銘柄」まで、米国株個別企業に関する分析を日々日本語でアップデートしております。さらに、インベストリンゴのレポート上でカバーされている米国、及び、外国企業数は「250銘柄以上」(対象銘柄リストはこちら)となっております。米国株式市場に関心のある方は、是非、弊社プラットフォームより詳細な分析レポートをご覧いただければと思います。