FRBによる利下げ確率は上昇?6月までに25Bpsの利下げ確率は44.6%に上昇し、2回の利下げ確率も20%近くに上昇!
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- 本稿では、2024年の12月の米国消費者物価指数(CPI)の発表を受けて上昇するFRBによる利下げ確率が米国株に与え得る影響に関して詳しく解説していきます。
- 消費者物価指数の鈍化と銀行株の好決算が市場に好影響を与え、10年物国債利回りの低下が株価急騰を後押ししています。
- インフレ圧力の軽減や賃金の伸び鈍化が確認され、再びFRBによる年内利下げ観測が市場で広がっています。
- 利下げ観測や金利環境の変化が市場に新たな不透明感をもたらしつつも、利益成長が米国企業の株価の支えとなると見ています。
インフレ鈍化、好決算、金利低下、株価急騰?
昨日は強気派にとってまさに「ホームラン」の一日でした。予想を上回る消費者物価指数(CPI)の発表に加え、国内の大手銀行4行が軒並み市場予想を上回る好決算を発表。
この結果、10年物国債利回りが約15ベーシスポイント低下し、4.66%に。この金利低下が株価急騰を後押ししました。
さらに、FRBが年内に2回の利下げを行うとの見方が再び市場のコンセンサスとなり、数日前までの「利下げは1回、もしくはゼロ」との予想が一変しました。
これは、先週発表された強すぎる雇用統計を受けた市場の見方と対照的です。
今週の初めにも述べた通り、データそのものが示す長期的なトレンドに注目すべきであり、週ごとに変わる「データの解釈」に振り回されるべきではありません。
それはまるで、風向き次第で動く風見鶏のようなものです。
(出所:Finviz)
12月のCPIは月間で0.4%、年間では2.9%上昇し、ほぼ市場予想通りの結果となりました。
一方で、コア指数は予想を下回る0.2%の上昇にとどまり、年間では3.3%から3.2%へと低下しました。
年間のコア指数が減少するのは昨年7月以来、月間での減少は昨年6月以来のことです。
さらに重要なのは、サービス(住宅を除く)に焦点を当てた「スーパーコア」の項目が、月間でわずか0.2%の上昇にとどまり、3カ月平均も0.4%から0.3%に低下した点です。
この分野は主に賃金の伸びによって影響を受けるため、FRBが特に注目しています。
この結果は、労働市場が過熱していないことを示唆しており、デフレ傾向がしっかりと維持されていると言えます。
米国CPI
(出所:CNBC)
そして、消費者物価指数の3分の1を占める住居価格が、ついに全体の上昇率を押し下げ始めました。
先月の住居価格はわずか0.3%の上昇にとどまり、過去1年間では4.6%上昇しましたが、これは2022年1月以来最も低い伸び率です。
住居価格は、現在新たに締結されている賃貸契約だけでなく、既存のすべての賃貸契約を反映するため、計算にタイムラグが生じます。
一方で、新規契約の賃料は全国平均で横ばいとなっています。
このデフレ傾向が現在の計算に反映されていることから、年内に少なくとも2回の利下げが実現する可能性が高いと言えます。
(出所:TradingEconomics)
そして、CME先物によると、6月までに25ベーシスポイントの利下げが行われる確率は44.6%に上昇し、2回の利下げの確率も約13%から20%近くに上昇しました。
1月に利下げが行われると予想している人はほとんどいませんが、トランプ政権の政策次第では、3月の利下げが十分に可能性として考えられると思います。
2025年6月18日のFOMC会合におけるターゲット金利の確率
(出所:CME)
今回のインフレ関連のニュースを受けて、10年物国債利回りは4.66%に急低下し、成長株が大きく買われました。
しかし、インフレ懸念というよりも、利回り曲線の正常化によって、年内に一時的に5%を試す可能性は依然として高いと考えています。
そのため、この新たな金利環境への調整過程で、株価には断続的に圧力がかかるでしょう。
ただし、利益成長がこの逆風を打ち消す十分な追い風となるはずであると見ています。
米国10年物国債推移
(出所:Stockcharts)
また、予想通り、いや期待していた通り、ラッセル2000指数は過去1年で4回目となる長期移動平均(200日線)を維持し、2%の急騰を見せました。
これは国内経済にとって好ましい兆候です。
次に注目すべきは、来週の大統領就任式を前にした企業の決算発表です。
一方で、トランプ政権がどのような政策を実施し、それがどの程度の影響を及ぼすかという不透明感が、市場に新たな懸念材料をもたらすことは間違いありません。
ボラティリティは引き続き高いままですが、これが新たな投資機会を生むと考えています。
iシェアーズ ラッセル 2000 ETFの推移
(出所:Stockcharts)
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