01/17/2025

Fear & Greed Indexは買い時のサイン?投資家心理は依然として悲観的で米国株は底に近づいている可能性?

i love you text on pink and white polka dot backgroundローレンス・ フラーローレンス・ フラー
  • 本稿では、市場の投資家心理を示す「Fear & Greed Index(恐怖と貪欲指数)」の足元の動向を踏まえ、米国株式市場の今後の見通しを詳しく解説していきます。
  • 主要株価指数は小幅な下落を見せたものの、平均的な銘柄のパフォーマンスは堅調で、イコールウェイト型のS&P500指数が上昇し、ラッセル2000も小幅上昇を記録しています。
  • 小売売上高が好調で、GDP計算に重要なコントロールグループの売上高が3カ月ぶりの大幅増加を記録し、消費者支出が経済拡大を支えています。
  • ただし、投資家心理は依然として悲観的で、「Fear & Greed Index」や調査結果から市場の底(買い時)に近づいている可能性が示唆されています。

昨日、主要株価指数は水曜日の急騰後に一息ついたものの、その下落幅は前日の上昇に比べて小幅にとどまりました。業績発表が原因とは言えません。全体として予想を上回る好調な結果が続いているためです。また、債券利回りも低下しました。これは、FRB理事のクリストファー・ウォラー氏が、今年前半に短期金利の引き下げがあり得ると発言したことが背景にあります。中でも、インフレの動向次第では3月にも利下げが実施される可能性が示唆されました。

一方で、原因となったのはアップル(AAPL)です。同社が中国市場で首位のシェアを失ったというニュースを受け、株価が4%下落しました。この売りは他の「マグニフィセント・セブン」(7大銘柄)にも波及し、指数全体を赤字に押し込みました。ただし、平均的な銘柄のパフォーマンスは良好で、イコールウェイト型のS&P500は0.8%上昇し、ラッセル2000も0.2%の小幅上昇を見せました。

(出所:Finviz

経済面でのさらなる好材料として、小売売上高が12月に0.4%増加し、11月分も0.8%増に上方修正されたというニュースがありました。報告書では13カテゴリー中10カテゴリーで売上の増加が見られ、ガソリン、外食、自動車、建材を除いたコントロールグループも0.7%の増加を記録しました。この数値はGDPの計算に用いられる重要な指標です。要するに、消費者は引き続き商品やサービスへの支出を続けており、その結果、実質(インフレ調整後)の個人消費は前年比でほぼ3%の成長を維持しています。これが経済拡大を軌道に乗せ続ける原動力となっています。

米国小売売上高、ホリデーシーズンの堅調な締めくくり

コントロールグループの売上高が3カ月ぶりの大幅な増加を記録

(出所:Bloomberg

実質(インフレ調整後)の消費成長の原動力となるのは、実質所得の増加です。この増加は2023年の第1四半期に再び現れ、その後も維持されています。

消費者物価指数(CPI)報告と共に発表される米労働統計局の実質所得データには、実質所得の成長に関する最新情報が含まれています。年間ベースでの所得成長を把握するには、多くの労働者の労働時間数の変動を考慮することが重要です。2023年12月の実質週平均賃金は0.7%増加しましたが、10月の1.4%や11月の0.9%と比べると減速しています。それでも、1年前の0.9%と大きく変わらない水準です。

この減速は予想されていたもので、FRBが名目賃金の成長率を3.5%程度に抑えようとしていることと一致しています。この水準は、パウエル議長が2%のインフレ率と整合的だと述べた目標値です。同時に、実質的な購買力の成長を維持するには、インフレも同じかそれ以上の速さで低下する必要があります。これがいわゆる「ソフトランディング」の核心となる課題です。

表A-1. 現在および実質(1982~1984年基準の一定)ドルでの民間非農業部門全従業員の収益(季節調整済み)

(出所:BLS

また、過去6週間の市場調整を経ても、投資家たちが依然として悲観的、あるいは恐れていることには好感が持てます。CNNの「Fear & Greed Index(恐怖と貪欲指数)」によると、市場はいまだ「恐怖」ゾーンにあります。投資家心理は逆張りの指標として機能するため、この指標が示すのは、売りが終わりに近づいている、もしくはすでに終わった可能性が高いということで、決して始まったばかりではないということです。

(出所:CNN

そして、この指標は、アメリカ個人投資家協会(AAII)が実施した調査結果とも一致しています。その調査では、今後6カ月間の株式市場の動向について強気だと答えた投資家の割合がわずか25%にとどまりました。これは平均値の37%を大きく下回る水準です。一方で、弱気派の割合は40%以上に達し、1年ぶりの高水準となっています。

(出所:AAII

強気な投資家心理がこれほど低かったのは、2023年11月以来のことです。以下のイコールウェイト型S&P500のチャートにもその様子が表れています。この時期は、市場において最後の大きな買いのチャンスでもありました。

インベスコS&P・500イコール・ウェイトETF

(出所:Stockcharts

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