01/31/2025

2025年の米国株は中小型株に注目?イコールウェイト型のS&P500指数がマグニフィセント・セブンをアウトパフォーム!

grayscale photo of Wall St. signageローレンス・ フラーローレンス・ フラー
  • 本稿では、イコールウェイト型のS&P500指数がマグニフィセント・セブンをアウトパフォームしていることが示すように、私が2025年の米国株は中小型株に注目すべきと考える理由を詳しく解説していきます。
  • 米国経済は力強い成長を維持しており、特に個人消費が成長を牽引しています。FRBはインフレ鈍化を見極めるまで金利を据え置く方針を継続する見込みです。
  • テクノロジーセクターの停滞と「マグニフィセント・セブン」の成長鈍化が続く一方で、市場の広がりが進み、S&P500の他の銘柄が相対的に良好なパフォーマンスを示しています。
  • 中小型株やバリュー株への分散投資が有効と考えられ、2025年にはテクノロジーセクターの主導的役割が後退する可能性が高いと見ています。

2025年の米国株は中小型株に注目!

昨日の米国株式市場は午後3時30分頃まで好調でしたが、トランプ大統領が突然、カナダとメキシコからの輸入品に対して土曜日から25%の関税を課すと発表し、その後、カナダ産原油の関税に関しては撤回するような発言をしたことで、状況が一変しました。

カナダとの貿易において最も重要な部分である原油に関する「即興」の発言は、多くの市場関係者を驚かせ、株価は急落し、前日の上昇分がほぼ帳消しとなりました。

その後、引けにかけてやや回復しましたが、今日彼が何をするかは予測できません。

とはいえ、彼の発言よりも、その行動がもたらす影響に焦点を当てたいと思います。

その他のニュースとしては、企業の決算発表が引き続き好調な結果を示しているものの、一部の著名なテクノロジー企業が慎重な見通しを示したことで、このセクターに停滞感が広がっているのは明らかです。

(出所:Finviz

取引終了後に発表されたアップル(AAPL)の決算は比較的良好な内容でしたが、依然として「マグニフィセント・セブン」の利益成長率の鈍化と、経済の回復力の組み合わせが、S&P500を構成する他の493銘柄の相対的なパフォーマンス向上につながると考えています。

イコールウェイト型のS&P500指数(RSP)で示されるように、年初来のリターンは「マグニフィセント・セブン」のほぼ2倍となっており、このようなパフォーマンスの広がりは、強気相場の持続性にとって健全であり、現在進行中の経済拡張の力強さを反映していると言えます。

市場の広がりが加速?

S&P500の等ウェイト指数が上昇

(出所:Bloomberg

2024年の経済は非常に力強い形で締めくくられました。

特に消費支出が成長を牽引し、第4四半期の成長率は年率2.3%、年間では2.8%となりました。

第4四半期の成長は見かけ以上に強く、在庫の減少が成長率をほぼ1ポイント押し下げた一方で、消費支出は4.2%という驚異的な伸びを示しました。

消費支出は全体の成長の3分の2以上を占めており、この成長率は2021年末以来最も高い水準です。

このような状況を考えると、米連邦準備制度理事会(FRB)が今後数カ月間のインフレ鈍化を確認するまで金利を据え置く決定を下したのは、先見の明があったと言えます。

米経済、2024年を力強く締めくくる

個人消費の好調が企業投資の減少を上回る

(出所:Bloomberg

この強さは年明け1月にも持続しているようです。

1月25日までの週の新規失業保険申請件数は20万7,000件と、市場予想の22万件を下回りました。

過去5週間のうち4週間は、過去3年間の平均を下回る水準となっています。

さらに、ガソリン消費量は依然として前年比で約2%上回っており、裁量支出が引き続き堅調であることを示唆しています。

米国の週間新規失業保険申請件数(季節調整済み)

2022年〜現在

(出所:FRED

今朝発表される1月の個人所得と支出のデータは、これまでの高頻度経済指標が示してきた経済の強さを裏付ける内容となるはずです。

また、この報告にはFRBが重視するインフレ指標である個人消費支出(PCE)物価指数の最新データも含まれます。

私は、1月の数値が0.2%の上昇となり、コアの年間上昇率は2.8%で横ばいになると予想しています。

S&P500の年初来のセクター別パフォーマンスを見ると、私が以前から指摘している市場の広がり(上昇している銘柄数の増加)が明確になっており、テクノロジー分野以外に分散投資することで得られる投資機会が示されているように見えます。

そして、2024年に最も好調だったテクノロジーセクターは、2025年には最も低迷するセクターへと転落しました。

テクノロジーセクターには今年も一定のリターンは期待できますが、この強気相場の最初の2年間のような主導的役割を果たすことはないでしょう。

経済成長率がトレンド水準に近づくにつれ、米国中小型株を中心にバリュー株へ分散投資する戦略が優位になると考えています。

(出所:Finviz


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