中立AT&TAT&T(T)の今後の株価見通し:最新の2024年第2四半期決算は好調!6%の予想配当利回りと48%の配当性向は魅力的?
イアニス・ ゾルンパノス- 本稿では、AT&T(T:予想配当利回り5.83%・配当性向48%・1株当たり配当金0.2775ドル)の最新の2024年度第2四半期決算と配当推移を分析していきます。
- そして、それらの分析を通じて、同社の目標株価、並びに、今後の株価見通しと将来性を詳細に解説していきます。
- AT&Tは、米国を拠点とする世界的な電気通信企業で、ワイヤレス通信、ブロードバンドインターネット、デジタルエンターテイメント、ビジネスソリューションなど、多岐にわたるサービスを提供しています。
- 最新の2024年第2四半期の決算で、非経常損益項目を除くEPSと希薄化後のEPSは前四半期比で増加しましたが、1株当たり売上高は小幅に減少しました。
- 財務状況において、AT&Tは安定した収益基盤を持ち、特にワイヤレスセグメントが堅調に推移しており、配当収入重視のインカム投資家にとって魅力的な収益源となっています。
AT&T(T)の概要
レーティング:中立
バリュエーション:やや割高
リスクレベル:中程度
セクター:情報通信サービス
現在の株価:19ドル
時価総額:1363.1憶ドル
弊社算出の一株当たり本質的価値:16.93ドル
安全マージン:-12.28%
過去5年間の配当成長率:-12.80%
前回配当落ち日:2024年7月10日
次回配当支払い日:2024年8月1日
予想配当利回り:5.83%
過去5年間の売上高成長率:-9.80%
過去10年間の売上高成長率:-4.40%
AT&T(T:予想配当利回り5.83%・配当性向48%)は、米国を拠点とする世界的な電気通信企業であり、ワイヤレス通信、ブロードバンドインターネット、デジタルエンターテイメント、ビジネスソリューションなど、多岐にわたるサービスを提供しています。同社は、高速で信頼性のあるネットワークを通じて、消費者および企業顧客に向けた革新的なソリューションを展開し、業界をリードしています。
同社は米国第3位のワイヤレス・キャリアで、7200万人のポストペイドと1700万人のプリペイドの顧客を持っており、ワイヤレス通人事業はAT&Tの売上高の70%近くを占めています。
AT&Tのユニークな特徴は、その大規模で高度に発達したネットワークインフラです。同社は、全国的な5Gネットワークの展開を進めており、これにより高速かつ低遅延の通信環境を提供しています。また、光ファイバー技術の拡充にも力を入れており、住宅および商業施設における超高速インターネットサービスを提供しています。
財務状況において、AT&Tは安定した収益基盤を持ち、特にワイヤレスセグメントが堅調に推移しており、ポストペイド加入者数の増加が続いています。また、同社は定期的に安定した配当を支払っており、配当収入重視のインカム投資家にとって魅力的な収益源となっています。
最近の買収として、AT&Tはメディア事業をスピンオフし、WarnerMediaをディスカバリーと合併させることで、通信事業に集中する戦略を取りました。これにより、同社は負債削減とキャッシュフローの改善を図り、コアビジネスに再投資する余地を広げました。
また、同社は2024年7月24日に2024年第2四半期決算を発表しています。
AT&T(T)の最新の2024年第2四半期決算に関して
AT&T(T)は、2024年6月30日に終了した最新の2024年度第2四半期決算において、非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI)は0.57ドル(前四半期:0.55ドル)、希薄化後のEPSは0.49ドル(前四半期:0.47ドル)、また、1株当たり売上高も4.14ドル(前四半期:4.175ドル)と、1株当たり売上高は前四半期比で小幅に減少する着地も、非経常損益項目を除くベースでのEPSと希薄化後のEPSはいずれも前四半期比で増加する着地となっています。
一方で、長期的なパフォーマンスを見ると、下記のチャートからも分かる通り、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は-1.00%で、過去10年間の年平均成長率は-2.20%となっており、中長期的な観点では収益面での成長が停滞していることが分かります。
ただし、これらの業績の変動、或いは、停滞ににもかかわらず、同社株式は比較的安定していることが分かります。
一方で、今後10年間の同社業界の成長予測は引き続きプラスであることからも、情報通信セクターに位置する同社は着実な成長が期待されているようにも見えます。
以上より、AT&Tの投資家は、今後も同社の決算報告を注視し、同社の業績と潜在的な成長機会を定期的に評価すべきでしょう。
※チャート上の値は年間ベースであり、非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI)の直近4四半期の合計値
AT&T(T)の財務パフォーマンスに関して
AT&T(T)の財務パフォーマンスを、総資産利益率(ROA)、自己資本利益率(ROE)、投下資本利益率(ROIC)、ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC)、加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。
まず、過去5年間のROCの中央値は5.04%となっており、過去5年間のWACCの中央値である4.94%をわずかに上回っていることからも、同社が過去5年間にわたり経済的価値を生み出してきたことを示しています。
また、ROEを見ると、過去5年間の中央値は7.55%、現在のROEは12.26%、さらに、過去10年間のROEの最高値は22.31%、最低値は-6.46%で、長期的な収益性にばらつきがあることが分かります。
一方で、同社の現在のROCの水準は17.78%となっており、過去5年間のROCとWACCの中央値の両方を上回っています。
基本的に、ROCがWACCを上回るということは、同社が資本を効果的に運用していることを示しています。
さらに、同社のROICも過去10年間の中央値は4.86%と、長年にわたって安定性を示しているように見えます。。
全体として、AT&Tは資本を効果的に配分し、プラスの経済価値を生み出しているように見えます。
AT&T(T)の配当に関して
まず、下記のチャートからも分かる通り、AT&T(T)の過去5年間の配当成長率は、2021年の大幅な減配によりマイナスとなっています。
同社が2021年に減配を行ったのは、主にWarnerMediaのスピンオフと負債削減のための戦略的な決定に基づくものです。
これにより、財務健全性の改善と将来的な成長のための資金を確保することが目的でした。
一方で、下記のチャートからも分かる通り、同社の予想配当利回りは5.83%と魅力的な水準であ、足元の予想配当利回りの推移も堅調である点に加えて、配当性向は48.0%であることからも、今後も持続可能な配当政策を示しているように見えます。
ただし、同社のEBITDA純有利子負債倍率は3.34倍となっており、過剰に高いわけではないが、一定の注意を払う必要があるようにも見えます。
理想的には、当倍率が2倍以下であれば財務リスクが低いことを示すことからも、現在の倍率は利益と比較して負債が中程度であることを示唆しています。
そのため、投資家は、同社が効果的に債務を返済できるよう、この倍率を継続的にチェックすべきでしょう。
また、同セクターと比較すると、同社の配当実績は安定しており、配当性向も妥当な水準であるように見えます。
以上より、投資家は、AT&Tの財務健全性を評価するために、将来の配当成長と債務管理能力に注目すべきででしょう。
予想配当利回り:5.83%
配当性向:48%
配当カバレッジ・レシオ:1.56倍
5年間の配当成長率:-12.80%
EBITDA純有利子負債倍率:3.34倍
※DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金
※Dividend Yield:予想配当利回り
※Dividend Payout:配当性向
AT&T(T)のバリュエーションに関して
AT&T(T)の現在の株価は19.01ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である16.93ドルより高い水準となっており割高感があります。
一方で、実績PERは10.93倍で、株価売上高倍率は1.11倍となっており、これらの指標からは同社の株価が合理的なバリュエーションで取引されていることを示唆しています。
また、EV/EBITDA倍率は6.38倍で、株価フリー・キャッシュフロー倍率は6.51倍となっており、これらの指標に基づくと、同社の現在の株価が魅力的な価格であることを示しています。
さらに、予想PERは8.49倍となっており、将来の収益予想に基づくと、同社の現在の株価が過小評価されている可能性を示唆しています。
ただし、これらの指標を同社の過去5年平均、過去10年平均と比較すると、現在のバリュエーションは過去の水準と一致しているようにも見えます。
加えて、業界平均と比較すると、同社の現在のバリュエーションは妥当であり、特に株価売上高倍率やEV/EBITDA倍率などの指標は同業他社と同水準であると言えます。
全体として、バリュエーション指標に基づくと、AT&Tの株式は、足元では妥当なバリュエーションで取引されており、将来的な収益予想に基づくと、さらなるアップサイドの可能性もあるようにも見えます。
AT&T(T)のリスクとリターンに関して
AT&T(T)のリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。
まずマイナス面では、1株当たり売上高は過去5年間減少しており、株価は3年ぶりの高値に近い水準となっています。
また、株価売上高倍率も2年ぶりの高水準に近く、予想配当利回りも10年ぶりの低水準に近いづいています。
一方でプラス面では、ピオトロスキーのFスコアが8となっており、同社の非常に健全な財務状況を示しています。
さらに、ベニッシュのMスコアは-2.73で、同社が利益操作を行っている可能性が低いことを示唆しています。
さらに、営業利益率は拡大しており、これは一般的にポジティブな兆候であると言えます。
しかし、投資家はAT&Tへの投資判断を下す前に、上述のリスク要因と同社の全体的な財務の健全性を慎重に検討すべきでしょう。
AT&T(T)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して
AT&T(T)のインサイダー取引のトレンド分析によると、過去12ヶ月間、インサイダーによる同社株式の売買に関する取引は確認されていません。
一方で、インサイダーによる同社株式の保有比率はわずか0.16%である点にはご留意ください。
一方、機関投資家の保有比率は33.54%と比較的高く、機関投資家が同社株式に大きな関心を寄せていることを示唆している。
インサイダーと機関投資家の保有比率にこのような差があることは、インサイダーが今後の同社株式の見通しに対して必ずしもポジティブな見通しを持っていない可能性を示唆している一方で、機関投資家は同社の株式に対してポジティブな見通しを持っている可能性が高い。
以上より、トレンド分析からは、市場心理とAT&Tの将来の潜在的な値動きを予想するためには、機関投資家のアクティビティを監視することの重要性を強調しているように見えます。
AT&T(T)の流動性に関して
AT&T(T)の流動性は高く、直近営業日の一日の出来高は30,764,278株で、過去2ヶ月間の1日平均出来高は35,894,434株となっており、同社株式に対する一貫した取引があることを示唆しています。
また、同社株式のダークプール指数(DPI)は30.23%となっており、取引活動の一定の部分がダークプールで行われていることを示しています。
※ダーク・プール指数は、ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。
この高水準のDPIは、同社株式の価格発見への透明性と市場全体の効率性に影響を与える可能性があります。
そして、この水準は、機関投資家がこの銘柄を積極的に取引していることを示唆している可能性があります。
また、ダーク・プールにおける流動性は同社株価の安定に寄与し、株価のボラティリティを低下させるとも言えます。
全体として、AT&Tの流動性と取引活動は堅調だが、投資家はダークプールが株価の取引ダイナミクスに与える影響に注意する必要があるでしょう。
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