11/24/2024

やや強気
AT&T
やや強気
2025年度には設備投資の削減が見込まれており、その結果、フリーキャッシュフロー(FCF)の増加と配当の安全性の向上が期待されています。予想PER9.6倍という低水準で取引されているAT&Tは、過熱する市場の中で非常に割安で効率的なキャッシュ創出企業といえるでしょう。
【高配当】AT&T(T)株価の今後の見通しは良好!最新の2024年度第3四半期決算と配当推移の分析を通じて将来性に迫る!

a woman sitting at a table looking at her cell phoneヴェンカット・ ラガーヴァンヴェンカット・ ラガーヴァン
  • 本稿では、AT&T(T:予想配当利回り5%・配当性向46.8%・1株当たり配当金0.2775ドル)の2024年10月23日に発表された最新の2024年度第3四半期決算と配当推移、さらに、同社の財務パフォーマンスを詳細に分析していきます。
  • そして、それらの分析を通じて、同社の今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
  • テクノロジーは急速に進化しており、投資家にとって大きなチャンスと課題の両方をもたらしています。 
  • テクノロジー企業は急成長する一方、失敗も早く、慎重さを欠いた投資家は容易に市場に取り残され、混乱し、損失を被るリスクがあります。 
  • 本稿では、テクノロジーのイノベーションと成長を活かし、安定した収益を得られる配当収入重視のインカム投資家にとって魅力的な銘柄をご紹介します。

はじめに

私たちの生活は、ますますテクノロジーに囲まれるようになっています。

技術の進化は驚くほど速く、消費者は常に最新で最高の製品を求めています。

これからの未来、私たちがさらに多くのテクノロジーと共に生きることは間違いありません。

たとえば、エネルギーパイプラインを主要な探査地域から輸出拠点へとつなげるには、開発から運用開始までに数年を要します。

同様に、住宅複合施設の建設や運用にも数年が必要です。

しかし、テクノロジーの世界では、アイデアを実用的な製品にするまでに数時間から数日、選ばれた顧客向けにベータ版をリリースするまでに数週間で済むことがあります。

このような迅速な開発スピードは、大きな恩恵である一方で、課題も伴います。

アイデアから収益化までの道のりが短縮され、革新的なコンセプトを素早く市場に出せる反面、競争優位性を保つのが難しくなるからです。

他者が短期間で模倣や改良を行い、市場での差別化がより困難になります。

また、優れたアイデアが必ずしも成功するビジネスや有望な投資につながるとは限らないという現実もあります。

テクノロジー企業は常に存続の危機と隣り合わせ

事業が拡大し、高い利益率を誇る企業であっても、いずれ競合他社に追いつかれる時が訪れます。

製品のマーケティングや顧客の維持、市場シェアの拡大に取り組む一方で、知的財産を守る努力も欠かせません。

成功を収める企業は、市場の飽和を察知し、新しい事業分野への進出や買収を通じて事業を広げていきます。

しかし、それには多くの課題や失敗がつきものです。発表された買収が成功するか失敗するかを、一般の投資家が見極めるのは非常に困難です。

急速に変化するこの環境でスピードに乗り遅れる企業は、大きな存続の危機に直面します。

実際、数多くの人気企業が革新の遅れや競争の激化、競合他社に市場シェアを奪われることで生き残れなかった例があります。

Yahoo:かつてドットコムバブルの最盛期に1,250億ドルもの企業価値を誇ったYahooは、最終的にベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)に48億ドルで売却され、その後Apollo Global Managementに約50億ドルで買収されるという結末を迎えました。Yahooは数々の失敗した買収を重ね、成長するアルファベット(GOOG/GOOGL)に対抗するための革新を欠いたことが大きな要因でした。

ノキア(NOK:一方、ノキアは2007年まで携帯電話市場で圧倒的な約49.4%のシェアを誇っていました。しかし、その後アップル(AAPL)やアルファベットに敗れ、市場の変化や消費者のニーズに対応できなかったことで衰退しました。同様に、かつて革新的な存在とされたBlackberryも、同じ道をたどる結果となりました。

テクノロジー業界の企業は、ソフトウェアからハードウェアまで幅広い分野で活動し、さまざまな業界にサービスを提供しています。

この多様性ゆえに、各企業の性質やビジネスモデルは大きく異なり、テクノロジー業界全体に適用できる一律の投資戦略は存在しません。

例えば、フィンテックはテクノロジーと金融が融合した分野であり、両業界の経済状況に大きく左右されます。

同様に、eコマース、医療テクノロジー、防衛テクノロジーなど、多岐にわたる分野があり、これらを正しく理解し評価した上で投資判断を行うことは、一般の投資家にとって非常に難しい課題です。

さらに近年、テクノロジー業界は米国、欧州、中国の規制当局からの注目を集めています。

地政学的な緊張や反トラスト法の適用により、特にビッグテック企業は厳しい状況に直面しており、業界全体のボラティリティ(価格変動の激しさ)は一層高まっています。

無視することも、理解することも難しいセクター

テクノロジーセクターの最大のリスクの一つは「バリュエーション(企業価値評価)」です。

この分野の企業は、市場の他のどのセクターよりも高い評価を受ける傾向があり、その理由はこの業界が約束する平均以上の成長率を反映しているからです。

個人投資家にとって、このセクターで成功する企業を見極めることや、急激な価格変動やバリュエーションの高騰・収縮に耐えながら投資を維持することは非常に難しいといえます。

それに加え、売買のタイミングを完璧に見極めて収益を得るのはさらに困難です。

そのため、私たちのインカム投資戦略の基盤は、安定した収益を確保することにあります。

その視点から、テクノロジーと革新の恩恵を享受しながら、安定した配当収入を得られるこの選択肢を詳しく見ていきましょう。

また、私のプロフィール上にて、私をフォローしていただくと、最新のレポートがリリースされる度に、リアルタイムでメール経由でお知らせを受け取ることが出来ます

私のインカム・高配当銘柄に関するレポートに関心がございましたら、是非、フォローしていただければと思います。

AT&T(T):予想配当利回り5%・配当金0.2775ドル

どんなイノベーションも、インターネットなしでは設計、開発、商業化、マーケティング、販売、そして維持管理は不可能です。

そして、北米の通信業界は少数の企業が支配する寡占市場であり、この規模を持つ競争相手を新たに構築するには、莫大なコストと時間を要する強固な参入障壁が存在します。

AT&T(T)は10月23日に2024年第3四半期決算を発表し、ワイヤレス加入者の大幅な増加を報告しました。

特に、高価格帯の無制限プランの採用が増え、この期間中に40万3,000人の月額契約ワイヤレス電話加入者を獲得しました。

また、同社のエコシステム内でのクロスセリングも好調で、光ファイバー加入者の39.7%がモバイルサービスも利用しています。

さらに、AT&Tは光ファイバーの純加入者を22万6,000人増加させ、19四半期連続で20万人以上の純増加を記録しました。

ただし、設置作業はハリケーン「ヘレーネ」や9月に南東部で発生した作業停止の影響を一時的に受けたとしています。

また、AT&Tの衛星ベース通信サービス「FirstNet」(緊急対応者専用の全国規模の無線通信ネットワーク)も引き続き成長を続けており、30万件近い新規接続を達成しました(総接続数640万件)。

この中には電話やその他のデバイスも含まれます。

FirstNetのネットワークは災害時の需要に応じて展開可能で、「SatCOLTs」(移動型基地局車両)や「5G Flying COW」(5Gカバレッジを提供するドローン)などの設備を備えています。

ハリケーン「ヘレーネ」の際には、緊急対応者を支援するため、同社の応答作戦チームが派遣されました

AT&Tはここ数年の多額の設備投資の成果を享受しており、第3四半期にはフリーキャッシュフローが51億ドル、調整後EBITDAは116億ドル(前年の112億ドルから増加)を記録しました。

AT&Tの四半期毎のフリー・キャッシュフロー推移(単位:10億ドル)

(出所:筆者作成)

AT&Tの年初来フリーキャッシュフロー(YTD FCF)は128億ドルに達しており、配当支出(Dividend Expense)は控えめな配当性向46.8%に収まっています。

第3四半期末時点で、純負債は調整後EBITDA比で2.8倍(前年の3倍から改善)となり、2025年上半期までに目標の2.5倍に到達する見込みです。

さらに、同社はDIRECTVの持分をTPG(TPG)に売却することを発表しました。

この取引により、総額約76億ドルの現金収入(第3四半期中に受け取った6億ドルを含む)が見込まれており、2025年下半期に完了する予定です。

この資金は、債務削減の取り組みを大きく支えることが期待されています。

また、AT&Tは調整後コア利益とワイヤレスサービス収益の成長に関する年間見通しを維持しており、フリーキャッシュフローを170億~180億ドル(2023年の168億ドルに対して増加)、調整後EPSを2.15~2.25ドルと予想しています。

これにより、年間の配当性向は引き続き控えめな50.4%にとどまる見通しです。

AT&Tの2024年度ガイダンス

(出所:AT&Tの2024年第3四半期決算資料

これは、AT&Tの近年の事業運営の中で最も低い配当性向を示しており、目標とするレバレッジ水準を達成した後の2025年度には、配当増額が期待できることを意味しています。

さらに、2025年度には設備投資の削減が見込まれており、それによりフリーキャッシュフロー(FCF)の増加が予想され、配当の安全性も一段と高まる見通しです。

以上より、予想PERがわずか9.6倍という水準で取引されているAT&Tは、過熱する市場の中で非常に割安で魅力的なキャッシュ生成企業といえるでしょう。

AT&T(T)に対する結論

私たちの生活は、常にテクノロジーとともにあります。

日常の中で、1時間さえもテクノロジーに触れずに過ごすことはほとんどありません。

このレポートを読んでいるあなたは、すでに複数のテクノロジーパートナーのサービスを利用しており、私もさまざまなテクノロジーを駆使してこのコンテンツを作成しました。

このレポートは、スマートフォン、タブレット、またはパソコンで読まれており、信頼性の高いインターネット接続によってあなたの画面に届けられています。

一見シンプルに思える「記事を読む」という行為の背後には、多くのテクノロジーが支えており、テクノロジープロバイダーたちは、常にユーザー体験とエンゲージメントを向上させるために革新を続けています。

テクノロジーが進化するほど、その存在感はますます日常生活に浸透し、私たちの世界との関わり方を劇的に変えていくでしょう。

ただし、注意すべきは、有望に見えるすべてのテクノロジーソリューションが成功するビジネスになるとは限らず、健全な投資先でもないということです。

この変化の激しいセクターでは、投資家が慎重さを欠けば、簡単に遅れを取り、混乱し、失敗に繋がる可能性があります。

以上より、本稿では、AT&Tを取り上げました。

同社は、テクノロジーの革新を支えながら、投資家に安定した収益を提供する長年信頼されてきた企業です。

AT&Tは、現代のイノベーションを支える重要なインフラを担う広範なネットワークを展開しています。

テクノロジーの進化とその広がりを目の当たりにするのは刺激的であり、ポートフォリオにAT&Tのような銘柄を加えることで、その成長の恩恵を受けることができます。

これこそが私の「インカム投資法」の魅力であり、配当収入を通じて安定した収益を生む投資の美しさなのです。

その他のAT&T(Tに関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、AT&Tのページにてご覧いただければと思います。

加えて、直近、AT&Tの競合他社であるベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)に関するレポートも執筆しておりますので、関心がございましたら、是非、インベストリンゴのプラットフォーム上よりご覧いただければと思います。

また、その他の米国高配当銘柄に関するレポートに関心がございましたら、併せて下記のレポートもご覧いただければと思います。

直近では、予想配当利回り8.93%の米国高配当BDCであるアレス・キャピタル(ARCC)や予想配当利回り6.9%の米国高配当MLPであるエンタープライズ・プロダクツ・パートナーズ(EPD)、予想配当利回り7.1%の米国高配当REITであるヘルスケア・リアルティ・トラスト(HR)、予想配当利回り5.6%の米国高配当REITであるリアルティ・インカム(Oに関するレポートも執筆しております。

アレス・キャピタル(ARCC

エンタープライズ・プロダクツ・パートナーズ(EPD

ヘルスケア・リアルティ・トラスト(HR

リアルティ・インカム(O

さらに、私のプロフィール上にて、私をフォローしていただくと、最新のレポートがリリースされる度に、リアルタイムでメール経由でお知らせを受け取ることが出来ます

私のインカム・高配当銘柄に関するレポートに関心がございましたら、是非、フォローしていただければと思います。


アナリスト紹介:ヴェンカット・ ラガーヴァン

📍インカム・高配当担当

ラガーヴァン氏のその他の配当関連銘柄のレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、ラガーヴァン氏のプロフィールページにアクセスしていただければと思います。


インベストリンゴでは、弊社のアナリストが、高配当関連銘柄からAIや半導体関連のテクノロジー銘柄まで、米国株個別企業に関する動向を日々日本語でアップデートしております。そして、インベストリンゴのレポート上でカバーされている米国、及び、外国企業数は250銘柄以上となっております。米国株式市場に関心のある方は、是非、弊社プラットフォームよりレポートをご覧いただければと思います。

弊社がカバーしている企業・銘柄の一覧ページはこちら