02/02/2025

【高配当:決算】AT&T(T)配当利回りの推移は不安定?配当性向は49%も配当金は0.2775ドルで据え置き!

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  • 本稿では、注目の米国高配当株であるAT&T(T:予想配当利回り4.68%・配当性向49%・1株当たり配当金0.2775ドル)の2025年1月27日に発表された最新の2024年度第4四半期決算と配当利回りの推移の詳細な分析を通じて、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
  • AT&Tは米国の大手通信事業者で、ワイヤレス通信を主力とし、法人向け固定回線や住宅向けブロードバンド事業も展開しています。近年は通信事業に特化する戦略を進めており、DirecTVの持ち分売却などを通じてポートフォリオを再編しています。
  • 売上高は長期的に減少傾向にあり、ROICも低下しています。予想配当利回りは4.68%と高水準ですが、過去5年間で-14.70%の減配となっています。配当性向は49%と持続可能な水準ですが、財務リスクや成長の鈍化には注意が必要でしょう。

AT&T(T)の概要


セクター:通信

現在の株価:.23ドル

時価総額:1,702.9億ドル

過去5年間の配当成長率:-14.70%

前回配当落ち日:2025年1月10日

次回配当支払い日:2025年2月3日

予想配当利回り:4.68%

過去5年間の売上高成長率-8.30%

過去10年間の売上高成長率-5.40%


関連用語

安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。

売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。


足元の株価推移

(出所:筆者作成)

AT&T(T:予想配当利回り4.68・配当性向49%・1株当たり配当金0.2775ドル)は、米国テキサス州ダラスに本社を置く大手通信事業者であり、世界有数のワイヤレス通信プロバイダーです。同社はワイヤレス事業を主軸に据え、米国内で7,200万件のポストペイド契約および1,700万件のプリペイド契約を有しており、売上の約70%をこの分野から生み出しています。また、法人向け固定回線サービスではインターネット接続、プライベートネットワーク、セキュリティ、音声サービスなどを提供し、売上の約15%を占めています。住宅向け固定回線サービスとしては、全米1,400万世帯にブロードバンド・インターネットを提供し、売上の約11%を構成しています。さらに、メキシコ市場にも進出し、2,300万件の契約を抱えています。

同社のユニークな特徴として、通信インフラの広範なネットワーク網と、法人向けサービスの充実が挙げられます。特に、企業向けネットワークソリューションやクラウド・セキュリティ分野で強みを持ち、安定した収益基盤を形成しています。一方で、近年は衛星テレビ事業DirecTVの持ち分売却など、ポートフォリオの再編を進め、通信事業に特化した戦略へ移行しています。

財務面では、売上の長期的な減少傾向やROIC(投下資本利益率)の低下が課題ですが、営業利益率の改善が見られます。予想配当利回りは4.68%と業界内で競争力のある水準ですが、5年間の配当成長率は-14.70%と減配傾向にあります。現在の配当性向は49%で、過去10年の中央値100.59%から大幅に低下しており、持続可能な配当戦略へとシフトしています。投資家にとっては、安定したキャッシュフローと比較的高い配当利回りが魅力となる一方、成長性の鈍化や負債比率に注視する必要があるでしょう。

そして、同社は2025127日に2024年第4四半期決算を発表しており、本稿では同社の最新の決算と財務パフォーマンス、並びに配当推移を詳しく分析していきます。


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AT&T(T)の最新の2024年度第4四半期決算発表に関して

AT&T(T)は、2025127日に発表された最新の2024年度第4四半期決算では、特別項目を除いたEPS(1株当たり利益)は0.54ドルで、前年同期と同水準ですが、前四半期の0.60ドルからは減少しました。一方、希薄化後EPSは0.56ドルとなり、第3四半期のマイナス0.03ドルから大幅に回復しました。1株当たり売上は4.477ドルとなり、前四半期の4.192ドルから増加し、前年同期の4.452ドルもわずかに上回りました。過去5年および10年のCAGR(年平均成長率)は、それぞれ-1.10%と-2.70%となっており、長期的な利益成長は減少傾向にあります。業界の成長予測では、今後10年間の年平均成長率は3%程度と見込まれています。

AT&Tの粗利益率は59.77%と、過去10年間で最も高い水準となっており、過去5年間の中央値57.89%、過去10年間の中央値53.95%を上回っています。同社の自社株買い比率は、過去1年間で-0.40%とわずかにマイナスとなり、株式の発行済み株式数が若干増加したことを示しています。また、過去10年間の自社株買い比率は-2.70%となっており、長期的には発行済み株式数が増加していることを示しています。このように自社株買い比率がマイナスであることから、AT&Tは過去10年間で自社株を発行した量が、買い戻した量を上回っていることがわかります。

今後の見通しとして、市場のアナリストの予測では、AT&Tの売上は2025年に1,237億ドル、2026年に1,252億ドル、2027年には1,270億ドルに達すると見込まれています。2025年度の予想EPSは2.205ドルで、翌年には2.263ドルへ若干の増加が見込まれています。アナリストの見方は慎重ながらも楽観的であり、安定した売上予測と改善傾向にある利益率が評価されています。

そして、次回の決算発表は2025年4月24日に予定されており、同社の業績や今後の見通しについてのさらなる詳細が明らかになるでしょう。

非経常損益項目を除くベースでのEPS

(年間ベース:直近4四半期の合計値

(出所:筆者作成)


関連用語

EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。

非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。

希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。

1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。

粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。

自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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AT&T(T)の財務パフォーマンスに関して

AT&T(Tの財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。

まず、過去10年間におけるAT&TのROICは4.22%から11.62%の範囲で推移し、中央値は4.86%でした。現在のROICは4.70%となっており、過去10年間の中央値をやや下回り、歴史的な最低水準に近づいています。

一方で、AT&TのWACCは4.00%から5.82%の範囲で推移しており、現在は5.82%と高水準にあります。過去10年間のWACCの中央値は4.93%です。そのため、現在のWACCはROICを上回っており、資本コストを上回るリターンを生み出せていない状況です。

この状況は、AT&Tが投下資本から十分なリターンを得られておらず、経済的な価値を創出できていないことを示しています。株主価値を向上させるためには、事業運営の効率を改善するか、資本コストを削減する必要があるでしょう。

投下資本利益率(ROIC)加重平均資本コスト(WACC)の比較

(出所:筆者作成)


関連用語

総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。

自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。

投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。

ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。

加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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AT&T(T)の配当に関して

AT&T(T)は配当成長を維持するのに苦戦しており、過去5年間の配当成長率は-14.70%、過去3年間の成長率は-18.90%となっています。直近の四半期では、1株当たりの配当額は0.2775ドルで据え置かれました。予想配当利回りは4.68%であり、過去10年間の最低水準よりは高いものの、中央値を下回っており、歴史的なパフォーマンスと比較するとやや控えめな水準です。業界全体と比較すると競争力のある水準ではありますが、財務再編の影響を受けた慎重な配当政策が反映されています。

同社のEBITDA有利子負債倍率は3.20倍となっており、適度なリスク水準と評価されますが、財務レバレッジの影響は無視できません。将来的な財務リスクを回避するためにも、引き続き債務管理が求められます。

基本的には、EBITDA有利子負債倍率は2倍以下であれば財務リスクが低く、4倍以上であれば財務リスクが高いことを示すとされています。

配当性向は現在49%で、過去10年間の中央値である100.59%と比べて大幅に低下しており、配当政策の持続可能性を重視した戦略的転換を示しています。

次回の配当落ち日は2025年4月9日に予定されており、引き続き四半期ごとの配当支払いが継続される見込みです。

予想配当利回り:4.68%

配当性向:49%

配当カバレッジ・レシオ:1.34倍

過去5年間の配当成長率: -14.70%

EBITDA有利子負債倍率:3.2倍

DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金

(出所:筆者作成)

Dividend Yield:予想配当利回り

(出所:筆者作成)

Dividend Payout:配当性向

(出所:筆者作成)


関連用語

1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。

配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。

予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。

配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。

EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。

配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。

配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。

配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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AT&T(T)のバリュエーションに関して

まず、AT&T(T)の予想PERは11.19倍であり、直近12か月(TTM)の実績PERの15.93倍より低いものの、投資家の一定の楽観的な見方を反映している可能性があります。過去10年間のPERのレンジは最低の4.04倍から最高の256.25倍と広く、中央値は12.37倍です。これに基づくと、現在の評価は中央値をやや上回っており、今後の業績成長が伴わなければ割高である可能性があります。

TTMの企業価値/EBITDA倍率(EV/EBITDA倍率)は7.35倍であり、過去10年間の中央値6.56倍よりもやや高いものの、過去最高の15.20倍と比較すると安定的な範囲に収まっています。また、TTMの株価フリーキャッシュフロー(FCF)倍率は9.24倍と、過去10年の中央値7.84倍を上回っています。そのため、市場はAT&Tのキャッシュフロー成長をある程度織り込んでいると考えられます。

一方、TTMの株価純資産倍率(PBR)は1.63倍であり、過去10年間の最高水準である1.67倍に近づいています。この数値は、現在の株価が帳簿価値と比較して高く評価されていることを示しています。

市場のアナリストのコンセンサス予想によると、目標株価の平均値は最近26.11ドルに引き上げられています。しかし、足元のバリュエーションを考慮すると、慎重な判断が求められるかもしれません。足元のバリュエーションは市場の期待値が非常に高いことを意味しており、今後の業績がこれに見合わなかった場合、株価が調整する可能性があるため注意が必要であると見ています。

以上より、投資家は、業界の動向やAT&T固有の経営戦略を踏まえて、慎重に投資判断を行う必要があるでしょう。

(出所:筆者作成)


上記グラフにおける関連用語

Price:現在の株価

Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値

DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価

DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価

Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価

Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価

赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値


関連用語

実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。

株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。

株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。

EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。

PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。

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AT&T(T)のリスクとリターンに関して

AT&T(Tのリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。

まずマイナス面では、株価純資産倍率(PBR)および株価売上高倍率(PSR)は、過去10年間の最高水準に近づいており、歴史的な基準と比較すると株価が過大評価されている可能性があります。また、過去5年間の1株当たり売上が減少しており、収益成長の鈍化を示唆しています。さらに、投下資本利益率(ROIC)が加重平均資本コスト(WACC)を下回っていることは、資本の活用効率が低く、長期的な成長に課題があることを意味します。

一方で、ベニッシュのMスコアが低水準であることから、利益操作をしている可能性は低いと考えられます。また、営業利益率が拡大しており、収益性の改善傾向が見られます。投資家は、これらのリスク要因と改善の兆しを慎重に比較し、長期的な視点で投資判断を行うことが重要でしょう。


関連用語

財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。

アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。

ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。

ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。

インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、2倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の2倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。

ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。

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AT&T(T)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して

AT&T(T)の過去1年間のインサイダー取引を分析した結果、経営陣や取締役による同社株式の取引は一切確認されませんでした。直近3か月、6か月、12か月の全期間において、インサイダーによる買い・売りの取引件数はゼロとなっています。

この同社株式の売買の欠如は、いくつかの可能性を示唆しています。一つは、経営陣が現在の株価水準に特に買い増しや売却を行う理由がないと判断していることです。また、規制上の理由や戦略的な沈黙の期間が続いている可能性も考えられます。

ただし、インサイダーの同社株式の保有比率は0.16%と低く、経営陣の同社への影響力は限定的であると考えられます。一方、プロの機関投資家の保有比率は59.81%と高く、プロの機関投資家が同社の意思決定に大きな影響を持っていることを示しています。この保有構造は、経営陣の取引が少ない一方で、機関投資家が戦略的な役割を果たしていることを示唆しています。


関連用語

インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。

機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。


AT&T(T)の流動性に関して

AT&T(T)の取引活動は活発であり、直近営業日の1日当たり出来高は40,317,954株と、過去2か月の平均出来高(38,027,058株)を6%上回っています。この増加は、投資家の関心が高まっていることを示しており、市場の流動性も良好な状態であると言えます。

また、同社のダークプール取引指数(DPI)は44.54%となっており、取引のかなりの部分が公開市場外で行われていることを示しています。この水準は過度に高くも低くもなく、プロの機関投資家の取引が比較的安定していることを示唆しています。

総合的に見ると、AT&Tは良好な流動性を確保しており、売買注文の執行もスムーズに行える環境です。この流動性の高さは、投資家が同社株式を売買する際の価格影響を最小限に抑えるため、魅力的なポイントとなるでしょう。


関連用語

ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。

ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。


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アナリスト紹介:イアニス・ゾルンパノス氏

📍バリュー&インカム・テクノロジー担当

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