強気テラドック・ヘルス【テレヘルス】テラドック・ヘルス(TDOC)の将来性とは?予想フリーキャッシュフローの10倍というバリュエーションは魅力的?
マイケル・ウィギンズ・ デ・オリベイラ- 本稿では、注目の米国テレヘルス企業であるテラドック・ヘルス(TDOC)の最新の決算分析を通じて、同社の目標株価、並びに、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- 2025年、テラドック・ヘルスは新しいCEOの下で安定化を目指し、トップライン成長率1%を見込んでいることから、2026年初頭までの目標株価として15ドルを予想しています。
- 予想フリーキャッシュフローの10倍という足元のバリュエーション水準は魅力的であり、4億ドルの純負債を抱えつつも、堅実なキャッシュポジションで十分対応可能であるように見えます。
- 主なリスクとしては、統合ケア会員の維持や、2025年の1億7,000万ドルのフリーキャッシュフロー目標を妨げるような資本集約型プロジェクトの回避が挙げられます。
- 収益の安定化と運営効率の向上により、同社は大きなリターンを期待できる魅力的な投資機会を提供していると考えています。
注目の米国テレヘルス企業であるテラドック・ヘルス(TDOC)に注目する理由
悪名高いテラドック・ヘルス(TDOC)は、私が注目している銘柄であり、その理由としては、リスクとリターンのバランスが非常に魅力的だと考えているからです。
2024年、同社は経営陣の変革の年であり、2025年は安定化の年となると見ています。この安定化の過程で、予想フリーキャッシュフローの10倍という株価水準であるこの銘柄に、投資家が再び注目するはずであると考えています。
ただし、同社は、持続的な競争力を持ち、2025年後半には収益成長率を再び伸ばせることを投資家に証明する必要があります。
本稿では、私が2026年初頭までの目標株価として1株あたり15ドルを設定する理由について詳しく解説していきます。
テラドック・ヘルス(TDOC)は転換点を迎えている?
多くの方はすでにテラドック・ヘルス(TDOC)をご存じかもしれません。これは、Zoom(または類似のサービス)を利用して患者が医師と相談できるプラットフォームを提供する企業です。
テラドック・ヘルスは、一般的な医療問題や慢性疾患の管理に対応する医師へのアクセスを提供し、対面診療を必要とせずに、より便利な医療を実現しています。
しかし、この企業には、多くの投資家が距離を置いている現状があります。
かつてパンデミック時代に注目を浴びた同社は、「堕天使」と化してしまい、旧経営陣が会社のリソースをほぼ無駄遣いしてしまったように見えるからです。
ここで指摘しているのは、Livongoを高値で買収したことだけではありません。資本リソースをより慎重に活用できなかったことが問題をさらに悪化させ、結果として株価は95%以上も暴落しました。
しかし現在、同社は新しいCEOの下でまったく別の企業へと生まれ変わっています。
それにもかかわらず、多くの投資家は依然として過去のネガティブなイメージにとらわれ続けています。これこそが、非常に良い投資の機会を生み出しているのです。
以前にも述べましたが、投資の転換点を見極める投資家には「3つのC」が重要です。それは、好奇心(Curiosity)、決断力(Commitment)、そして冷静さ(Calm)です。好奇心を持って柔軟な視点を保ち、決断力を持って行動し、その後は冷静に構え続けることが鍵となります。
振り返ってみると、2024年に私のポートフォリオにおいて最も成功した投資のいくつかは、当時低迷していた銘柄で、新しいCEOが就任し、変革をもたらしたケースでした。例えば、ペイパル(PYPL)やペロトン・インタラクティブ(PTON)を思い出してみてください。これらの銘柄に関するレポートはインベストリンゴ上でご覧いただけます。
最終的に、新しいCEOが就任した際にポジティブな変化をもたらすのか、それともネガティブな結果になるのかは事前には分かりません。ただ確実なのは、何らかの変化が起こるということと、そのCEOがビジネスを新たな方向に導こうと意欲的であるという点です。
そして、投資家の期待値が非常に低い現状では、大きな可能性が秘められているのです。
もしかすると、これからの変化が将来的な成長の原動力となる可能性もあるのではないでしょうか?
例えば、今月初めにテラドック・ヘルスがアマゾン(AMZN)との提携を発表しました。この結果がどう転ぶかを予測することは私の専門ではありません。しかし、重要なのは、提示されているリスクとリターンのバランスを評価することです。
それでは、同社のファンダメンタルズについて詳しく見ていきましょう。
テラドック・ヘルス(TDOC)の2025年の売上成長率は安定する見通し
テラドック・ヘルスの売上高成長率(%)
(出所:筆者作成)
現在、テラドック・ヘルス(TDOC)を注視している多くの投資家は、縮小傾向にあるビジネスと見ています。
10四半期以上にわたり成長率が減速し続け、2024年にはマイナス成長に転じた企業です。その結果、投資家たちは完全に失望し、この状況が続くと考えています。
しかし、私はむしろ2025年に同社の売上成長率が安定し始める可能性があると考えています。特に2025年後半にはトップラインの成長が見込めるかもしれません。その結果、2025年通年で売上成長率が1%程度に達する可能性があります。
なぜそれが重要なのでしょうか?それは、今後6か月の間に投資家が同社を再評価する際、現在のような縮小しているビジネスではなく、安定し、持続可能なビジネスとして捉え始めるからです。
つまり、私が皆さんに理解してほしいのは、「同社はそう簡単に消える企業ではない」という点です。この考えに共感できれば、その先の投資の展望はさらに明るくなるでしょう。それでは、次に、同社のバリュエーションに関して詳しく見ていきたいと思います。
テラドック・ヘルス(TDOC)のバリュエーション:予想フリーキャッシュフローの10倍
ここで、私の強気の投資論を支える重要なポイントについて説明させてください。テラドック・ヘルス(TDOC)は4億ドルの純負債を抱えています。これは、同社がフリーキャッシュフローを活用して事業に再投資する能力が、まず債権者への返済の必要性によって制約されることを意味します。
しかし、この負担はそれほど大きくありません。なぜなら、同社はバランスシート上の豊富なキャッシュポジションを活用して、2025年に期限を迎える債務を問題なく返済できるからです。また、その次の返済期限はさらに2年以上先であり、その時点で同社はおそらく債務を再交渉して借り換えを行うでしょう。
一方で、これが私がしばらくの間、このフリーキャッシュフローを手にするのを妨げる重要な要因であり、常に念頭に置いているポイントです。ただし、このリスクはすでに株価に織り込み済みで、十分に割り引かれていると考えています。
次に、私の同社に対する考えをお伝えします。以下の図の赤い矢印で示されているのは、同社のフリーキャッシュフローの数字です。現在の勢いを考えると、2024年末には1億6,000万ドルのフリーキャッシュフローを達成する可能性があると私は見ています。
その結果、収益が安定し、さらに再構築や効率化が進めば、同社は2025年に約1億7,000万ドルのフリーキャッシュフローを生み出す可能性があると考えています。
本当は2025年に1億7,000万ドル以上のフリーキャッシュフローが実現する可能性もあると考えたいところですが、現時点ではこの数字を基準としておきます。そして、2025年が進むにつれて、次の数四半期でさらに上方修正する余地を残しています。
この数字は、株価が予想フリーキャッシュフローの10倍というバリュエーションで評価されていることを意味します。私にとって、これは非常に割安であり、魅力的なバリュエーションであると考えています。
テラドック・ヘルス(TDOC)を取り巻くリスク要因
ここでの主なリスクは、テラドック・ヘルス(TDOC)が統合ケア会員を維持できるかどうかです。
米国統合ケア会員数(単位:百万人)
コロナ禍を経て数年が過ぎ、患者のライフスタイルが正常化したことで、解約率(チャーンレート)が減速し始めているのであれば、同社は再び統合ケア会員数を増加させることが可能になると考えています。
しかし、もしこれが実現しなければ、この投資論には弱点が出てくる可能性があります。具体的には、同社の統合ケア会員数が9,100万人に近づくようであれば、私の仮説は外れたことになり、この投資を諦めざるを得なくなると考えています。
もう一つ注視しているリスク要因は、同社が再び資本集約型のプロジェクトに乗り出すかどうかです。これにより、2025年の1億7,000万ドルのフリーキャッシュフロー達成が困難になると判断した場合には、同社への投資から撤退を提案せざるを得なくなると見ています。
テラドック・ヘルス(TDOC)に対する結論
現在のテラドック・ヘルス(TDOC)の財務見通しは非常に魅力的で、株価が上昇に転じる可能性が高まっているように見えます。
まず、同社は2025年に約1億7,000万ドルのフリーキャッシュフローを生み出す見通しであり、株価はその10倍程度の評価水準で取引されています。この水準は割安感があり、非常に魅力的に感じられます。
確かに、4億ドルの純負債を抱えていますが、堅実なキャッシュポジションと無理のない返済スケジュールを考慮すると、同社は短期的な債務を十分に対応できる体制にあると見られます。
さらに、収益を安定させ、効率化を進めることができれば、株主にとって大きなリターンが期待できる可能性があります。
以上の理由より、私は2026年初頭までの目標株価として1株15ドルと予想しています。
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