中立アトラシアン クラスAアトラシアン(TEAM)最新の2024年第4四半期決算発表は市場予想上回るも株価は下落!今後の株価見通し・将来性を探る!
ドノヴァン・ ジョーンズ- アトラシアン(TEAM)は、プロジェクトおよびチーム管理ソフトウェアを世界中の企業に販売しているテクノロジー企業です。
- 同社は、2024年8月1日に2024年第4四半期決算を発表し、売上高はコンセンサス予想を上回る着地となっています。
- ただし、トップラインの売上高の伸びの鈍化、営業利益率の悪化、そしてEPSのマイナスへの転換を踏まえ、アトラシアンに対する私の見通しは「中立」としています。
アトラシアン(TEAM)について
アトラシアン(TEAM)は、プロジェクトおよびチーム管理ソフトウェアを世界中の企業に販売しているテクノロジー企業で、2024年8月1日に2024年第4四半期決算を発表しています。
同社の使命は、チームコラボレーションとプロジェクト管理ソフトウェアを提供することであり、ソフトウェア開発者、プロジェクトマネージャー、コンテンツコラボレーションの生産性を高めるように設計された製品群を提供しています。
共同創業者であるマイク・キャノン=ブルックス氏とスコット・ファーカー氏が同社を率いており、両者とも同社株式の大部分を保有しており、創業以来同社の方向性を形成してきました。
また、同社は、製品開発と買収の両方を通じて成長戦略を追求し、長年にわたって提供する製品を大幅に拡大してきました。
そして、同社が提供するソフトウェアは以下の通りです
Jira:プロジェクトおよび課題追跡ツール
Confluence:コンテンツコラボレーションプラットフォーム
Bitbucket:Gitリポジトリ管理ツール
Trello:ウェブベースのカンバン方式のリスト作成アプリ
Jira Service Management:ITサービス管理ツール
Jira Align:エンタープライズ向けアジャイル計画ソフトウェア
さらに、Future Market Insights, Inc.によると、プロジェクト管理ソフトウェア市場は、2024年には75億790万ドルの価値になると予測されています。この市場は2034年までに253億670万ドルに達すると見込まれており、2024年から2034年の予測期間中に年平均成長率(CAGR)12.9%で拡大することが期待されています。
また、Grand View Research, Inc.によれば、同様の成長軌道が見込まれており、2023年の市場規模は73億8,000万ドルとされています。予測では2030年には204億7,000万ドルに達するとされており、2023年から2030年の間に年平均成長率(CAGR)15.7%で成長すると見込まれています。
そして、2022年の世界のプロジェクト管理ソフトウェア市場の用途別内訳は以下の通りです。
プロジェクト管理ソフトウェア市場の主要プレイヤーは以下の通り:
オラクル(ORCL)
マイクロソフト(MSFT)
SAP SE(SAP)
サービスナウ(NOW)
アドビ(ADBE)
ブロードコム(AVGO)
Plainview
Planisware
Zoho
Teamwork.com
スマートシート(SMAR)
アサナ(ASAN)
マンデードットコム(MNDY)
LiquidPlanner
これらの企業は、スケジューリング、プランニング、リソース管理からコラボレーションやコミュニケーションツールに至るまで、多様なビジネスニーズに合わせた様々なプロジェクト管理ソリューションを提供しています。
アトラシアン(TEAM)取り巻くトレンドと成長要因
プロジェクト管理ソフトウェア市場は、いくつかの重要な成長要因によって牽引されています。
・拡張性と柔軟性に優れたクラウドベースのソリューション採用の増加。
・チーム内のリソース、プロジェクト・スケジューリング、コミュニケーションを効率的に管理するソフトウェアに対する需要の高まり。
・プロジェクト管理を一元化するための異種システムの統合と相互接続。
・意思決定に重要な情報を提供する自動化システムの機能に対するエンドユーザーの意識の高まり。
アトラシアン(TEAM)の最近の財務動向
アトラシアン(TEAM)の四半期別総売上高(水色の列:Total Revenues)は前四半期比で減少し、四半期別営業利益(青色の線:Operating Income)はマイナスに後退しています。
四半期別売上総利益 (水色の線:Gross Profit) も直近四半期の売上高と同様に減少しており、四半期別販売費および一般管理費(青色の線:Selling General & Admin Expenses. Total) は前四半期に引き続き増加しており、営業成績は悪化しています。
さらに、下記のチャートからも分かる通り、希薄化後一株当たり利益(EPS)も、直近四半期ではマイナスに大きく後退しています。
(上記グラフのデータはすべて百万USD単位・GAAPベース)
また、過去12ヶ月間で、同社の株価は29%下落したのに対し、iシェアーズ・エクスパンデッド・テクノロジー-ソフトウェアETF (IGV)は13.1%上昇しています。
アトラシアン(TEAM)のバリュエーション
以下は、アトラシアン(TEAM)に関連するバリュエーションの表です。
バリュエーション指標 | 値 |
EV(企業価値)/ 売上高倍率(予想) | 7.0 |
EV/EBITDA倍率(予想) | 30.1 |
株価売上高倍率(直近過去12か月) | 8.3 |
売上高成長率(予想) | 20.0% |
純利益率 | -6.9% |
EBITDAマージン | -0.9% |
時価総額 | $36,400,000 |
企業価値 | $35,310,000,000 |
営業キャッシュフロー | $1,450,000,000 |
実績EPS(直近過去12か月) | -$1.16 |
予想EPS | $3.20 |
一株当たりフリー・キャッシュフロー(直近過去12か月) | $5.46 |
また、40%ルールとは、ソフトウェア業界の経験則であり、売上高成長率と営業利益率の合計が40%以上であれば、その企業は、ソフトウェア企業として、許容できる成長と営業利益率の軌道に乗っていることを示すものです。
下表のように、同社の直近の調整前40%ルールの計算値は、2024年第2四半期決算時点で14.1%であったため、同社の業績は、売上高成長率の低下と営業利益率のマイナス幅の拡大により、若干悪化していることが分かります。
40%ルール・パフォーマンス(調整前) | 2024年第2四半期 | 2024年第4四半期 |
売上高成長率 | 21.9% | 20.0% |
営業利益率 | -4.6% | -5.9% |
合計 | 17.3% | 14.1% |
アトラシアン(TEAM)の今後の見通し
アトラシアン(TEAM)の直近の市場のアナリスト向け決算説明会における、経営陣の発言では次のポイントが強調されました。
売上高の成長
2024年度に44億ドルの売上高を上げ、顧客数は30万人を超えました。
顧客の維持率
年間で100万ドル以上を費やす顧客が500社を超え、前年比で48%の増加を記録しました。データセンターの顧客基盤は高い維持率を保っています。
キャッシュフロー
2024年度において、14億ドル以上のフリーキャッシュフローを生み出しました。
海外展開
米国の公共部門でのサポートにおける重要な節目として、FedRAMPの「In Process」認定を取得しました。
同社は、Jiraのスケーラビリティを向上させ、一つのインスタンスで最大5万人のユーザーをサポートできるようになり、6つの新しい地域でのデータ所在に取り組んでいます。
売上高見通しとトレンド
サーバー移行からの貢献の減少とマクロ経済の不確実性により、2025年度にはクラウド関連売上高の成長が鈍化すると予想しています。
同社の経営陣は、今後3年間で20%の年平均成長率を目指し、長期的な成長見通しに自信を持っています。
短期的には、マクロ経済の不確実性や市場進出戦略における実行リスクを認識しながらも、2026年度以降の成長加速に対しては楽観的な姿勢を維持しています。
今後の成長の原動力として、クラウドへの移行、有料ユーザーの拡大、クロスセル、アップセル、価格戦略、新規顧客の獲得が挙げられます。
さらに、最近のFedRAMP認定により、政府および関連分野での大きなビジネスチャンスが期待されています。
また、同社は、マーケット戦略の進化と、企業顧客との深いパートナーシップ構築に注力することで、長期的な成功をさらに推進していく考えです。
しかしながら、上述の通り、トップラインの売上高の成長は鈍化傾向にあり、営業利益率は悪化し、再び赤字へ転落したことを考慮すると、アトラシアンに対する私の見通しは「中立」としています。
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