強気テンパスAI【DeepSeek(ディープシーク)関連銘柄】ペロシ氏が注目のAI銘柄テンパスAI(TEM)の今後の株価見通しと将来性
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- 本稿では、アメリカの著名政治家であるナンシー・ペロシ氏が注目のAI関連銘柄であるテンパスAI(TEM)の詳細な分析を通じて、同社の今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- 中国スタートアップのDeepSeek(ディープシーク)が低コストのオープンソースAIモデルを発表し、AI市場の競争を激化させたことで、エヌビディアやオラクルなどの主要テクノロジー株が急落しています。
- 一方で、テンパスAIは、ゲノミクスやデータ提供を通じてがん治療を革新し、急成長するAI医療市場で有利な立場にあるものの、高い資本コストや市場競争がリスクとなっていましたが、DeepSeekの効率的なAI開発がテンパスAIに恩恵をもたらす可能性があると見ています。
はじめに
米国株式市場は日銀の利上げを無傷で乗り越えましたが、DeepSeek(ディープシーク)の新たな発表により、テクノロジー株が急落しています。さらに、今週後半にはFOMCが控えています。
これはまたしても市場の過剰反応なのでしょうか?
私の見方では、DeepSeekが示した進歩は、実際には一部のAI株にとって非常に強気の材料です。
本稿は直近執筆した下記の分析レポートの続編であり、米国の著名政治家ナンシー・ペロシ氏が注目する最新のAI投資の一つを深く掘り下げていきます。そこで、本稿への理解を深めるために下記の分析レポートも併せてご覧いただければと思います。
本稿で学べること:
・DeepSeekのニュースで米国株が売られている理由
・なぜ市場が間違っていると私が考えるのか
・この医療関連AI銘柄がどのように恩恵を受けるか
・ファンダメンタルズとテクニカルの詳細な分析
そして、次のマクロレポートでは、なぜ利下げが現在過小評価されていると私が考える理由を詳しく説明しますので、お楽しみに!
それでは詳細に入っていきましょう!
DeepSeek(ディープシーク)による米国株急落の理由
中国のスタートアップ企業DeepSeekが低コストのオープンソースAIモデルを発表し、西側のテクノロジー大手の支配に挑戦したことで、テクノロジー株は急落しました。DeepSeekのアシスタントは、600万ドル未満で開発されたと報告されており、エヌビディア(NVDA)やOpenAIなどの企業が提供する高価なAIモデルに比べて安価な代替手段を提供しています。これにより、AIへの高額な投資水準の持続可能性に対する懸念が高まりました。
これを受けてエヌビディアの株価は10%下落し、オラクル(ORCL)は8%、パランティア・テクノロジーズ(PLTR)は7%下落しました。ナスダック100先物はほぼ4%下落し、ASML(ASML)やソフトバンクを含む世界中のAI関連企業も軒並み下落しています。
中国のAI攻勢がテック株に打撃
中国のスタートアップDeepSeekが、OpenAIのChatGPTに対抗する無料のオープンソースAIモデルを発表し、テック業界に大きな衝撃を与えています。
(出所:Reuters)
中国のスタートアップ企業DeepSeekが、OpenAIのChatGPTに対抗する無料のオープンソースAIモデルを発表したことで、テクノロジーセクターが打撃を受けています。DeepSeekの成功は、App Storeのダウンロード数でChatGPTを上回り、AIの「スプートニク・モーメント」と呼ばれています。市場のアナリストは、これによりユーザーのAIコストが低下する可能性があると指摘する一方、主要企業の巨額の資本支出に疑問を投げかけています。AIに対する楽観論によりテクノロジー株の評価額は天井知らずでしたが、DeepSeekのブレークスルーにより、グローバル競争力の変化や西側企業の市場支配力の再評価に対する懸念が浮上しています。
市場は間違っている?
DeepSeekの台頭は、限られたリソースでも画期的なAIを実現できることを証明し、米国株式市場を中心にテクノロジーセクターを揺るがしています。
OpenAIのような西側企業がAIモデルに数億ドルを費やす一方、DeepSeekはその主力モデルをわずか560万ドルでトレーニングしました。効率を重視したアプローチとオープンソース開発により、世界的な採用が進み、AI市場を混乱させ、テクノロジー大手の高額投資戦略の持続可能性に疑問を投げかけています。
確かに、表面的には、エヌビディアやASMLのような「つるはしとシャベル」企業にとっては悪いニュースかもしれません。
因みに、「つるはしとシャベル企業」とは、特定の市場やブームにおいて、実際にその市場の中核となる製品やサービスを提供するのではなく、その市場を支える基盤的なツールやサービスを提供する企業を指します。
しかし、アルファベット(GOOGL)やメタ・プラットフォームズ(META)のような企業にとっては、それほど悪いニュースなのでしょうか?私の見解では、DeepSeekの開発はAIのすべての利点を実現するための一歩前進であり、これらの大手テクノロジー企業の多くは依然として大きな恩恵を受ける可能性があります。
さらに、以下で議論するような、より小さく専門的なAI企業は、さらに大きな恩恵を受ける可能性があります。
次のセクションでは、注目のAI関連銘柄であるテンパスAI(TEM)を下記の観点から詳細に分析していきます:
・製品とファンダメンタルズ
・市場機会・バリュエーション
・テクニカル分析
・リスク
私は同社を、私が運用するポートフォリオの1つである、市場を上回るパフォーマンスを目指す「YOLOポートフォリオ」に追加することにしました。
テンパスAI(TEM):DeepSeekの恩恵を受ける企業
先週、米国の著名政治家であるナンシー・ペロシ氏がテンパスAI(TEM)株を保有していることを明らかにしたため、同社株式について簡単に取り上げました。すでに非常に強気のサインが示されているように見えますが、もちろん、独自のデューデリジェンスを実施することは依然として重要です。
上述の前回のレポートでは、同社が何をしているかを簡単に説明しましたが、今回は同社の製品、歴史、バリュエーション、そしてリスクに応じたエクスポージャーの得方について深く掘り下げていきます。
テンパスAI(TEM)の製品
テンパスAI(TEM)には、AIを活用してがん治療と臨床研究を変革する3つの主要な製品ラインがあります。以下に概要を示します:
ゲノミクス
この製品は、診断テストを実行してがん治療を個別化することに焦点を当てています。テンパスAIは、類似のプロファイルを持つ患者に対して治療法をマッチングし、結果を比較することで、よりターゲットを絞った治療を可能にします。同社はこれらのテストに対して保険会社または支払者に直接請求します。ゲノミクステストは、2024年第3四半期に約7000万ドルの売上を計上し、同社の最大の収益源となっています。
データ
データ製品は、テンパスAIの膨大なリアルタイム臨床データのリポジトリをライセンス提供します。これにより、バイオファーマパートナーが臨床研究プロジェクトのための患者を特定し、薬剤開発と精密医療の進展を可能にします。このセグメントは第3四半期に6500万ドルの売上を生み出し、バイオファーマリーダーとのパートナーシップを支えています。
アプリケーション
テンパスAIのアプリケーションプラットフォームは、プロバイダーと患者をほぼリアルタイムで臨床試験に接続し、ケアのギャップを特定します。これにより、患者が最適な治療計画に乗っていることを保証し、医療提供を支援します。このセグメントには大きな可能性がありますが、米国の医療システムにおける償還の課題が成長を制限しています。
Stargate Projectのがんワクチン研究のようなAIを活用した医療への最近の推進は、テンパスAIがその影響力を拡大し、AIを活用した医療ブレークスルーからの恩恵を受ける長期的な可能性を強調しています。
また、直近、ドナルド・トランプ新大統領から発表されたStargate Projectの詳細に関しては、インベストリンゴの半導体・テクノロジー担当のウィリアム・ キーティング氏が下記の詳細な分析レポートを執筆しておりますので、併せてご覧いただければと思います。
テンパスAI(TEM)の2024年と最近の動向
テンパスAI(TEM)は、2024年第4四半期に35%の収益成長を達成し、2億ドルを記録しました。ゲノミクス部門は30%成長し、データとサービスは45%増加し、主にデータライセンスによって牽引されました。同社は、調整後EBITDAのガイダンスである-1億500万ドルを達成し、2023年から5000万ドル改善しました。
大きな進展として、同社はAmbry Geneticsを6億ドルで買収しました(現金、株式、債務による)。Ambryの遺伝子スクリーニングへの焦点は、同社の戦略と一致し、早期発見から再発モニタリングまでのオンコロジーケアの提供を強化します。Ambryの25%の成長率と収益性は、同社の運営と財務を強化します。
商業面では、同社はメルク (MRK)との3年間のデータライセンスを更新し、武田薬品やビオンテック(BNTX)とのパートナーシップを拡大し、総契約額を9億ドル以上に増やしました。同社はまた、60人の営業担当者を追加し、バイオマーカーと治療分析のために2,500以上の機関と接続するAIプラットフォームを活用して、リーチを強化しています。
テンパスAI(TEM)の財務パフォーマンス
テンパスAI(TEM)の財務は、急速な成長を示す一方で、バランスシートの課題も浮き彫りにしています:
・2024年第3四半期の売上高:1億8090万ドル(前年同期比33%増)
・調整後EBITDA:-2180万ドル(前年同期の-3620万ドルから改善)
・粗利益率:大幅に拡大し、EBITDAの改善に貢献
(出所:Alphaspread)
テンパスAI(TEM)のバランスシート
・負債対資産比率:45%(買収と継続的なキャッシュバーンをバランスさせる同社の財務状況を示している)
・資本調達リスク:株価が50ドル近辺にあるため、資本調達の余地はあるが、株価の下落は財務的負担を増幅する可能性がある
(出所:Alphaspread)
テンパスAI(TEM)の市場機会
テンパスAI(TEM)は、2024年から2032年までの間に43%の年平均成長率(CAGR)で拡大すると予想される急成長中のAI医療市場において、有利なポジションにあるように見えます。北米は現在この市場の45%を占めており、同社は2024年に7億ドルの収益を生み出し、3.5%の市場シェアを獲得する見込みです。堅調な成長戦略により、同社は2032年までに60億~90億ドルの年間収益を達成し、3~4.5%の市場シェアを維持する可能性があります。
北米ヘルスケア分野における人工知能(AI)市場規模 2019年~2032年 (単位:10億米ドル)
(出所:Fortune Business Insights)
テンパスAI(TEM)の競争優位性
テンパスAI(TEM)は、200ペタバイト以上の臨床データと271の特許を活用し、競合他社に対して大きなリードを築いています。NEXT、TIME、ALGOSなどの革新的な製品は、医療における重要な非効率性に対処し、診断を合理化し、臨床試験の募集を最適化し、ケアのギャップを埋めています。これらの提供により、2,500以上の機関との統合と拡大する採用基盤に支えられた強力な経済的堀が形成されています。
テンパスAI(TEM)がDeepSeekから恩恵を受ける理由
テンパスAI(TEM)のような企業は、DeepSeekのイノベーションから大きな恩恵を受ける可能性があります。特に、コスト効率やアクセス性、スケーラビリティが重要な分野で事業を展開している場合、その効果は顕著でしょう。以下にその理由を示します。
1. AI開発コストの削減
DeepSeekの効率的なトレーニングアプローチにより、高性能AIモデルの作成に対する財政的障壁が低くなります。テンパスAIはDeepSeekのオープンソース技術を採用し、競争力のある結果を達成しながらR&D費用を削減し、製品開発と市場拡大により多くのリソースを割り当てることができる可能性があります。
2. より速いイノベーションサイクル
DeepSeekのオープンソース哲学により、テンパスAIは最先端のAIフレームワークとツールにアクセスできます。これにより、新しいAI製品やソリューションの市場投入までの時間を短縮し、競争優位性を提供できる可能性があります。
3. グローバル市場拡大
DeepSeekの手頃な価格により、テンパスAIはアジア、アフリカ、ラテンアメリカなどのコストに敏感な市場に参入できる可能性があります。これにより、以前は高額なAIソリューションを購入できなかった顧客に提供を拡大できる可能性があります。
4. 強化されたコラボレーション
DeepSeekのオープンソース性質は、グローバルエコシステム内でのコラボレーションを促進します。テンパスAIは、他の開発者や研究者の貢献を活用して、モデルを改良したり、ニッチなソリューションに統合したりできる可能性があります。
5. より広範なユースケースへのアクセス
DeepSeekの技術は非常に汎用性が高く、医療から気候ソリューションまで幅広い産業に適用できます。テンパスAIがニッチなアプリケーションに焦点を当てる場合、特定のクライアントニーズに効率的に対応するためにDeepSeekの技術をカスタマイズできる可能性があります。
テンパスAI(TEM)のバリュエーション
(出所:Seeking Alpha)
テンパスAI(TEM)のバリュエーションは、同業他社のバリュエーションと一致しており、同社は他の企業よりも優れたパフォーマンスを発揮しているようです。
テンパスAI(TEM)のテクニカル分析
上場後のデータが限られているチャートでテクニカル分析を行うのは難しいですが、テンパスAI(TEM)は上昇への勢いを開始したように見えます。
(出所:TrendSpider)
現在、RSIとMACDが下降しており、下のサポートを再テストする可能性が高いです。
注目すべき重要なエリアは、61.8%のリトレースメントである41ドルです。そして、40ドル前後はバリュエーションに基づいても良い買い場であるように見えます。
テンパスAI(TEM)を取り巻くリスク
テンパスAI(TEM)への投資には注目すべきリスクがあります。同社は資本集約的なセクターで活動しており、高いR&Dおよび運営コストにより一貫したキャッシュバーンが発生しています。
負債対資産比率が45%であることは、バランスシートが逼迫していることを示しており、市場の低迷や金利上昇に対して脆弱です。さらに、米国の医療システムにおけるAI診断の採用が遅いため、償還の課題が収益成長を制約する可能性があります。
Flatiron Healthのような競合他社からの市場競争が激化しており、データライセンス契約への依存により収益がある程度集中しています。最後に、マクロ経済の変化やゲノミクスやアプリケーションなどの主要分野での不振は、その野心的な成長予測を混乱させる可能性があります。
テンパスAI(TEM)に対する結論
テンパスAI(TEM)は、急速に拡大するAI医療セクターにおいて魅力的な機会を提供しているように見えます。そして、ゲノミクス、データ、アプリケーションなどの革新的な製品により、がん治療と臨床研究を変革するポジションにあると考えています。
同社の強力なデータリポジトリ、パートナーシップ、日本での合弁事業などの国際的な取り組みは、持続的な成長の可能性を強調しています。しかし、同社は、逼迫したバランスシートや米国の医療システムの遅いAI採用への依存など、重要なリスクにも直面しています。
バリュエーションは同業他社と一致していますが、強力なファンダメンタルズと40ドル前後のテクニカルサポートにより、リスク許容度の高い投資家にとって魅力的な投資対象であるように見えます。同社が野心的な目標を実現するためには、継続的な実行が重要でしょう。
私は同社株式のYOLOポートフォリオへの追加投資を実施する予定であり、価格が40ドルに近づく(下落する)につれ、平均取得価格を引き下げる(押し目買い)ことも検討しています。
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