11/17/2024

TSMC(TSM)株価の今後の見通しは良好?最新の2024年度第3四半期決算分析を通じて将来性に迫る!

city skyline under blue sky and white clouds during daytimeイアニス・ ゾルンパノスイアニス・ ゾルンパノス
  • 本稿では、タイワン・セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM:TSMC・予想配当利回り1.49%・配当性向35%・1株当たり配当金0.694165ドル)の2024年10月17日に発表された最新の2024年度第3四半期決算と同社の財務パフォーマンスを詳細に分析していきます。 
  • そして、それらの分析を通じて、同社の目標株価、並びに、今後の株価見通しと将来性を詳細に解説していきます。
  • タイワン・セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSMC)は、世界最大の専業半導体ファウンドリ企業で、アップルやエヌビディアなどの大手顧客を持ち、最先端のプロセス技術を活用した強固な競争力を有しています。 
  • 財務面では、堅実な収益成長と高い営業利益率を維持し、ROICがWACCを上回ることで資本効率の高さを示していますが、現在の株価は割高とされ、安全マージンも不十分です。 
  • TSMCの配当利回りは1.49%と控えめですが、配当性向が低く持続可能であり、今後も配当成長が期待されています。

タイワン・セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM:TSMC)の概要


バリュエーション:やや割高

リスクレベル:中リスク


セクター:半導体

現在の株価:186ドル

時価総額8250.2ドル

弊社算出の一株当たり本質的価値:141.72ドル

安全余裕率(マージン):-31.24%

過去5年間の配当成長率:4.30%

次回配当落ち日:2024年12月12日

次回配当支払い日:2024年1月9日

予想配当利回り:1.49%

過去5年間の売上高成長率:19.10%

過去10年間の売上高成長率:13.00%


関連用語

安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。

売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。


足元の株価推移

(出所:筆者作成)

タイワン・セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM:TSMC・予想配当利回り1.49%・配当性向35%・1株当たり配当金0.694165ドル)は、台湾・新竹市に本社を置く、世界最大の専業半導体ファウンドリ企業です。

同社は1987年にフィリップス、台湾政府、民間投資家の共同出資で設立され、1997年には米国でADRとして上場しました。

TSMCは、アップル(AAPL)、AMD(AMD)、エヌビディア(NVDA)など一流企業を顧客に抱え、最先端のプロセス技術を駆使したチップ製造を行っており、業界シェアは60%以上を占める圧倒的な存在感を誇ります。

TSMCのユニークな特徴は、専業ファウンドリとしての規模と技術力にあります。

同社は最新の半導体プロセス技術を開発し、ファブレスモデル(設計のみ行い製造は外部委託)の普及に伴い、製造パートナーとしての地位を強固にしています。

特に5nmや3nmといった最先端の製造技術においては、他の追随を許さないリーダーシップを発揮しており、競争の激しい業界においても堅実な営業利益率を確保しています。

財務面でも、TSMCは堅調な成長を続けています。

過去5年間の売上成長率は19.1%、過去10年では13.0%と高い成長を示し、営業利益率も業界トップクラスです。

同社の予想配当利回りは1.49%と比較的低いものの、配当性向は低く抑えられており、安定的な配当支払いを維持しています。

2024年の配当権利落ち日は12月12日、配当支払日は2025年1月9日です。

そして、同社は20241017日に2024年第3四半期決算を発表しており、下記では同社の最新の決算と財務パフォーマンスを詳しく解説していきます。

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タイワン・セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM:TSMC)の最新の2024年度第4四半期決算発表に関して

タイワン・セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM:TSMC)20241017日に発表された、最新の2024年度第3四半期決算発表では、非経常損益項目を除くベースでのEPSは1.963ドルを記録し、第2四半期の1.476ドルから33%の増加を見せており、また、前年同期の1.27ドルから54.6%も成長しています。

一方で、長期的なパフォーマンスを見ると、下記のチャートからも分かる通り、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は23.80%、過去10年間の年平均成長率は15.90%となっており、長期的にも力強い成長を示しています。

半導体業界の予測によると、今後10年間で市場は年率7~9%成長するとされ、さまざまな分野で高度なチップへの需要が引き続き見込まれています。

同社の今期の粗利益率は54.45%で、過去5年の中央値である53.10%をやや上回っており、運営効率やコスト管理の良好さが伺えますが、過去10年の最高値である59.56%には届いていません。

また、今後の成長は、強い需要予測と技術革新に支えられており、市場のアナリストは同社の来年度のEPSを5.322ドル、その次年度を7.112ドルと予想しています。

売上高に関しては、2024年は895億8,367万ドル、2025年には1,126億2,038万ドルと予測され、引き続き明るい見通しです。

次回の決算発表は2025年1月17日を予定しており、同社の今後の業績や戦略についてさらなる情報が得られるでしょう。

非経常損益項目を除くベースでのEPS

(年間ベース:直近4四半期の合計値

(出所:筆者作成)


関連用語

EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。

非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。

希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。

1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。

粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。

自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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タイワン・セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM:TSMC)の財務パフォーマンスに関して

タイワン・セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM:TSMC)の財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)と株主資本利益率(ROE)の観点から分析していきます。

同社は、全体として、優れた財務パフォーマンスと価値創造力を発揮しています。

下記のチャートからも分かる通り、ROICとWACCを比較すると、同社は一貫してプラスの経済価値を生み出していることが明らかです。

過去5年のROICの中央値は28.56%で、WACCの中央値である10.76%を大きく上回っています。

この差は、同社が資本コストをはるかに超えるリターンを生み出していることを示しており、資本効率の高さと優れた運営力を表しています。

最新のデータでも、同社はROICが28.32%、WACCが13.01%という強力な数字を維持しており、株主価値の創出能力が確認できます。

また、ROEも高く、過去5年の中央値が29.62%、現在のROEが28.91%と、株主資本に対して高いリターンを継続して実現していることが分かります。

これらの指標から、同社は高い収益性と戦略的な資本管理により経済価値を提供し続け、半導体業界での競争優位を維持しているリーダー企業であることがうかがえます。

投下資本利益率(ROIC)加重平均資本コスト(WACC)の比較

(出所:筆者作成)


関連用語

総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。

自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。

投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。

ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。

加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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タイワン・セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM:TSMC)の配当に関して

タイワン・セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM:TSMC)は、安定した配当成長を続けており、過去5年間の平均成長率は4.30%、直近3年間では4.80%と堅調です。

ただし、予想配当利回りは1.49%で、過去10年の中央値である2.76%と比べると低く、過去と比べて現在の予想配当利回りが相対的に低い状況です。

一方で、配当性向は35%で、過去10年の最高値である100%以上を大きく下回り、現在はより持続可能な水準となっています。

また、EBITDA有利子負債倍率は0.57倍で、業界基準である2.0を大きく下回り、債務返済能力が高く、財務リスクが低いことが示されています。

基本的には、EBITDA有利子負債倍率は2倍以下であれば財務リスクが低く、4倍以上であれば財務リスクが高いことを示すとされています。

さらに、今後3~5年の配当成長率は17.50%と予測されており、将来の成長も期待されています。

次回の配当権利落ち日は四半期ごとに設定されており、2025年3月18日が予定されています。

全体的に、同社は堅実な財務基盤と配当方針により、業界内での競争力をしっかりと維持しています。

予想配当利回り1.49%

配当性向35%

配当カバレッジ・レシオ:2.87倍

過去5年間の配当成長率 4.30%

EBITDA有利子負債倍率0.57

DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金

(出所:筆者作成)

Dividend Yield:予想配当利回り

(出所:筆者作成)

Dividend Payout:配当性向

(出所:筆者作成)


関連用語

1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。

配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。

予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。

配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。

EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。

配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。

配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。

配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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タイワン・セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM:TSMC)のバリュエーションに関して

タイワン・セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM:TSMC)の現在の株価は186.01ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である141.72ドルよりもわずかに高い水準にあり、安全余裕率(マージン)が-31.25%となっていることから、割高である可能性が示唆されています。

一方で、予想PERは23.02倍で、直近の実績PERの25.87倍より低いものの、過去10年の中央値である17.44倍を上回っており、現在の市場期待が過去の水準よりも高いことが分かります。

さらに、株価売上高倍率(PSR)は10.12倍で、過去10年の中央値である6.39倍を大きく上回り、売上高に対しても通常より高い評価がされています。

加えて、直近のEV/EBITDA倍率は15.6倍で、過去10年の中央値である8.71倍を大幅に上回っており、利益に対する評価も高めです。

また、株価フリーキャッシュフロー倍率(P/FCF)は37.73倍で、過去10年の中央値である32.61倍を超えていますが、過去10年の最高値である94.58と比べると抑えられた水準ではあると言えます。

そして、PBRは6.78倍で、過去10年の最高値である9.21倍を下回っていますが、過去10年の中央値である4.35倍よりは高く、純資産に対してもプレミアムがついています。

ただし、市場のアナリストの評価は堅調で、平均の目標株価はここ3か月で199.75ドルから217.81ドルに上昇し、強気な見方が反映されています。

しかし、これらのバリュエーション指標を見る限り、同社の株価は歴史的な平均に対して割高であり、安全マージンは十分に確保されていません。

投資家は、この強気なアナリスト見解や市場の状況を踏まえつつ、現在の株価バリュエーションに対して慎重に判断をする必要があるでしょう。

(出所:筆者作成)


上記グラフにおける関連用語

Price:現在の株価

Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値

DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価

DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価

Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価

Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価

赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値


関連用語

実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。

株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。

株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。

EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。

PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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タイワン・セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM:TSMC)のリスクとリターンに関して

タイワン・セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM:TSMC)のリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。

全体として、同社はリスクと魅力が交差する独特なプロファイルを持っています。

まずマイナス面では、同社は過去3年間で3,421億台湾ドルの長期債務を発行し、債務水準は許容範囲内に収まっていますが、増加傾向が見られます。

また、総資産は年平均23.8%の成長を遂げているものの、売上成長率の19.1%を上回っており、効率性の低下が懸念される状況です。

さらに、株価は過去10年の最高値付近にあり、株価売上高倍率(PSR)は過去3年間の高水準、予想配当利回りは10年ぶりの低水準にあるため、割高感や配当面での魅力の低さが指摘されています。

一方で、それでもなお、同社には多くの強みがあります。

まず、財務の健全性を示すピオトロスキーのFスコアは7と高く、利子支払能力も優れており、債務管理が安定していることが示唆されています。

また、ベニッシュのMスコアが-2.19で、利益操作のリスクは低いとされ、営業利益率の高さからも運営効率の良さがうかがえます。

さらに、収益と利益の成長は安定しており、アルトマンのZスコアも8.81と高く、財務面での強靭さが確認できます。

総合すると、効率性や割高感に関する課題はあるものの、同社は強固な財務基盤と成長ポテンシャルを持ち、長期的な投資先として大きな魅力を備えているように見えます。


関連用語

財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。

アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。

ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。

ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。

インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、2倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の2倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。

ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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タイワン・セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM:TSMC)の流動性に関して

タイワン・セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM:TSMC)は、日々の出来高から流動性が非常に高いことが分かります。

直近営業日の出来高は9,299,381株で、市場での大きな存在感を維持していますが、直近2か月の平均日次出来高である14,248,386株を下回り、やや減少傾向にあります。

また、同社のダークプール指数(DPI)は46.07%で、全取引量の約半数が非公開市場で行われていることを示しています。

このDPIは、同社の取引の多くが公開市場外で実施されており、価格の形成や市場の透明性に影響を与える可能性があることを意味します。

総じて、同社は高い流動性を持ちながらも、最近の出来高は平均をやや下回っています。

また、ダークプールでの取引が大きな割合を占めているため、価格変動や市場の見通しにどのような影響が出るか、投資家は注視する必要があるでしょう。

また、インベストリンゴの半導体セクターのアナリストであるダグラス・ オローリン氏も、最新の決算後にTSMCに関する下記のレポートを執筆しておりますので、是非、インベストリンゴのプラットフォーム上より、ご覧いただければと思います。

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さらに、インベストリンゴの半導体セクターのアナリストであるウィリアム・ キーティング氏も、最新の決算後にTSMCに関する下記のレポートを執筆しておりますので、是非、インベストリンゴのプラットフォーム上より、ご覧いただければと思います。

TSMC(TSM)株は買い時?最新の2024年第3四半期決算分析を通じて、今後の株価見通しに迫る!

その他のTSMC(TSM)に関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、TSMCのページにアクセスしていただければと思います。

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関連用語

ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。

ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。


アナリスト紹介:イアニス・ゾルンパノス氏

📍バリュー・インカム担当

ゾルンパノス氏のその他の配当関連のレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、ゾルンパノス氏のプロフィールページにアクセスしていただければと思います。


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