11/28/2023

やや強気
ザイレム
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ザイレム / XYL / 予想配当利回り1.3% / 強気:連続増配の公益事業株の株価分析と今後の見通し(前編)

pouring water on person's handsヴェンカット・ ラガーヴァンヴェンカット・ ラガーヴァン
  • 水は地球上の生命にとって最も重要な化合物のひとつである。
  • 淡水へのアクセスは限られており、その利用可能性の拡大に焦点を当てたビジネスは、素晴らしい長期投資となる。
  • このレポートでは、配当金を増やし続けている水関連テクノロジー企業、ザイレム(XYL:予想配当利回り1.3%)について説明したい。

はじめに

水は、私たちの日常生活において極めて重要な役割を果たす基本的な資源であり、世界経済の成長を牽引する不可欠な天然資源である。

また、化学的にはH2Oとして知られるこの化合物は、製造業にとって極めて重要な要素である。

半導体チップの製造には大量の純水が必要であり、データセンターの冷却には水が欠かせない。

レストランや病院も、綺麗な水がなければ営業できない。

最も重要なことは、人体は3日以上水がなければ生きていけないということだ。

「井戸が枯れれば、水の価値がわかる」

ベンジャミン・フランクリン、アメリカ建国の父の一人

地球の75%以上が水域に覆われているにもかかわらず、利用可能な淡水は全体の1%未満であり、帯水層の枯渇、汚染の増加、気候変動の影響などの要因により、これらの供給が脅かされているのが現状である。

人口増加、工業の拡大、農業の発展が淡水の需要を高めており、総消費量は20年ごとに倍増すると推定されている。

水は人類にとって不可欠な化合物であり、持続可能な投資機会の中心を形成している。

そこで、私の一押しの銘柄をご紹介したい。

ザイレム(年間予想配当利回り:1.3%)

ザイレム(XYL)は、2022年度に世界150カ国で55億ドルの売上を上げ、世界で17,800人の従業員を擁する世界有数の水関連テクノロジー企業である。

同社は、主に水分野だけでなく、エネルギー分野など幅広い重要な用途において、高度に設計された製品やソリューションを設計、製造、提供している。

同社は、市場をリードするブランドのポートフォリオを所有しており、その中には100年以上の歴史を持つものもある。

また、直販部隊と独立系パートナーを擁するグローバルな販売網を持ち、世界中の顧客にサービスを提供している。

最も重要なことは、同社が広範な設置基盤を持ち、定期的なメンテナンス、修理、サービスから安定した収益を得ていることである。

更に、同社の普通株式は、S&P500指数の構成銘柄でもある。

2023年5月、同社は、全て株式による取引で、75億ドルと評価されるEvoqua Water Technologies Corpを買収した。

ザイレム自体の時価総額は240億ドルであるため、これは株主にとって大きな希薄化を意味する。

同社の株価は、投資家間での、同買収に伴う希薄化に対する懸念に加え、Evoquaの資産に対する過剰な支払いへの懸念から、買収発表前の価格より12%ほど低い水準で取引されている。

しかし、新生ザイレムは世界最大の水関連テクノロジー企業であり、3年間で1億4,000万ドルのコスト・シナジーが見込まれる。

ザイレムは、第3四半期の売上高を21億ドル(前年同期比52.2%増)とし、2023年度の売上高ガイダンスを73億ドル(前年同期比32%増)、調整後EBITDAマージンを19%に引き上げた。

また、2023年度の調整後1株当たり利益のガイダンス・レンジは3.71~3.73ドル(前回の3.50~3.70ドルから引き上げ)とした。

株価の動きにもかかわらず、私たちはザイレムの実行力に加え、売上高と収益性の成長が順調であると見ている。

25倍のフォワードPERでは、ザイレムは割安株とは言えない。

しかし、同社の2桁の収益成長と、期待される不況時のレジリエンスは、この割高な評価に値すると考える。

同社の配当は1.3%と低く見えるかもしれないが、支払額は11年連続で毎年増加している。

1株当たり0.33ドルの四半期配当は配当性向35%であり、今後も増配を続ける十分な余地があることを示している。

2022年度の普通株配当2億1,700万ドルは、3億8,800万ドルのフリー・キャッシュ・フローを踏まえると、十分なカバレッジを享受していることが分かり、同社に将来の成長プロジェクトに向けた研究や投資のための健全な予備資金が残されていることが分かる。

同社は14%という低いレバレッジ比率を維持し、EBITDA有利子負債倍率は1.2倍である。

同社は投資適格BBBの格付けを維持しており、予測可能な経常収益も確保している。

これにより、10億ドルのプロジェクト受注残を着実に実行し、世界の水消費効率を高める改良技術を提供するという重要な使命を継続的に担うことができる。

※続きは「ウェイスト・マネジメント / WM / 予想配当利回り1.6% / 中立:連続増配の公益事業株の株価分析と今後の見通し(後編)」をご覧ください。