中立ズーム・ビデオ・コミュニケーションズズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)中立:2025年1Q決算速報・財務&優位性分析と今後の株価見通し・将来性
ドノヴァン・ ジョーンズ- ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)はビデオとコラボレーションツールを世界中に提供しているテクノロジー企業である。
- 同社は2024年5月20日に2025年第1四半期決算を発表し、トップライン売上高の成長率は失速し、収益の伸びも止まっている。
- そのため、経営陣が収益を増やしながら、意味のあるトップライン売上高の成長を再び実現できるまで、私の同社に対する見通しは「中立」としている。
ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)について
ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)は、オンラインビデオ関連のコミュニケーション・ソフトウェアとサービスをグローバルに提供しているテクノロジー企業である。
同社は2024年5月20日に2025年第1四半期決算を発表し、売上高、利益ともにコンセンサス予想を上回った。
但し、同社の売上高は伸び悩み始めており、収益も伸び悩んでいるため、経営陣が売上高を増やしながら収益の伸びを再開させるまで、私の同社に対する見通しは「中立」としている。
ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)の概要と市場
カリフォルニア州サンノゼを拠点とするズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)は、オンラインビデオを通じてチームや人々を結びつけるより良い方法を提供するために2011年に設立された。
経営陣は、シスコ・システムズ(CSCO)でエンジニアリング担当副社長を務めていた創業者兼CEOのエリック・ユアン氏が率いている。
ズーム・ビデオ・コミュニケーションズの主力製品はZoom MeetingsとZoom Roomsである。
そして、Zoom Meetingsは、ユーザーがビデオ会議を開催するための全機能を備えていると言える。
Global Market Insightsの2018年市場調査報告書によると 、ビデオ会議の世界市場は2024年までに200億ドルを超えると予想されている。
これは2018年から2024年までの年平均成長率10%に相当する。
この期待成長を促進する主な要素には、企業アプリケーションからの需要が含まれ、成長の65%を占めると予測されている。
そして、ビデオ会議ソリューション(ハードウェアまたはソフトウェア)を提供する主なベンダーは以下の通りである。
ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)の最近の財務動向
ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)の四半期別総売上高(青色の列:Total Revenues)は最近の四半期ではわずかな伸びにとどまっているが、四半期別営業利益(青色の線:Operating Income)は直近の期間で著しく増加している。
一方で、四半期別売上総利益(青色の列:Gross Profit)は直近四半期で減少、さらに、四半期別販売費および一般管理費(青色の線:Selling General & Admin Expenses. Total)は大幅に減少し、営業レバレッジが増加している。
しかし、希薄化後1株当たり利益(EPS)は、直近四半期で失速したように見えるものの、過去5四半期で増加傾向にある。
(上記グラフのデータはすべて百万USD単位・GAAPベース)
また、過去12ヶ月で、同社の株価は5.5%下落したのに対し、iシェアーズ・エクスパンデッド・テクノロジー-ソフトウェアETF(IGV)は24.4%上昇している。
ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)のバリュエーション
以下は、ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)に関連するバリュエーションの表である。
バリュエーション指標 | 値 |
企業価値 / 売上高(予想) | 2.5 |
企業価値 / EBITDA(予想) | 6.3 |
株価売上高倍率(直近過去12か月) | 4.1 |
売上高成長率(予想) | 3.0% |
純利益率 | 18.4% |
EBITDAマージン | 18.1% |
時価総額 | $18,970,000,000 |
企業価値 | $11,660,000,000 |
営業キャッシュフロー | $1,770,000,000 |
実績EPS(直近過去12か月) | $2.69 |
予想EPS(FWD) | $5.07 |
一株当たりフリー・キャッシュフロー(直近過去12か月) | $5.41 |
また、40%ルールとは、ソフトウェア業界の経験則であり、売上高成長率と営業利益率の合計が40%以上であれば、その企業は、ソフトウェア企業として、許容できる成長と営業利益率の軌道に乗っていることを示すものである。
下表のように、同社の直近の調整前40%ルールの計算値は、2025年第1四半期決算時点で20.8%に改善しているが、この点においては更なる改善が必要であると言える。
40%ルール・パフォーマンス(調整前) | 2024年第3四半期 | 2025年第1四半期 |
売上高成長率 | 3.5% | 3.0% |
営業利益率 | 14.9% | 17.8% |
合計 | 18.4% | 20.8% |
ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)の見通し
アナリストとの直近の決算説明会議では、ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)の経営陣の準備発言として以下の点が強調されている。
売上高
2025年度第1四半期の総売上高は前年同期比3%増の11億4,100万ドルで、ガイダンスを1,600万ドル上回った。
企業向け売上高は前年同期比5%増で、総売上高の58%を占め、前年同期の57%から増加した。Zoom Contact Centerの成長率は前年同期比246%に達し、90社の顧客がARRで10万ドル以上に貢献した。
受注残
RPO(残存履行義務)は前年同期比5%増の約36億7,000万ドルで、59%が今後12カ月以内に売上高として認識される見込み。
2025年度第1四半期末の繰延収益は13億5,000万ドルで、前年同期比1%減少したが、予想よりは良好であった。
費用または経費
2025年度第1四半期のNon-GAAPベースの売上総利益率は79.3%で、AIイノベーションへの投資により昨年の80.5%を若干下回った。
Non-GAAPベースの営業利益は前年同期比8%増の4億5,700万ドルで、Non-GAAPベースの営業利益率は40%となり、昨年の38.2%から上昇した。第2四半期にはデータセンターのアップグレードのための1回限りの投資が見込まれ、売上総利益率は78%に低下する。
キャッシュフロー
営業キャッシュフローは前年比41%増の5億8800万ドル、フリー・キャッシュフローは44%増の5億7000万ドル。キャッシュフロー・マージンはそれぞれ51.5%と49.9%に拡大した。
この急増は、回収の強化、的を絞った経費管理、受取利息の増加によるものである。
貸借対照表
2025年度第1四半期末の現金、現金同等物、有価証券の残高は、制限付き現金を除き74億ドルであった。同社は15億ドルの自社株買い計画を承認し、第1四半期に1億5,000万ドルを購入した。
海外事業
米州の売上は前年同期比4%増。EMEA(欧州・中東・アフリカ)の売上は2%増、APACの売上は日本とオーストラリアの為替逆風により2%減。
売上高ガイダンスとトレンド
2025年度第2四半期の売上高は11億4,500万ドルから11億5,000万ドルの範囲で、前年同期比約1%の成長を見込んでいる。
Non-GAAPベースの営業利益は4億1,500万ドルから4億2,000万ドルと予想。
2025年会計年度については、売上高は前年比2%増の46億1,000万ドルから46億2,000万ドル、Non-GAAPベースの営業利益は17億4,000万ドルから17億5,000万ドルを見込んでいる。
経営陣は、2025年度第2四半期が前年同期比成長率の最低点となり、2025年度後半に改善が見込まれると予想している。
前四半期は、オンライン解約率が安定しており、企業の顧客維持も堅調であったため、価格圧力は大きな問題ではなかった。
また、同社は、コンタクトセンターや、大企業との取引を誘致しているWorkvivoのような新興製品に勢いがあると述べている。
さらに、チャネル・パートナーシップは強化され、チャネル獲得数の大幅な増加と大型案件での競争力につながっている模様である。
加えて、同社のプラットフォーム全体におけるAI統合は経営陣にとって重要な焦点であり、AIを活用した新機能は生産性とエンゲージメントを促進すると期待されている。
しかしながら、同社はシステムにAI機能を追加しようとしているが、トップラインの売上高の成長は低迷しており、収益はもはや伸びていないというのが現状である。
以上より、同社の経営陣が意味のある売上高における成長を再び実現できるまで、私の同社に対する短期的な見通しは「中立」としている。
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