中立ズオラズオラ(ZUO)決算速報&将来性:最新の2025年2Q決算は好調も目標株価は9ドルで割高?今後の株価見通しに迫る!
ドノヴァン・ ジョーンズ- 本稿では、2024年8月21日に発表された、ズオラ(ZUO)の最新の2025年度第2四半期決算とテクノロジー面での同社の強み(競争優位性)を詳しく分析していきます。
- そして、それらの分析を通じて、同社の目標株価、並びに、今後の株価見通しと将来性に関する詳細な分析を解説していきます。
- 同社は、世界中の企業向けに見積もりや請求業務を自動化するソフトウェアを提供するテクノロジー企業です。
- 顧客の躊躇により、同社のトップラインの売上成長が鈍化しており、さらに、株価も現在の水準ではフェアバリュー(理論値)と同水準にあることからも更なる上昇の余地は限られているように見えます。
- 今後の金利低下が同社のバリュエーションにプラスの影響を与える可能性がある一方で、今回の決算を踏まえて、同社に対する見通しを「中立」に引き下げることにしました。
ズオラ(ZUO)について
ズオラ(ZUO)は、世界中の企業向けに見積もりや請求業務を自動化するソフトウェアを提供するテクノロジー企業です。
同社は、2024年8月21日に2025年第2四半期決算を発表し、売上高と利益が市場のコンセンサス予想を上回りました。
しかしながら、同社の売上成長率は、顧客基盤に対するマクロ経済の影響で減速しています。
そして、株価が既に適切に評価されていることを考慮し、私は、現在はズオラに対して「中立」的な立場を取っています。
しかし、金利の引き下げやそれに伴う株価の上昇が期待されるため、「中立」ながらも、やや上向きの見方も持っています。
ズオラ(ZUO)の概要と市場
ズオラ(ZUO)は、企業がサブスクリプション型サービスを立ち上げ、管理するためのクラウドベースのサブスクリプション管理ソリューションを提供するアメリカのソフトウェア企業です。
同社は2007年に設立され、カリフォルニア州レッドウッドシティに本社を置いています。
CEOのティエン・ツォウ氏は、セールスフォース(CRM)の初期メンバーであり、同社で最高マーケティング責任者を務めていました。
ズオラは、Zuora Platform、Zuora Billing、Zuora Revenue、Zuora Collect、Zephrなどの見積もりから現金化までをカバーするアプリケーション群を提供しており、さらにZuora Technical Account ManagersやManaged Servicesといった新しいサービスも展開しています。
DataInteloによる市場調査報告書によると、グローバルな見積もりから現金化までのソフトウェア(Q2C:Quote-to-Cash)市場は、2021年に8億6040万ドルと評価されており、2028年までに約20億ドルに達すると予測されています。この期間中、市場は年平均成長率(CAGR)12.9%で成長すると見込まれています。
ビジネスプロセスの自動化や顧客取引管理を積極的に行うためのQ2Cソフトウェアの導入が増加していることが、この市場の成長を後押ししています。
また、クラウドベースのソリューションは、スケーラビリティやパフォーマンスの向上、初期投資の低さといった利点があり、どこからでもアクセスできる利便性を提供することで市場の成長を支えています。
市場はクラウドベースとウェブベースのソリューションに分かれており、クラウドベースのソリューションはスケーラビリティの向上や初期投資の低さが特徴で、ウェブベースのソリューションは、従来のオンプレミスソリューションと比べて、インフラコストの削減や迅速な導入が可能といった幅広い利点とコスト削減を提供します。
グローバルなQ2Cソフトウェア市場で競争している主な企業には、ConnectWise, Inc.、オラクル(ORCL)、Simplus(Infosys:INFY)、SAP SE(SAP)、CloudSenseなどが含まれます。
ズオラ(ZUO)の最近の財務動向
ズオラ(ZUO)の四半期別総売上高(紺の列:Total Revenues)は以下のグラフのように増加しており、四半期別営業利益(青色の線:Operating Income)はマイナスを維持しているが、ブレークイーブンに近い距離にあります。
四半期別売上総利益(紺色の列:Gross Profit)はここ数四半期で変動が大きくなっており、四半期別販売費および一般管理費(青色の線:Selling General & Admin Expenses, Total)も最近大きく変動しています。
また、希薄化後一株当たり利益(EPS)はマイナスのままだが、ブレークイーブンに向けて一進一退を繰り返しています。
(上記グラフのデータはすべて百万ドル単位・GAAPベース)
さらに、過去12ヶ月で、同社の株価は、ベンチマークであるiシェアーズ・エクスパンデッド・テクノロジー-ソフトウェアETF(IGV)の上昇率24.5%であるのに対し、7%下落しています。
ズオラ(ZUO)のバリュエーション
以下は、ズオラ(ZUO)に関連するバリュエーションの表です。
バリュエーション指標 | 値 |
EV(企業価値)/ 売上高倍率(予想) | 2.6 |
EV/EBITDA倍率(予想) | 11.6 |
株価売上高倍率(直近過去12か月) | 2.9 |
売上高成長率(予想) | 7.6% |
純利益率 | -10.6% |
EBITDAマージン | -2.6% |
時価総額 | $1,330,000,000 |
企業価値 | $1,200,000,000 |
営業キャッシュフロー | $5,550,000 |
実績EPS(直近過去12か月ベース) | -$0.32 |
予想EPS | $0.56 |
一株当たりフリー・キャッシュフロー(直近過去12か月ベース) | -$0.04 |
また、40%ルールとは、ソフトウェア業界の経験則であり、売上高成長率と営業利益率の合計が40%以上であれば、その企業は、ソフトウェア企業として、許容できる成長と営業利益率の軌道に乗っていることを示すものです。
下表の通り、同社の直近の調整前40%ルールの計算値は、2025年第2四半期決算時点でマイナス0.4%であったため、同社は、主にトップラインの売上高成長率の低下により、時間の経過とともに業績が悪化していることが分かります。
40%ルール・パフォーマンス(調整前) | 2024年第3四半期 | 2025年第2四半期 |
売上高成長率 | 11.1% | 7.6% |
営業利益率 | -7.7% | -8.0% |
合計 | 3.4% | -0.4% |
ズオラ(ZUO)の見通し
直近の市場のアナリスト向けの決算説明会では、ズオラ(ZUO)の経営陣の準備発言として以下のポイントが強調されました。
売上成長
・第2四半期のサブスクリプション売上は1億400万ドルで、前年同期比9%増加しました。
・Non-GAAPベースの営業利益は2560万ドルで、営業利益率は22%となり、ガイダンスを上回りました。
・2025年度通期の売上予測は、4億5550万ドルから4億6150万ドルに引き上げられました。
リテンション率
・ドルベースのリテンション率(DBRR)は104%で、前四半期と同じ水準を維持しましたが、前年同期比では3ポイント減少しており、これはネガティブな結果です。
・DBRRの減少は主に解約の影響によるものでした。
・同社は、2025年度のDBRRを103%から104%の範囲に修正しています。
受注残高
・総RPO(残存履行義務)は5億7700万ドルに達し、前年同期比で14%増加しました。
・非現行RPO(Non-current RPO)は前年同期比で21%増加し、2億5800万ドルに達しました。
コストおよび経費の変化
・Non-GAAPベースのサブスクリプション粗利益率は82%で、前年同期比で125ベーシスポイント改善しました。
・この改善は、ハイパースケーラーとの効率化が進んだことによるものです。
・同社は、最近の2件の買収による経費を新たなガイダンスに含めています。
キャッシュフロー
・調整後のフリーキャッシュフローは今四半期で1220万ドルとなり、昨年の400万ドルから大幅に増加しました。
・経営陣は、通期の調整後フリーキャッシュフローを8200万ドル以上に引き上げました。
バランスシート
・今四半期末で現金および現金同等物を5億4300万ドル保有しており、前四半期比で370万ドル減少しました。
・今四半期の設備投資(CapEx)は330万ドルでした。
トレンド
・現在のマクロ経済環境に対応しながら、ランド・アンド・エクスパンド戦略を引き続き実行しています。
・経営陣は、既存顧客基盤からの強力な拡大機会を見込んでいます。
・RevenueとBillingの両方を含む新規契約の半分が複数製品の取引であることから、好調な傾向を示しています。
・テクノロジー業界以外でも使用ベースや消費ベースのモデルでの成果を上げています。
・ランド・アンド・エクスパンド戦略が成功している証拠として、既存顧客から年間契約価値(ACV)100万ドルを超える2件の契約が成立しています。
・厳しいマクロ経済環境に直面しているものの、経営陣は年間ガイダンスの達成に自信を持っています。
売上ガイダンス
・第3四半期のサブスクリプション売上は1億450万ドルから1億550万ドル、総売上は1億1500万ドルから1億1700万ドルを見込んでいます。
・2025年度通期の売上見通しは、4億5550万ドルから4億6150万ドルに引き上げられました。
私のDCF法(割引キャッシュフロー法)に基づく計算によると、合理的な前提を用いた場合、目標株価であるフェアバリュー(理論値)は9.13ドルとなることから、現在の株価である9.00ドル程度で適正に評価されていると考えられます。
(出典:GuruFocus)
以上より、トップラインの売上成長が鈍化し、ネットリテンション率が横ばいで推移していることに加え、一部の顧客基盤に対するマクロ経済の圧力が続いていることを考慮し、ズオラに対する見通しを「中立」に引き下げています。
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さらに、その他のズオラ(ZUO)に関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、ズオラのページにアクセスしていただければと思います。
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